Vリーグ男女同時開催の“ガロ・アリFes” 2日間で得られた有形無形の収穫

晩秋の上田に排球の風が吹いた。Vリーグの男子東地区・長野GaRonsと女子の信州ブリリアントアリーズが2025年11月15-16日、ともに上田市自然運動公園総合体育館でホームゲームを開催した。15日のGAME1は両チームともにブロックが機能するなどでストレート勝ち。その戦いぶりを振り返りながら、初の試みとなった同会場開催の意義などを掘り起こす。
文:大枝 令
KINGDOM パートナー
奥原、小林慧らOHが気を吐き
長野Gは連敗を5でストップ
上田のコートでまず勝ち名乗りをあげたのは、蒼き竜だった。
GAME1の第2セット、1-0と先手を取った場面。長野Gはアウトサイドヒッター(OH)奥原蓮が、東京ヴェルディのスパイクをブロックシャットする。
喜びながら駆け出し、左胸のエンブレムに手を当てる。

「ここ1〜2年ずっとブロックが課題だと感じていて(対面する相手オポジットに対して)僕のブロックのせいで負けてしまう試合もあった」
「すごく集中して練習にも取り組んでいるところだった。今日3本出て、(練習が)身になった気がしてうれしかった」

奥原はこの日、OH小林慧悟と並んでチームトップタイのブロック数「3」をマーク。打っても10得点はオポジット(OP)常田将志と並んでトップとし、持ち前のジャンプサーブも冴えて効果率10.7%だった。
前節までの課題を克服し、確実に勝利までたどり着いた。とりわけ修正が効いたのはブロック。この日不在の加戸隆司監督に代わって指揮を執った、川嶋英司アシスタントコーチ(AC)が明かす。

「100点満点ではないけれど、ブロックの付き方。3枚跳びに行くのか行かないのかとか、行くときはしっかり3枚揃えるとか…みんなの息が合うように注意してやってきた」
「その結果ブロックポイントも出ているし、悪いブロックの形だったり流れたり、そういったことが少なかった」

ブロック数は「9」と、とりわけ突出した数字ではない。
ただ、ストレートに打たせて内藤大、西河優太のリベロ陣が難なくディグに成功するなど、連動したブロックディフェンスが機能。ブロックタッチからの切り返しも目立ち、終始優位にゲームを進めた。

「以前はワンタッチを奥に飛ばされて取れないことが多かったけれど、修正して後ろのボールもちゃんと拾えるように対応できた」。川嶋ACは手応えを口にする。
これで連敗は5でストップ。開幕戦以来の白星をストレートで飾りつつ、続く女子の信州Ariesに勝利でまずはリレーした。

常田は安堵感を口にしつつ、ここからの反転攻勢を誓う。
「ホッとしている。攻撃がかみ合うと自分たちの流れで勝ち切ることができるのも改めて感じたので、もっともっとチーム力やコンビプレーを高めていきたい」

16日のGAME2は第1セットを先取したものの、第2セット以降は落として1-3。完成度を高めながら白星を追い求める旅路はまだまだ道半ばだ。
KINGDOM パートナー
山村、西村のミドル陣が躍動
信州Ariesは無傷の9連勝に
「ガロンズさんが勝ったと聞いて、すごく自分たちにも勢いを与えてくれたと思う」と信州Ariesのセッター(S)横田実穂。蒼き勝利の余韻が残るGAME1のコートで、今度は季節外れの桜吹雪が吹き荒れた。

ここでも、カギになったのはブロックだ。相手の高い攻撃力を警戒し、事前にブロックを入念に準備。成田郁久美監督は「今週は特にブロックの練習に時間を割いた。それがしっかりといい形で3セットとも出し続けられた」と納得の表情を浮かべた。
実際、高さでまさる信州Ariesは3セットで11本のブロックポイントを獲得。ケガから復活した山村涼香、進境著しい西村美海のミドルブロッカー(MB)陣が躍動した。

2人ともブロックポイントはチーム「4」。それだけでなく、背後からの声掛けでコースを絞るなどコミュニケーションの活発さも光る。そこから目黒愛梨、舛田紗淑のOH陣やOP王美懿(ワン・メイイ)が次々と決めた。
「ブロックの強化だったりブロックとレシーブの関係だったりをメインにやってきて、出だしは結構良かった」と山村。2〜3セット目の序盤は相手に走られるなど苦戦したものの、トータルで振り返れば役割を果たした。

役割を全うする――。
連覇を狙う信州Ariesの強さが、ここに凝縮されている。この日のミドル陣2人は、ブロックを前提としたチョイス。ただ、指揮官は「ミドル陣は誰を出してもいい形でしっかりと働いてくれる」と強調する。

ミドル陣に限らず、各ポジションでワンポイント出場した選手もきっちりと仕事をしてゲームを優位に進める。
その象徴的な存在が、OH田中瑠奈だろう。第3セット24-23のマッチポイントでこの日初めてコートに送り出されると、サービスエースを決めて試合にピリオドを打った。

「与えられた役割を自分なりに全うしていくところを意識してやっているので、今日最後の1点を取れたときは、ホッとした」
体が温まっておらずゲーム感覚も危惧される中、起用に対して「満点回答」。SVリーグ・NECレッドロケッツから移籍してきた27歳が、仕事人ぶりを存分に発揮した。

これで無傷の9連勝。連覇に向かって快進撃が続くものの、チームに慢心はない。横田が力を込める。
「相手チームは自分たちに向かってくるとは思うけど、自分たちも(連覇という)目標に挑戦していく挑戦者。その気持ちを絶えず持つのが気持ち的にすごく大事」

16日のGAME2も引き続きストレート勝ちし、開幕からの連勝を10に伸ばして首位を独走。横田が発した言葉に違わず、チャレンジャー精神を持って臨んでいるからこその快進撃なのだろう。
初企画の「ガロ・アリFes」
新規ファン発掘に期待かかる
初の試みとなった長野Gと信州Ariesの同日同会場での開催。初日はともにストレート勝ちという、理想的な結果で終えた。

「ガロ・アリFes」と銘打って共通チケットも販売し、両日で合計約100枚が購入された。特典の先着100人を対象とした記念コラボグッズのアクリルキーホルダーも好評だったという。
長野Gの試合でピンク色のユニフォームを着たファンが応援すれば、その逆もまた然り。新たなファン層の掘り起こしにも繋がった様子だ。

松本市出身の長野G常田は、充実の表情で振り返る。
「普段はガロンズを見ていないけれど、今日はアリーズさんと同時開催だから来てくださった方々もいた。そういう方たちの前で勝利で飾れたのはとても良かった」

岡谷市出身の信州Aries横田もシナジーを感じつつ、その意義を口にする。
「同じ長野県を盛り上げる仲間として、同じ会場でバレーボールできるのはすごく魅力だと思う」

2日間の4試合で、延べ1,193人が来場。長野Gの韮崎昌彦社長は「イベント開催なども含め、今後も一緒にやっていければいい。私たちも微力ながら信州Ariesさんの力になれれば」と話していた。
ガロ・アリFes 長野GaRonsページ
https://garons.jp/topics/
ガロ・アリFes 信州ブリリアントアリーズページ
https://www.briaristcamp.com/information?no=ru61cnvdSCvq3VCf3BSasgS



























