「楽しもう」の一言が空気を変えた 25連敗のVC長野が取り戻した確かな結束

苦杯を喫しても、気丈に前を向いた。2026年3月7-8日のSVリーグ第16節、VC長野トライデンツはホームのエア・ウォーターアリーナ松本で東京グレートベアーズと対戦し、セットカウント0-3、1-3と両日ともに敗れた。これで25連敗となったが、コート内では選手たちが矢印をそろえて奮闘。特にGAME2の第3セット以降はより一層の一体感を感じさせた。古田博幸監督代行が指揮を執ってから2節、チームに表れた変化を探る。
文:大枝 史 /編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
吹っ切れて新鮮な気持ちで臨む
自分たちのプレーにフォーカス
「みんなが楽しくバレーをしている姿をファンの人たちにも見せてあげたい」
古田博幸監督代行が戦前に話していた思いは、はたして届いたのだろうか。
抱き合ったり、拳を突き上げたり、天に向かって吠えたり。

GAME1は元気印のリベロ(L)磯脇侑真やアウトサイドヒッター(OH)工藤有史が中心となって声を出し、チームを鼓舞し続けた。

コンディション不良でガラリとメンバーが変わったGAME2ではオポジット(OP)岸川蓮樹、OH佐藤隆哉、ミドルブロッカー(MB)安原大、L難波宏治、L古藤宏規ら、出場機会が少なかった選手たちが躍動。いくつもの笑顔をコート内で見せた。

佐藤が「誰も一人になることなく、みんなで声を掛けたのは良かったと思う」と口にしたように、コート内にいる全員の矢印がそろっていた。得点が入れば喜び、連続失点して肩を落としそうな場面でもすぐに切り替えて顔を上げた。

特に連続失点後、切り替えるよう声を掛けていたのが工藤だ。
「結果を一番に求めるよりも、まずは自分たちのやることをしっかりやるマインドに変わった」
「何連敗しているとか、そういうのを自分たちが変に考えすぎてしまっていると思った。『過去の負けは忘れて毎試合、新鮮な気持ちで臨もう』と吹っ切れている」

第15節のWD名古屋戦から指揮を執る古田監督代行。メンタル面のケアに注力してきた成果が、確実にコート内の変化として表れている。
「『バレーを楽しもう』とよく言うけれど、それが古田さんの試合中の言葉や行動に表れていて、僕らも楽しめるようなプレーをさせてもらえている」。GAME2でフル出場した安原はそう話す。

はつらつとしたプレーと表情をコートに出した選手たちの姿は、“楽しくバレーをする姿”に映ったのではないだろうか。

KINGDOM パートナー
割り切ったブロックで沸かせる
トータルディフェンスに手応え
両日ともに良い表情を出せた背景には、割り切ったディフェンスがあった。
古田監督代行が会見後に明かしたテーマの一つは「大胆に」。捨てるところは捨てて、大胆にコミットブロック(トスを見る前にアタッカーに合わせて跳ぶブロック)を仕掛ける。

「相手のスパイクは高さがあるので今日は割り切っていた。自分がサインを出して『こうブロックを跳びに行くから後はディフェンスお願いします』という気持ちでやった」
試合後会見で心情を明かした安原。直接的なブロックポイントこそなかったものの、MBとしての役割をきっちり果たした。

結果的に相手OPのバルトシュ・クレクをフリーで打たせるようなシーンもあったものの、チーム全体としてのディフェンスは機能した。

古田監督代行も「ディフェンスはめちゃくちゃ良かったと思う」と納得の表情。ブロックでワンタッチを取ったり、抜けてきたコースをディグで上げたり。そうしたプレーの集積が、よりチームを束ねる源泉にもなった。

例えばGAME2第1セット、26-25とセットポイントのシーン。クレクのアタックを佐藤が上げてOPマシュー・ニーブスが決めてセットを取り切った。第2セット26-26のシーンでは相手MB大竹壱青のクイックを古藤が拾い、工藤が決め切った。

そういった素晴らしいプレーが出れば、コートに限らずアリーナ全体が沸き上がる。
ポジティブな雰囲気の中でのびのびとバレーができれば、また良いプレーが生まれる公算も高い。まさしく良い循環だ。

「リードしていければいくほど楽しくなってくるし、そういうシーンをもっと増やしてあげて僕がコントロールしていければいいと思う」
古田監督代行が掲げる”楽しくバレーをする”。その楽しさを継続して突き詰めていった先には、待望の勝利が待っているはずだ。

「アイデア」と「トライ」胸に
挑戦者の姿勢でヴォレアス戦へ
バレーを楽しむためには、当然ながら相応のクオリティも求められる。毎回同じようにアタックを打って同じように止められていたら、楽しむことは難しい。
「例えばサーブでも前に打ったり強く打ったりコースを変えたり、スパイクでも強く打ったりリバウンドを取ったりプッシュしたり」

古田監督代行が日頃の練習から言い続けているアイデア。実際にGAME1ではニーブスがリバウンドを自ら取るシーンもあったし、真ん中にプッシュするシーンもあった。

GAME2では工藤も難しい体勢からリバウンドを取り、再びのアタックで自ら決め切った。そうした好プレーもまた好循環を生む。新しいことに挑戦して、ミスが生まれるリスクも織り込み済みだ。

最年長のMB松本慶彦も「みんないろんなことにトライして、自分たちのパフォーマンスを出そうと変わっている。ある程度それは失敗することもあると思うが、現状のチームではやっていかないとプラスになっていかないと思う」と胸中を語れば、安原も「内容のあるミスが多かったと個人的には思っている」とポジティブだ。

それはまさしく、取り戻したかった挑戦者の姿勢だろう。
第17節は2026年3月14-15日にアウェイでヴォレアス北海道との対戦。幾度となく激闘を繰り広げてきた相手だが、2月21-22日に行われた第9節では両日ともにストレート勝ちで広島サンダーズに勝利を収めるなど、ここまで9勝を積み上げている。

シーズン序盤から好調を維持している要因の一つがサーブ効果率で、OHメルト・タンメアルは16.0%でリーグ1位。チーム全体でもリーグ2位の9.6%の数字を持つ。
MBティモ・タンメマーも1セット当たりのブロック決定本数が0.63本とリーグ3位の数字を持つし、高さのあるアタックを止めるのは容易ではない。

強い相手だからこそ、楽しく、のびのびと、挑戦していくことがカギになりそうだ。
因縁の対決と称される相手に、やすやすと10勝目をプレゼントするわけにはいかないのだから。

SVリーグ第17節 ヴォレアス北海道戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div17-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div17-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

















