攻めるサーブと高いブロック 新生トライデンツが挑む新シーズン開幕へ

新体制で、新たな大海へと漕ぎ出す。SVリーグ男子を戦う信州松本トライデンツは2026年10月24-25日にホームのエア・ウォーターアリーナ松本(松本市)で広島サンダーズとの開幕節に挑む。新ヘッドコーチ(HC)にドイツ代表のアシスタントコーチも務めるトーマス・ラーナー氏を招へいし、チームはミスを恐れず戦う姿勢を前面に出して準備を進めてきた。チャンピオンシップ出場(レギュラーシーズン上位6クラブ)を目標に掲げ、コート内外で大きく変貌を遂げた新生トライデンツが船出を迎える。

文:大枝 史

力強さを増したサーブ
ハードサーブで畳み掛ける

最下位に沈んだ昨シーズンと比べ、目に見える変化を感じられるのがサーブの強さだ。

2026-27シーズンはオンザコートルールが改正され、同時にコートに立てる外国籍選手が昨季までの2人から3人に増える。

それによって、例えば外国籍選手のアウトサイドヒッター(OH)ザカリー・ラマ、ミドルブロッカー(MB)デイビッド・スミス、オポジット(OP)フィリップ・ジョンと、3人連続でハードサーブを打つ陣容は容易に想像できる。

さらに、OH工藤有史、MBマックレヴィン・ディアリス平と、5人連続で110km/h前後のサーブを放ち、相手に息をつく暇を与えないメンバーがコートに立つ可能性もある。

セッター(S)星名勇佑やOP酒井秀輔も鋭いサーブで猛アピールを続け、S赤星伸城とS伊藤洸貴もハイブリッドサーブを駆使する。どのローテーションからでもサーブで崩し、ブレイクする確率を高めている。

それに加えて、トーマス・ラーナーヘッドコーチ(HC)が浸透させ続けている「ミスを恐れずに攻める姿勢」がサーブ力を向上させる。

キャプテンの工藤は「昨シーズンまではサーブで連続ミスするのは良くないという考えがあったので、自分の前の人がミスをしたらあまりリスクを取らずに打っていた」と話すが、今シーズンはリスクを取ってでも攻める考えに変わった。

例えばMB安部翔大は「自分の次がOPとOHで強いサーブが続くので、後ろにつなぐ意識で」と昨シーズン途中にジャンプサーブからミスの少ないフローターサーブへと変えていた。だが現在は「フローターサーブを止めたつもりはない」と話しながらも、ジャンプサーブを連発している。

攻めるといっても、ただがむしゃらに強く打つのではない。「トスが完璧に決まった時だけ思い切り打ち、いまいちだった時はキープする」と指揮官がサーブ時の約束事を決めたことで、チーム全体がメリハリの効いたサーブを放つようになった。

KINGDOM パートナー

高さがあるブロックと
システムディフェンス

「単純に高いので、サーブで少し攻撃を限定できればブレイク率は高いと思う」と工藤が話すように、身長2mを超える外国籍選手3人がフロントに並ぶと、その高さは相手にとって脅威になるだろう。

ブロックシステムに関しては状況に応じて細分化し、システムでプレーを制限することで選手の迷いを断ち切る。

指揮官が「本当に良いブロックとディフェンスシステムを遂行するのであれば、高い集中力と体力を要求される。そこの基礎部分をちゃんと固めていくことが大事」と話すように、普段の練習から本番さながらの集中力を要求し続ける。

集中力を欠き、改善が見られない場合は全体練習を切り上げ、ウエイトトレーニングに移行する日もあった。

指揮官の要求は高いが、それでも「状況判断はよくなってきているし、勝負しにいってミスしたこともポジティブに捉えられるようになってきた」と一定の手応えを口にする。

アメリカ代表としてオリンピック4大会出場の実績を持ち、工藤と共にキャプテンを務めるスミスも「合流してから1カ月半やってきたが、この成長ぶりはすさまじかったと思う」と舌を巻く。

マックレヴィンも195cmの高さから抜群の反射神経と動体視力、そして動きの速さで驚異的なブロックを披露するし、リベロ(L)松尾敬介は「僕はシステム通りにやっているだけ」と謙遜しながらも、ブロックを抜けてきたボールを何度もレシーブで拾う。

強いサーブで相手を崩し、高いブロックからブレイクへとつなげる。

シンプルかつ、王道。それができるようになったからこそ、上位を目指せるのだ。

昨シーズンの悔しさを熱量に
チャンピオンシップを目指して

開幕節を戦う広島THとは10月11-12日にプレシーズンマッチで戦い、両日ともにフルセットの末に勝利を手にしたが、指揮官は「全く異なるゲームになると予想している」と明かす。

特にアルゼンチン代表やアメリカ代表コーチの指導歴を持つハビエル・ウェベルHCに触れ、「ブロックディフェンスに関しては世界でも1、2を争う」と警戒を強める。

事実、広島THのブロックには昨シーズンも苦しめられ、戦績は0勝4敗。全てストレート負けを喫し、1セットを取ることもできなかった難敵だ。

それでもチームが掲げる“チャンピオンシップ出場”の目標に向けて全力で立ち向かう。

指揮官が「チャンピオンシップに出場できなければ最終順位が10位でも9位でも変わらない。リスクを取ってでも高い目標を追っていく」と力強く宣言すれば、工藤も「今シーズンは何としてでもチャンピオンシップに行きたい。『6位以上』とはずっと言い続けたいし、自分たちならできると思っている」と決意を口にする。

新指揮官の新たなアプローチで大きく変化したトライデンツ。リスクを負って攻める姿勢で、ミス自体は増えるかもしれない。それでも選手たちは口を揃えて「もっと改善できるし、もっと成長できる」と話す。試合を重ねるごとに洗練、熟成させていく旅路だ。

スミスは「開幕戦は一番熱いゲームになると確信している。その熱量を失わないように、チームとしてみんなで助け合いながらやっていきたい」と話す。

夏は去った。それでも信州松本には、熱い夜が訪れる。


SVリーグ第1節 広島サンダーズ戦 試合情報
https://sm-tridents.jp/match/2026-27-sv-div1-1
https://sm-tridents.jp/match/2026-27-sv-div1-2
クラブ公式サイト
https://sm-tridents.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/team/matsumototd/

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