「良い試合しているのに…」 リード生かせないAC長野が勝ち切る策は

試合を優位に進めても勝ち切れない――。J3リーグを戦うAC長野パルセイロは、開幕から全8試合でリードを奪いながらも3勝止まり。2026年9月26日に福島ユナイテッドFCと対戦した第8節は、2点リードの終盤に3失点して逆転負けを喫した。ここまで3勝2分3敗の勝ち点11で11位。勝ち点を取りこぼしている現状にもどかしさが募る。「せっかく良い試合をしているのにもったいない」と10番のMF山中麗央。善戦で終わらせないためには何が必要なのか。

文:田中 紘夢

3-1からまさかの逆転負け
「守りに入らないぞと…」

今季最多の3発を決めた前節の福島ユナイテッドFC戦。1-1で迎えた後半立ち上がりにMF山中麗央とFW吉澤柊がゴールを決め、3-1と突き放した。勝利を手中に収めたかと思いきや、ここから悲劇が待っていた。

「『守りに入らないぞ』という声はあったけれど、どうしてもボールを持たれる時間が続いた。どこかで自分たちの時間を作らないといけなかった」と山中。福島にボールを支配される中で、AC長野パルセイロはなかなかそれを押し返せずにいた。

ビルドアップを得意とする福島に対し、前半からハイプレスとショートカウンターが機能した。それゆえに3点を奪えたが、ピッチの105メートルの縦幅を行ったり来たりすれば、相応の負荷もかかる。2点をリードした後には、獅子たちの体力は大きく削がれていた。

守備に追われる分、攻撃にエネルギーを注げない――。ボールを奪ってもすぐさま福島に奪い返され、再び守備のターンへ。そうなれば体力だけでなく気力も削がれてしまう。

それでも自陣で踏ん張りを効かせていたが、78分にCKから1点を返された。その後もホームチームの勢いを止められず、84分、90分と立て続けに失点。3-1で2点をリードしていたはずが、気づけば3-4とひっくり返され、大逆転負けに終わった。

「良い試合をしているのにもったいない」

山中の言葉にうなずくばかりだ。

行きたくても行けない
そうなった時の次の策は

守りに入りたくて入ったわけではない。それは1-2で逆転負けした第4節のザスパ群馬戦も同様。群馬の流動的なビルドアップに対し、ハイプレスの捕まえどころがなく、ミドルブロックを敷かざるを得なかった。

福島戦は捕まえどころがなかったわけではなく、むしろ捕まえていた。ただ、体力と気力が削がれた後半は足が動かず、捕まえにかかれない。小林伸二監督はベンチから「出てこいよ」と怒号を飛ばしたが、選手からすれば行きたくても行けなかったのが本音ではないか。

それでも行き切るのがAC長野の身上。そのための体力や戦力も底上げしてきた。とはいえ選手は人間であり、チームも生き物だ。相手との兼ね合いもあって、行きたくても行けない時もある。精神論や根性論で片付けられる話ではない。

そうなった以上、次の策を練るしかない。潔く撤退して4-4-2のブロックを組むのか。それでも守り切れないのであれば、5-4-1にシフトして守備を固めるのも得策かもしれない。練習しているわけではなくとも、時には“付け焼き刃”も必要となるだろう。

ボールを奪った後もどこに運ぶのか。小林監督は福島戦について、「蹴るんだったら背後に蹴ればいいけれど、中途半端だった」と振り返る。同点に追いつかれた3失点目はカウンターから。背後なのか足元なのか、どっちつかずのボールになったところを奪われた。

指揮官は直後に「ハッキリしろ」と声を荒げた。結果論ではあるものの、走力とキープ力に長けたFW庄司朗を投入していれば、背後を狙うという明確なメッセージが伝わったのかもしれない。

何が正解かは分からない。何かを選ぶにしても監督主導ではなく、選手主導で判断すべき局面もある。選手は言われるがままに従うロボットではない。

いずれにせよ、福島戦のようにすべてが中途半端になってしまえば本末転倒。勝ち切るためにはその場で最適解を見出し、足並みを揃えなければならない。もっともそれも「言うは易く、行うは難し」なのだが――。

自分たちのやり方を貫くか
やり方を捨ててでも勝つか

逆転負けとなればショックも小さくないが、先手を取れているのは事実だ。開幕から全8試合でリードを奪えているのだから、過度に悲観する必要はない。リーグ最少得点に終わった昨季と比べても大きな進歩だ。

しかし何度も言うように、善戦で終わらせてしまうのはもったいない。2024シーズンの第11節から3連勝したのを最後に、2年4カ月も連勝から遠ざかっている。目標とする1桁順位をつかむためにも、どこかで上昇気流に乗っていきたい。

本題に戻ると、勝ち切るためには何が必要なのか――。

今は「自分たちのやり方を貫く」ことが先決だが、どこかで「自分たちのやり方を捨ててでも勝つ」というフェーズに、踏み込んでもいいのかもしれない。ただし、それが先行してしまえば自分たちを見失いかねない。あくまでケースバイケースだろう。

「上に行くためには、ああいう試合でしっかり勝たないといけない。もっと上に行けると思うし、もっと良いチームになれると思う」と山中は自信をのぞかせる。

己の道を信じて進みながらも、時には迂回路をたどることができれば、より“したたかに”歩んでいけそうだ。


クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/

たくさんの方に
「いいね」されている記事です!
クリックでいいねを送れます

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数