「何歳からでも上達できる」 “プロ仕様”のコートで大人がバスケをエンジョイ

2025年10月18日、信州ブレイブウォリアーズ-横浜エクセレンスの熱が残るホワイトリング。そんなプロ仕様のコートで、18歳以上の大人たちが本気でバスケットボールに取り組む企画「エンジョイゲームス」が開催された。30人が集まり、アカデミーのコーチ陣が見守る中で試合を楽しんだ。記者も実際にプレーをしながら取材し、面白さや意義に触れてきた。
文:芋川 史貴/編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
憧れのコートで広々とプレー
青野和人氏のワンポイント指導も
コートに一足踏み入れただけで、足元から全身に震えが駆け巡る。
つい数時間前まで選手たちが激闘を繰り広げたコートで、自分自身がドリブルをつき、シュートを打つ。
普段使っている体育館とは、天井の高さも雰囲気も全くの別物。それに加えてホームゲーム仕様のコート。例えエアボールだとしても、ホワイトリングの偉大さに笑みを浮かべながら、ボールを回収しにいく。

他の参加者もひたすらシュートを打ち込む人もいれば、普段は座れないベンチ席からの景色や、椅子の感触を楽しむ人たちなど、それぞれの姿が見られた。
信州ブレイブウォリアーズのアカデミーが主催する本事業は今回が3回目。大人対象は今回が初めてで、青野和人チーム本部長に開催理由を尋ねた。

「見るのと実際にやるのではどれだけ大変なのかもそうだけど、これを通じてうまくなりたいとか、何歳からでもバスケットは上達すると思う」
「ここで悔しいなと思ったら、明日からの生活が変わってきたり、この後のビールが美味しかったり。モチベーションはそれぞれだと思うけれど、これをどんどん普及していきたいと思っている」

この日は試合の前に自由にコートを楽しむ時間が設けられた後、青野チーム本部長から注意事項や、ドリブルのポイント、レイアップシュートの指導が行われた。
「レイアップシュートの時はバウンズパスを出してあげるとキャッチする時間が長くなるので、相手を思いやったパスを先に出してあげることがカギ」
「シュートが入っても、入らなくても、入った顔をしよう。人間はミスした後が非常に大事」
参加者の笑いを誘いながら、ワンポイント指導を行う。

KINGDOM パートナー
全員で作り上げるゲームと雰囲気
社会と繋がる「バスケのイロハ」
準備体操もケガをしないように入念に取り組む。
コートに寝転び足を伸ばす際には、天井を見上げて「すごく高い」と呟く参加者もいた。

試合は5人6チームに分かれての総当たり。ランダムに組まれたメンバーと自己紹介を交わして作戦を練る。審判も、タイマーもモップも参加者同士で担う。
「バスケットは自分がやりたいことをやっていてもうまくいかないチームスポーツ。自分だけが楽しいかどうかの基準ではなく、仲間とこの雰囲気を楽しんだり、良いものを作れたかどうかを大切にしてほしい」

例え気持ちが昂っていたとしても、自身をコントロールしながら周りを見渡すことがいかに大切か。青野チーム本部長も念を押す。
そして、いよいよ試合開始。1クォーター4分制で交代はなし。初めて組んだメンバーで、声を掛け合いながら攻め込んだり、マークマンを決めたりすることは案外難しい。

そもそも名前を覚えないとコミュニケーションが取れない。誰がボールを運ぶのか。運んだ後に、誰がパスを受け取るのか。ボールタッチの回数にも差が生じてしまう。
とはいえ、フリーの状態であるにも関わらずシュートを打たないのは推奨されていない。チームで作り出したチャンスを得点にする。ある種の責任を持つ。

落ちたとしても仲間でリバウンドを取りに行く。助け合う。
チームでどう楽しみながらも勝ちをつかみ取りに行くか。それぞれが考えながらバスケットに取り組んだ。
学生時代の部活動で取り組んでいた時は、コーチの話も単なるバスケットボールの枠組みだけの話だと思っていた。

しかし、社会人になってから青野チーム本部長が語る言葉に耳を傾けたり、普段のコミュニティとは違う環境でバスケットをしたりすると、どれもこれも仕事をしていく上で大切なことばかりだと気が付いた。
バスケットボールの普及という観点だけでなく、「社会経験」「社会勉強」といった側面でもこのプログラムは非常に価値のあるものだと感じた。

「生涯バスケ」を楽しめる環境へ
今後も「大人対象」を見据える
無事に大きなけがもなく全ての試合が終了。順位も発表され、参加者同士で健闘を労った。
参加者たちは笑顔で感想を口にする。

「選手が実際にプレーしている場所でシュートを打ちたくて応募した。すごく広い場所でバスケをすると、今までと全然感覚が違うし、シュートが入った時の気持ち良さというのは本当に良かった」
「ホワイトリングでバスケをしたくて応募した。すごく貴重な体験をさせていただき楽しかった。見ているのとやるのとでは違って思った100倍大変だった。またやりたい」

渡辺智之アカデミー部長も目を細めた。
「大人たちが、子どものようにバスケットする場を提供できたことは非常にうれしかった。実際にプレーしていた方たちの笑顔を見ると、バスケットをやったり、応援したりという楽しさが改めて感じられた」
「今後もぜひ企画したいし、日常でも大人のスクールも開いている。競技力を高めた環境だけでなく、『昔バスケットをやっていてまたやりたい』という人たちが集まれるコミュニティもできれば」
「そこからコミュニティを持ちながら、いろいろな関係を持ってウォリアーズの応援だったり、それ以外のこともお話できるそういう場になればいいと思っている」

大人を対象にした初めてのエンジョイゲームス。生涯を通してバスケットを楽しめる環境が信州を中心に広がった先に、どんな未来が待っているのか――。
次は11月1日のバンビシャス奈良戦GAME1の後に「3×3ゲームス」が行われる。

Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/


















