AC長野が小中学生5,000人を招待 WEリーグ表彰受けJリーグでも

昨年好評を博したイベントが、パワーアップして帰ってきた。J3のAC長野パルセイロは2026年10月21日、ホームで行う第12節のFC琉球戦において、「DREAM SCHOOL DAY」を開催する。ホームタウンの小中学生約5,000人を課外授業の一環として招待。黄色い声援――いや、オレンジの声援に包まれる1日へ向けて、クラブの思いを聞いた。

文:田中 紘夢

昨年はWEリーグから表彰
今年は進化してJリーグで

DREAM SCHOOL DAYを初開催したのは昨年10月27日、WEリーグを戦うAC長野パルセイロ・レディースのホームゲームだった。長野市内の小中学生約4,000人を招待。当日は4,264人の観衆が集い、レディースチームの最多入場者記録を更新した。

WEリーグから社会的意義を評価され、「Social Impact賞」を受賞した。その成功体験をもとに、今年はトップチームが戦うJ3リーグでの開催へ。毎年トップチームとレディースチームで交互に行う計画でいる。

行政からの関心も強い。今年は長野市に加え、小布施町と飯綱町からも手が挙がった。招待数は昨年の4,000人から5,000人へ拡大。送迎用のバスも70台から89台に増えた。

一方で学校側からは、「もっと早めに言ってくれれば…」という声も挙がっている。クラブとしてもより多くの子どもたちを招待したいところだが、一筋縄ではいかない。

JリーグとWEリーグの日程が発表されるのは6月。すでに学校側は年度のカリキュラムを組んでおり、後から組み込むのは容易ではない。とりわけ中学生は調整が困難で、今年は1校の参加にとどまった。

それでも1人でも多くの子どもたちを招待すべく、クラブは最善を尽くした。地域コミュニティ・パートナー営業部の藤森七海さんは、「昨年も子どもたちは試合前から各ブースを楽しんで、試合中も楽しそうに応援していた。そういう体験は記憶にも残ると思う」と話す。

当日は課外授業の一環として行い、各スポーツや職業の体験学習も実施予定。WEリーグから「Social Impact賞」を受賞した昨年と同様、社会にインパクトを残す1日にするつもりだ。

“サッカー王国”での原体験と
子どもたちを招待する意義

静岡県出身の藤森さんは、幼少期から清水エスパルスが身近にあった。初めてスタジアムに足を運んだ記憶は、小学2年生の時。ホームタウンの無料招待がきっかけだった。選手が小学校で授業をしてくれたことも、「ずっと思い出として残っている」という。

清水のライバルであるジュビロ磐田も、11年から磐田市内の小学生の「一斉観戦」試合を設けている。それを見て育った藤森さんは、「こういうことを長野でもやりたいと思っていた。実現できて嬉しい」と声を弾ませる。

昨年のレディースチームのDREAM SCHOOL DAYは1-3で敗戦。2点を先取される苦しい展開となったが、85分に菊池まりあのクロスがそのままゴールに吸い込まれた。スコアラーの菊池は、「小中学生やサポーターの声援が後押ししてくれた」と言い残し、今季から三菱重工浦和レッズレディースに移籍した。

スポンサーにもその光景が届き、今年も多くの協賛が集った。「クラブの価値を上げるチャンスでもある」と藤森さん。サステナビリティ活動も推進する身として、こう思いを馳せる。

「教育、健康、環境…。いろんな面でパルセイロが地域の課題を解決して、このクラブが必要だと思ってもらえるようになりたい。その一つとしてDREAM SCHOOL DAYがあるので、イベントを通してクラブと地域を繋げていけたら」

事前交流訪問も希望者多数
言葉とプレーで夢を届ける

クラブは試合へ向けて、選手の事前交流訪問も実施。事後交流も含めて多くの学校から希望が届いたという。ケガ人を除く大半の選手が足を運び、講演やサッカーで交流を図った。

10月7日には近藤貴司と樋口叶の2選手が、長野市立緑ヶ丘小学校へ赴いた。

近藤は幼少期にぜんそくを患い、プレーにも支障をきたしていたが、それも乗り越えてプロの舞台へ。その経験を子どもたちの前で伝えた。「頭の片隅にでも置いておいて、頑張るきっかけにしてもらえたら」と願いを込める。

樋口叶はリフティングの技を披露して会場を沸かせた。この日に集った小学生は100人に満たなかったが、当日は5,000人の歓声が待っている。その光景を想像して胸を膨らませている。

「子どもたちには局面でのうまいプレーは伝わらないかもしれないけれど、ゴールを取れば一番盛り上がると思う。みんなでいっぱい点を取って、たくさんの声を聞けたら」

試合は黄色い声援が飛び交う異様な雰囲気となるだろう。「そういうことも想定しながら、面白い試合ができれば」と近藤。子どもたちの記憶に強く刻みつつ、地域との連係も強固にする――。そんな1日となれば本望だ。


クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/

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