臥竜が見せた“修正力”と“粘る守備” 信州Ariesとの共同開催で示したい真価

Vリーグ男子東地区のレギュラーシーズン・千葉ドット-長野GaRonsがYohaSアリーナで2025年11月8-9日に行われ、長野Gは両日とも苦杯をなめた。アウトサイドヒッター(OH)手塚大、戸田拓也とSVリーグ経験者が加入し、新しくスタートした千葉ドットに対して0-3、1-3で敗戦。ただ成長の手応えも随所に見せ、女子で首位を走るルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズと共同開催する11月15-16日の次節へ弾みはつけた。
文:大枝 史 /編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
修正力を見せた第2日第1セット
トスワークの改善で決定率向上
千葉ドットの高さに苦しみ、ストレート負けを喫したGAME1。第1セットを21-25、第2セットを16-25、第3セットを22-25と、セットカウント0-3で敗戦した。
しかし修正して臨んだGAME2では、第1セットからその成果を見せつけた。

「相手のブロックが高いので、そこをどうくぐり抜けていくかを考えてやった。今日はスパイカー陣も頑張ってくれたので決定率は良かったと思う」
セッター(S)山川悠輝が振り返るように、アタック決定率はGAME1の35.7%から43.9%と大幅に向上。高いブロックを相手にする中で、変えたのは主にトスワークだった。

「昨日は常田選手へのトスに若干ズレがあって、決定率が上がってこなかった。(相手の)手塚選手がついているOHにトスが偏ってしまって、ワンタッチを取られるケースが多かった」

オポジット(OP)常田将志とのコミュニケーションを密にし、序盤からトスを散らす。それによって全体のアタックをより生かす修正力を示した。
そして丁寧にサイドアウトを重ねていく中で、トータルディフェンスも光る。

「(トータルディフェンスは)就任してからずっと言い続けている。負ける時はそれができない時で、今回はそれができていた」
加戸隆司監督が試合後に振り返ったように、粘り強くブロックへ跳んでワンタッチを取る。抜けてきたコースはディグで上げる。レセプションアタックでサイドアウトが取れなくとも、全員で繋ぐバレーを体現した。

9-8の場面では「ブロックは怒られっぱなし」と笑うS山川のブロックも炸裂。17-14からはOH奥原蓮のノータッチエースでリードを広げると、最後もOP常田のノータッチエースで25-20とし、第1セットを取り切った。

KINGDOM パートナー
食らい付くものの千葉に及ばず
高さと経験の壁をどう崩すか
第1セットでは違った姿を見せたが、第2セット以降は苦難が続いた。
第2セットは序盤にミスが続き、3-10と大きくリードを広げられる。そこからでも食らい付き、ブレイクを挟みながら17-20と3点差まで追いすがる。

しかし、序盤のリードを効果的に使った千葉ドットに19-25とセットを取り返される。第3セットはキャプテンのミドルブロッカー(MB)小林雅治がブロックにアタックに躍動した。

「自分は盛り上げとかで引っ張っていくタイプのキャプテン。それをやって身体を動かして、というところで良い動きができたと思う」

第2セットではコンビが合わないミスもあったが、挽回するプレーを何度も見せた。20-20と競り合いながら突入した終盤、やはり相手の高いブロックに苦しめられた。ブロックポイントを決められ、ワンタッチを取られる。粘りを見せながらも22-25でセットを落とした。

続く第4セットは18-17から相手OH荒瀬好則の強烈なサーブに大苦戦。パスを返せずにサイドアウトが取れない。

最終的には交代で入ったOH岩澤光國がパスを返してサイドアウトを取るが、サービスエース2本を含む7連続ブレイクを許した。19-24から最後は相手OH手塚のアタックでフィニッシュ。セットカウント1-3で敗戦となった。

「最後の荒瀬選手のサーブに関しては仕方ないと思う。我慢しきれなかったというよりは、それまでの経過がよくなかった」
MB小林雅はそう振り返る。

修正は見せた。粘りも見せた。
「事前に話していたことはある程度できていたと感じている。その上で千葉ドットさんの良いプレーに追いつけずにやられてしまった」

OH奥原が話すように、今できる全力を出して戦った。だからこそ、得られた経験も多かったはずだ。
トータルディフェンスは一歩前へ
次節は信州Ariesとの共同開催
「手塚選手の高さであったり、戸田選手の空中のうまさだったり。やはり高いレベルを経験してきた選手は見てわかる」

MB小林雅が振り返るように、文字通り「高い壁」に阻まれた形の敗戦となった。その中で新たに出た課題に取り組み、レベルアップを図る。

「相手のコースを限定するよりは、相手の打つゾーンを限定する。(トータルディフェンスが)次のステップに上がったと同時にそこに課題が出てきたので、次はそこを上げられるように取り組んでいきたい」

指揮官が話すように、ブロックでコースを限定する段階をクリアしてみせた選手たち。次のステップとしてゾーンに対するディフェンスへの移行を目指す。高さの優位性を持って打ち下ろすアタックしてくるのであれば、一歩でも前へ。
S山川はサーブの効果率に言及する。
「うちのチームは小さい。サーブで崩してもっとブロックワンタッチを取る、粘り強いバレーを体現したい」

長野GRは6試合を終えて、チーム全体のサーブ効果率は4.0%。東地区9チーム中7位に甘んじている。チームによって試合数の差はあるものの、やや寂しい数字ではある。
この日、チーム唯一のジャンプサーブを打ったOH奥原は「速いサーブで点を取るのは僕の仕事だと思っている。トスからすごく集中して、良いサーブを打てるように意識してやっている」と話す。

リーグの構成が変わり、全体のレベルも向上。そこで見つけた課題をクリアしながら、より強い集団となってハイレベルな戦いに食らい付く――。長野Gの営みはその繰り返しだ。

11月15-16日には上田市自然運動公園総合体育館で信州Ariesとの初の男女共同開催。「ガロ・アリFes」と題したこの共同開催では11時から長野GR、15時から信州Ariesの試合と、1日で両チームの試合が楽しめる。

目下開幕8連勝とVリーグ女子の首位をひた走る信州Ariesの勢いも借りて、東京ヴェルディを迎え撃つ。
「自分たちがやりたいことを楽しんでやっていくのがテーマ。それを遂行していって、ファンの方々が楽しんで見られるように頑張っていきたい」

MB小林雅がそう話せば、指揮官も「自分たちが盛り上がってやろうという気持ちは負けていない。戦うバレーを見てもらえれば楽しんでもらえると思う」と呼びかける。
2試合で収穫を得た青き龍。初めて降り立つ上田でも、その咆哮を轟かせる。

ガロ・アリFes 長野GaRonsページ
https://garons.jp/topics/
ガロ・アリFes 信州ブリリアントアリーズページ
https://www.briaristcamp.com/information?no=ru61cnvdSCvq3VCf3BSasgS
チーム公式サイト
https://garons.jp/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_men/team/detail/474



























