岡田優介さんと田渡凌が示した「お化けの背中」 “本物”を信州の子どもたちに

松本大学で2025年9月7日、「バスケの日in松本」が開催された。地域の子どもたちが一流選手からクリニックを受けるプロジェクト「お化けの背中」と、U15の3人制バスケットボールRBL3x3長野県予選の2つによって構成されたプログラム。クリニックの様子を中心に振り返りつつ、このイベントをサポートした株式会社巴屋・武田揚介代表取締役社長の思いも紹介する。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

プロが子どもたちに技術手ほどき
シュートやハンドリングなど伝授

松本大学第一体育館には、朝から子どもたちの活気と緊張感が相半ばしていた。

「お化けの背中」。一流アスリートの背中を子どもたちが直近で見て、肌で感じることでスポーツへの憧れや自信を育むことを狙いとするイベントだ。

AC長野パルセイロやアルティスタ浅間でプレーした元サッカー選手・三橋亮太さんが代表取締役を務める株式会社PLAY MAKER(上水内郡飯綱町)が県内各地で企画している。

この日の「お化け」は、昨季は香川ファイブアローズでプレーして現役を引退した元日本代表・岡田優介さんと、しながわシティの田渡凌だった。

練習のサポートとしてLAW from Shinshu(現信州ブレイブウォリアーズ3X3)の選手や、信州ブレイブウォリアーズに所属していた増子匠さんなどが参加した。

この日は岡田さんと田渡がそれぞれ指導。30分ずつと短いクリニックだからこそ、岡田さんは練習に入る前に大切にしてほしいことを子どもたちに伝えていた。

「一番大事なのは人の話を聞くこと。人の話を聞けない人はバスケがうまくならない。今日はいろんなアドバイスをするけれど、ちゃんと聞いて実行できるかどうかを見る。集中してやってほしい」

岡田さんからは、自身の代名詞とも言えるシュート中心のメニューが行われた。

単純なレイアップシュートや、ボールを腹部で1周させてのレイアップシュート。パスを受けてシュートを打つ対面シュートや、スクリーンを使ったボールのもらい方――。身体のバランスやシュートを打ちやすいステップを重点的に学んでいた。

田渡からはボールハンドリングを中心としたメニュー。

ドリブルをする際の姿勢や目線、細かなハンドリングスキル、ハードにやる大切さを指導に折り込み、子どもたちに対しても熱く接する姿が見られた。

クリニックを終えた岡田さんは笑顔を浮かべていた。

「子どもたちが非常に上手で、聞く力を持っていたので、言ったことをすぐに実行できていて素晴らしかった。限られた時間だったのでポイントポイントで伝えたが、シュートが入ったかどうかより、正しい身体の動き方や、正しい足のセットを大事にしていた」

田渡も同様に清々しい表情を浮かべながら、子どもたちにメッセージを残した。

「どういう姿勢で、どういうことを意識して練習に取り組むのか。そこが伝わればと思う。プロ選手に正解はない。全国の舞台に立ったことがない人もたくさんにプロになっている」

「今はいろんなところで人に見てもらうチャンスがあるので、ムダにしないでやっていくこと。そしてとにかくバスケットボールが好きという気持ちを忘れないでほしい」

子どもたちの双眸には憧れと輝き
巴屋・武田社長「松本に恩返しを」

小学校5〜6年生と中学生が対象で、男女含めて約70人が参加。参加した子どもたちは目を輝かせていた。

「田渡選手が相手を抜く時のドリブルのやり方が勉強になった」「普段の練習とは違って、ステップの使い方が難しかった」――。子どもたちの表情や言葉からしても、「お化け」の姿はしっかりと子どもたちの記憶に刻み込まれたようだった。

今回のイベントをサポートした株式会社巴屋の武田揚介・代表取締役社長は、次回の開催にも意欲を見せる。

「私たちもこの地で100年やってきている。なんとかこの松本でスポーツを通じて恩返しができたらと思っている。こんなに来てくれるとは思わなかったので、またやれる時にはさらに人数が増えたらいいと思うし、良いコーチをさらにいっぱい集めたい」

「プロを目指している子どもたちもいると思う。5人制だろうが3人制だろうがプロとして活躍してくれたらうれしい」

午後から岡田氏や田渡たちが見守る中で3X3の大会が行われ、その中で子どもたちは午前中に教わったプレーを披露する姿も見られた。

「お化け」の片鱗を見せる子どもたちに対し、解説を務めた田渡は喜びの声を上げていた。

「本物」を直近に見ることで、子どもたちが夢を持ち、目標に変えて歩んでいく。今後も地域のスポーツ文化が発展することで、子どもたちの笑顔や選択肢が増え、地域に活力を吹き込む大切な土台となるのだろう。


お化けの背中
https://obakeno-senaka.com/
株式会社PLAYMAKER
https://playmaker.co.jp/
株式会社巴屋
https://www.tomoeya-group.co.jp/

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