勝ち続ける難しさを知った開幕節 立て直した信州Ariesがホーム開幕戦へ

2026-27シーズン最初の黒星は、思いがけず早くやってきた。SVグロース女子のルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズは、10月17-18日の開幕節でカノアラウレアーズ福岡とアウェイで対戦。GAME1は相手の徹底した対策に屈し、セットカウント0-3でストレートの敗戦となった。その夜のうちに対策を練り直し、GAME2はセットカウント3-1で挽回。今シーズン初白星をつかんだ。敗戦からの学びを経て、10月24-25日には上田市自然運動公園総合体育館で岐阜リオレーナとのホーム開幕戦を迎える。
文:大枝 史
KINGDOM パートナー
王者がつまずいた初戦
無意識の過信が招いた黒星
「『久々にコテンパンに負けたね』と言いながら帰ってきた」
成田郁久美監督は今季初戦をそう振り返る。
昨シーズンのVリーグではレギュラーシーズン27勝1敗。圧倒的な強さで頂点に立ったチームが、再編されたSVグロースの初戦で1セットも奪えなかった。

カノアラウレアーズ福岡が信州Aries対策を徹底してきた一方で、カノアの新外国籍選手、アウトサイドヒッター(OH)エレニ・チャンツィとオポジット(OP)アデオラ・ルカヤット・オウォコニランの両選手はデータが乏しく、事前の対策が難しかった。
ミドルブロッカー(MB)井澤天音は「打点が高くてブロックの上から打たれてしまう場面も多かったし、手が長くて『そこまで切れるのか』という位置で(ボールを)とらえてくる」と衝撃の体験を話せば、キャプテンのMB西村美海は「自分たちのプレースタイルやスパイクコースが徹底的に分析されていて、まんまとハマってしまった」と敗因を語る。

指揮官は「誰も気は抜いていないし、相手もよく対策していた。ただ、その中でも『まだいけるだろう』という気持ちが無意識にあったのかもしれない」と話す。
西村も同様に「勝ち続けることに慣れて、過信していた部分が無意識であったのではないかと思う」と振り返る。
昨シーズンのVリーグで強さを見せつけたからこそ、どのチームも“打倒信州Aries”で向かってくる。

KINGDOM パートナー
その夜のうちに練り直し
徹底した戦略で巻き返す
立て直しは、その日の夜に始まった。「スタッフで対策をめちゃくちゃやって、いつも以上に細かく指示を出した」と指揮官。
相手の傾向を洗い直し、ポジショニングと守り方を組み替えたうえで、選手に一つの約束を求めた。「勝っている間は選手の意見を尊重して気持ちよくプレーしてもらっていたが、負けている状態なので『戦略としてやるべきことは例外なくやろう』と伝えた」と明かす。

そして強いサーブも徹底させた。今シーズンからはショートサーブの判断、相手との駆け引きを選手たちに任せていたが、思うように機能しなかった。「強いサーブを打つからこそショートサーブが効く。『まずはベースを作ろう』と伝えた」と指揮官は話す。
対策が生きたGAME2では第1セットから主導権を握り、粘り強い守備からいくつものラリーを取り切った。

井澤はブロックとブロードで存在感を示し、フラッシュインタビューに選ばれる活躍。第3セットから出場した西村も「1日で切り替えて、全員が100%で挑もうとしていたからこそ勝てた」とうなずく。
指揮官は2日間起用したOH田中瑠奈と舛田紗淑を「負けた試合でも数値的に非常に良かった」と評価し、途中出場した大卒1年目のセッター(S)尾上雛乃にも「夏場から考えると、よくここまで来た」と目を細める。西村も「1年目だけれど度胸が据わっている」と期待を口にする。

学びを経てホーム開幕戦へ
強みを持ち寄って対策を上回る
6チームで行われるリーグ戦で、プレーオフ進出は上位2チームのみ。1敗の重みは昨シーズンまでの比ではない。
指揮官は「1勝1敗のペースではプレーオフには行けない。どんな形でもいいから勝ち切ることをベースに置いている」と力を込める。
開幕節後、指揮官は「勝っているから成長していると思いがちだが、勝負と成長を一緒くたにしてはいけない。勝負は絶対に1点を多く取ると思えるかどうか、成長は内側を向いて振り返るもの」と選手に勝ち続ける難しさを説いた。

だから黒星を悔やみ続けてはいない。「逆に初日で良かった。まだ立て直せる時期に、負けから学べた」とポジティブにとらえる。
ホーム開幕戦となる第2節の対戦相手、岐阜リオレーナとは今シーズン8試合を戦う。「岐阜さんは誰が出ても同じクオリティでやれるチームを目指している印象。8試合やるからには、なるべく手の内を見せずにいきたい」と話す。

信州Ariesの強みは、出場した選手によって戦略が変えられることだ。
例えば開幕節に出場したMB陣では、器用さと堅実なプレーで貢献した西村、高さとスピードとパワーを兼ね備えた温以勤、安定して高いクオリティを見せた石原果林、持ち味のブロックで貢献した井澤と、それぞれが違った強みを出した。

加えて、昨シーズントップブロッカーとトップスパイカーの個人2冠を達成した山村涼香も手術からの完全復帰が近い。ポジション争いは大激戦だが、それだけ戦い方のバリエーションも増える。
指揮官も「それぞれの役割を理解しているので、スタートでいかなかったとしても活躍はしてくれると思っている」と信頼を置く。

不慣れなアウェイでの開幕と敗戦を経て、上田でホーム開幕戦を迎える。西村は「リーグを通して成長できるチームでありたい。ホーム初戦の緊張やプレッシャーもあると思うけれど、相手チームの一つ上をいく攻撃力と守備力に注目してほしい」と意気込む。
最初の一歩でつまずいたが、すぐに起き上がった。そこから、上田で走り出す。
チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/team/shinshua/




















