NAGANO DERBY“前哨戦” 呼称変更には「やってくれたなと」

決戦の3日前に“前哨戦”が繰り広げられた。J3のAC長野パルセイロは2026年10月15日、イオンモール須坂で「NAGANO DERBY直前トークショー」を開催。10月18日の松本山雅FCとのホームゲームへ向けて、両クラブのOBがダービーの思い出や見どころを熱く語った。信州スポーツキングダムでAC長野を担当する田中紘夢も出演したイベントの一部始終をお届けする。

文:田中 紘夢

オレンジと緑のコントラスト
山雅サポからブーイングも

「NAGANO DERBY」

両クラブで活躍したMCの土橋宏由樹さんがその呼称を口にすると、松本山雅サポーターからいきなりブーイングが飛んだ。

これまで「信州ダービー」と呼ばれてきた一戦が、今回から長野のホームに限って「NAGANO DERBY」へ。その決定に反旗を翻すとともに、場を盛り上げる意味も込めた、“愛と憎しみ”のブーイングだ。

今回のトークショーはAC長野が主催するイベントだが、松本山雅のサポーターも多数参加。1階席は100席を中央で区切り、右を松本山雅サポーター、左をAC長野サポーターとした。ダービーさながらのオレンジと緑のコントラストが眩しい。

「2011年のダービーを見た人はいますか?」

土橋さんがそう会場に問いかけると、左右から多くの手が挙がる。Jリーグ参入前の最後のダービーに駆けつけた“古参”も集結。松本山雅OBの片山真人さんは、AC長野のサポーターに向かって「僕に決められたのを見ていたんですね」と話し、苦笑いを誘った。

OBたちがアマチュア時代のダービーの話題で盛り上がる中、唯一当時を経験していないのがAC長野の勝又慶典さん。11年にはFC町田ゼルビアの選手として、両クラブとJリーグ昇格を争っていた。

「2011年のJFLは2位がパルセイロで、4位が山雅だったんですよね」。そう土橋さんが振り返ると、勝又さんが「3位は町田でした」と割って入る。そこから勝又さんは「町田の人」としていじられ、そのたびに会場は笑い声に包まれた。

KINGDOM パートナー

寝耳に水の呼称変更にツッコミ
「ボアルースとやるのかと…」

勝又さんはクラブ地域PR特命担当として、NAGANO DERBYという呼称に込めた思いを語った。

「今までの信州ダービーの歴史を否定するものではないし、NAGANO DERBYと強要して呼ばせるものでもない。クラブとして『もう一歩踏み出したい』という覚悟であることは、分かっていただきたい」

それに対して松本山雅のクラブプロモーション担当の片山さんは、こう受け止める。

「最初に聞いた時はびっくりした。信州ダービーは僕らが言い始めたわけではなくて、お互いのサポーターが自然と呼び合ったもの。『そこをいじる?』と思ったし、バチバチさせるための要素としては『やってくれたな』と。よりこっちは負けられない」

さらにAC長野サポーターの批判を承知で、「長野に2クラブはない。信州に2クラブはあるけど…」と主張。長野は長野市のことを指し、信州は長野県のことを指すという解釈だ。その上で「ボアルース(長野)とでもやるのかと思った」と冗談半分にツッコミを入れた。

Jリーグ初対戦の2022年には「信州ダービー」として共通ロゴも用いていただけに、唐突な変更については「全く認めているわけではない」。松本山雅にとっては寝耳に水だった。

それでも片山さんは「お互いのサポーターが『信州ダービーだ』『NAGANO DERBYだ』と奮い立って、スタジアムに足を運ぶきっかけになれば」と前向きにも捉える。AC長野の勝又さんも「あの時に一歩踏み出したから…となるように作っていきたい」と力を込めた。

近藤貴司は「嫌らしい選手」
まさかの一般観覧に拍手喝采

終盤は10月18日に行われるダービーの見どころを紹介。注目選手として、AC長野は千曲市出身のMF山中麗央、松本山雅は上伊那郡宮田村出身のFW田中想来の名前が挙がった。互いにアカデミー出身の期待の星だ。

AC長野の宇野沢祐次さんは、かつて自身が背負った10番を引き継ぐ山中に対し、「積極的にシュートを狙っていけばチャンスはあると思う。自分の形を持っていると思うので、そこにいかに持っていけるかが大事」と期待を込める。

松本山雅の鐡戸裕史さんも、田中想来に対して「たくましさがついてきた。球際も行けるし、技術的にもレベルアップしている」と称賛。一方で今季はまだ1得点にとどまっており、「そろそろ点を取ってほしい」と第2節以来のゴールを渇望する。

さらに片山さんはAC長野の「嫌らしい選手」として、近藤貴司の名前を挙げる。近藤は会場のイオンモール須坂に足しげく通っており、この日も1階席の裏でトークショーを観覧。それに気づいた観客から拍手喝采を浴びた。

最後は出演者が一斉に、予想スコアを書いたフリップボードを掲示した。松本山雅側は鐡戸さんが「3-0」、片山さんが「2-0」。AC長野側は宇野沢さんが「3-1」、勝又さんが「1-0」、田中が「1-0」となった。

はたして誰の予想が的中するのか――。蓋を開けてみてのお楽しみだ。


クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/

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