2日連続フルセットの激闘 チーム一丸で開幕連勝を果たしたトライデンツ

リードされても粘り強く戦い、逆転のチャンスを待ち続けた。2026年10月24-25日に行われた2026-27シーズンの大同生命SVリーグ男子開幕節。信州松本トライデンツは広島サンダーズをホームに迎えた。昨シーズンの対戦成績は4戦全敗。堅固なブロックを前に1セットも取ることができなかった相手に対し、全員が挑戦を続けた。GAME1はセットカウント0-2から逆転し、セットカウント3-2(24-26、19-25、25-21、25-22、15-10)で勝利。GAME2でもフルセット(25-23、25-23、23-25、21-25、21-19)を制し、開幕連勝を達成した。激闘の2日間を振り返る。

文:大枝 史

GAME1は大逆転勝利
自らを信じ、やるべきこと徹底

2セットを連取され、追い込まれた。それでも、コートに立つ選手たちの表情に陰りはなかった。

エア・ウォーターアリーナ松本で行われた広島サンダーズとの開幕戦。10月24日のGAME1、第1セットは序盤からリードを保つも終盤に追いつかれ、24-26で落とす。続く第2セットも広島THのブロックに苦しみ、19-25で連取されて後がなくなった。

このまま、ストレートでの敗戦となってもなんら不思議はなかった。

それでもキャプテンのアウトサイドヒッター(OH)工藤有史は「2セット取られたけれど、あまり負ける気はしなかった。ここから3セット取れるという気持ちを持てていて、それを表現できた」と振り返る。

第3セットからはクイックとパイプ攻撃(コート中央から打つバックアタック)を中心に相手ブロックを散らし、効果的な攻撃で2セットを連取。ファイナルセットに持ち込んだ。

最終第5セットも序盤に連続ブレイクでリードすると、丁寧にサイドアウトを繰り返して影を踏ませない。最後はミドルブロッカー(MB)安部翔大のブロックで15-10。激闘に終止符を打った。

トーマス・ラーナーヘッドコーチは「第3セットに向かう心の準備、覚悟ができていなければ、たぶん0-3で終わってしまったゲームだと思う」と話す。

選手それぞれが自分のやるべきことにフォーカスし、それを徹底して信じ続けた結果、勝利を手繰り寄せた。

2セットを先取されながら勝利したのは2024年11月24日、第7節ヴォレアス北海道戦GAME2以来。1年11カ月ぶりの大逆転勝利となった。

ヒーローはいてもチーム一丸
2年連続の開幕2連勝を飾る

GAME2は逆に2セットを先取するも、第3、第4セットを落としてフルセットに持ち込まれた。

第5セットは14-9と先にマッチポイントを握るが、連続ブロックを喫するなど14-14とデュースに持ち込まれる。そこから逆にマッチポイントを相手に渡すも、19-19から工藤が渾身のブロックで20-19とする。

最後は「いつものルーティンを守り、とにかく思い切り振り抜いた」というOHザカリー・ラマの強烈なサービスエースで勝利をもぎ取った。

ラマは、攻めてはGAME1でサービスエース2本を含む22得点、GAME2でもサービスエース2本を含む27得点を挙げる大活躍。GAME2ではサーブターゲットになり、相手サーブを実に57本も受けながら安定したレシーブを返す。自身初のプロキャリアを最高の形でスタートさせた。

それでも、ラマを始めとした選手たちは「チーム全員で一緒になって戦えた」と口を揃える。

ハイセットから何度も3枚ブロックを打ち破った工藤も、高い決定率でサイドアウトに貢献したオポジット(OP)フィリップ・ジョンも、驚異的なパワーで中央からアタックを決め続けたMBマックレヴィン・ディアリス平も、粘り強くボールを拾い続けたリベロ(L)松尾敬介も。誰か一人ではなく「全員で頑張れた」と話す。

それは、選手それぞれが強みを発揮し、自身の役割を徹底できたからだろう。

例えば、マックレヴィンはコート中央の脅威であり続け、相手ブロックの注意を引きつけて両サイドの負担を減らした。安部はMBながら2日間で15本ものサーブを受け、レシーバーの負担を軽減した。

ベンチメンバーを含めた全員の貢献を共有できていること、それをチーム一丸と言うのだろう。

動じず、揺るがず
冷静さを保ち続ける強さ

GAME1はサーブ107本に対してミスが27本、GAME2では114本に対してミスが30本あった。2日間の合計は57本で、広島THの31本と比べると2倍近い数字だ。

それだけ、サーブで攻めた。

サーブミスが多く、ブレイクが取れていない状況でも指揮官は「選手たちが自分のサーブを信じて、『打つなら打つ』という選択をしたのであればストップはかけなかった」と明かす。

その信じる力こそが、信州松本トライデンツの強さではないだろうか。

GAME1後の会見で工藤は「自分たちのやりたいことを実行できているので、迷わない」と振り返った。例えば相手にノーマークでクイックを打たれても、それはディフェンスシステムがハマらなかっただけのこと。

迷わないから、失点しても切り替えてコート上で冷静さを保てる。劣勢でも慌てずにチャンスを待ち続けることができたからこそ、逆転につながった。

それに加えて、積極的なミスを称えられる環境が選手たちを後押しする。

例えばGAME1第4セット、12-7で工藤のサーブから始まったシーン。相手のアタックを工藤がレシーブすると、高く上がったボールをラマがそのままアタック。惜しくもエンドラインを越えてアウトとなったが、そのプレーに指揮官は拍手を送った。

ミスがあっても、信じるものがあるから揺るがない。トライデンツはこれからも攻める挑戦を続けるだろう。

工藤は会見の最後に「会場の皆さんの声援が逆転勝利につながったと思う」とファンへの感謝を口にした。

ファンの声援が、その祈りが、挑戦の成功を後押しする。奮闘する選手たちに、精一杯のエールを送りたい。


SVリーグ第1節 広島サンダーズ戦 試合情報
https://sm-tridents.jp/match/2026-27-sv-div1-1
https://sm-tridents.jp/match/2026-27-sv-div1-2
クラブ公式サイト
https://sm-tridents.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/team/matsumototd/

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