B1王者・宇都宮ブレックスから修行の旅へ 石川裕大、信州に“見参”

2025年11月20日、信州ブレイブウォリアーズのリリースから石川裕大の期限付き移籍(レンタル移籍)が発表された。前年度B1王者の宇都宮ブレックスからB2の信州へ。21歳の若武者はなぜこのような選択をしたのだろうか。加入直後の石川に直撃し、今回の移籍に懸ける思いを聞いてきた。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

180度違うバスケに悪戦苦闘も
「壁にぶつかる時が一番楽しい」

11月26日。練習会場のホワイトリングではコートを駆け回る石川の姿があった。

「全体的にすごく優しくて、チームに馴染むのも早かった」

そう語る石川がチームに合流したのは11月23日。青森ワッツ戦GAME2当日のことだった。体調不良により合流が遅れた石川は、練習に一度も参加しないままコートに立ち、9分45秒の出場で5得点を記録した。

「自分の長所であるアグレッシブに行くところや、得点力を出せるだけ出そうと果敢に攻めることを意識した。結果的には身体も全然動かず、チームのこともわからずで足を引っ張ってしまった」

11月24日に21歳の誕生日を迎えたばかりの石川からは、自責の念があふれていた。

PROFILE
石川 裕大(いしかわ・ゆうだい)2004年11月24日生まれ、栃木県宇都宮市出身。宇都宮市立西原小、宇都宮市立一条中、帝京高校卒業後、米国のCombine Academyでバスケの腕を磨く。2013-17年までブレックスバスケットボールスクールに所属し、2017-2020はブレックスU15でプレー。2019年、2020年にはB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIPで優勝を経験。2024年7月から宇都宮ブレックスの練習生として加入し、U22枠として選手契約を結んでいる。「自分が壁にぶつかってる時が一番楽しい」と語る負けん気の強いPG。176cm、73kg。

合流翌週からチーム練習に加わり、取材したこの日は、合流後初となる対人練習で汗を流していた石川。

持ち味であるスピードと緩急を生かしながら味方へパスを供給するものの、どこか思い切りの良さに欠けていた。ターンオーバーやリズムが合わないことも多々。

そのことについて本人も自覚している様子だ。

「めちゃくちゃ苦戦しているのは、やっているバスケが(宇都宮と)180度違うこと。知らない技術やオフェンスを今やっていて、それにアジャストすることを頑張っている」

「自分の長所は得点力やアグレッシブにアタックすること。その中でタイミングを見ないといけないシーンだったり、『この場面でこの選手を使いたい』『トランジションを取りたい』という時にコントロールできるガードになりたいと思っている」

そんな石川に対して同じポジションのポイントガード(PG)を務める土家大輝は、練習中から多くのアドバイスを送っていた。

「シンプルに考えて、まずは自分のアタックファーストでやった方がチームも良い方向に進む」

土家自身も試合をオーガナイズ(組み立てる)することを目標に掲げているため、石川にとっても良いお手本となるだろう。

また練習後は、小玉大智らとともにセットプレーやディフェンスの確認を入念に行なう姿も見られた。

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)もその様子を見て微笑みながら語る。

「日曜日(23日)なんかは『周りが合わせるから何も考えないで、本能でプレーして』と言った。そして今週は考えることになるので一回苦しむと思うが、なるべく考えさせないようにただプレーさせてあげたい」

レンタル移籍に懸ける思い
「試合の中で経験できることも」

今回のレンタル移籍は12月18日まで――と、宇都宮ブレックスの公式HPでは記載されている。栃木県宇都宮市出身であり、地元チームで腕を磨く21歳の若武者はどのような考えでこの移籍を選んだのだろうか。

石川は明かす。

「もちろん、自分としてはブレックスが一番チームとしてもレベルが高いと思っているし、すごく良いチームで経験も積める。その中で自分が今一番必要だと思ったことは試合勘。試合の中で経験できることもあると思ったので、プレータイムを求めて信州に来た」

宇都宮には比江島慎や、D.J・ニュービルら、言わずと知れたそうそうたるメンバーがそろっている。その中で石川は、今季平均プレータイムが2分33秒。プレータイムが得られない試合も珍しくない。

一方信州は、小栗瑛哉や生原秀将のPG陣がケガやコンディション不良のため試合に出られない状況が続いており、唯一のPGである土家がベンチに戻る時間帯には、ターンオーバーが増加傾向にある。そのため、短期でもPGの獲得は急務となっていた。

勝久HCも感謝を口にする。

「ブレックスにもとても感謝している。彼のためを思っていると思うし、我々の状況も理解してくれたようなやり取りをしてくださった彼らにも感謝している」

移籍してきて間もない石川だが、早速多くの学びと気づきを得ているという。

「今まで自分がどれだけ周りに頼っていたかすごくわかった。信州では自分がもっとやらなきゃいけない場面も増えてくると思う。ここでしっかりやれたら、ブレックスに戻った時にやれることが増えると思うし、より楽にバスケができると思う」

「まずはしっかり基礎的な能力やスキルを磨いて、その中でも信州のバスケをしっかり学ばせてもらって、経験をして、ステップアップできたらと思う」

いざホワイトリングでの初陣へ
黄色のファンに届ける熱き決意

11月29-30日にはホームでベルテックス静岡戦が開催され、石川のホワイトリングデビューにも注目が集まる。

B1は12月4日までバイウィークとなっているため、信州ブースターだけでなく、多くのBREX NATION(宇都宮ファン)が会場や画面の前で石川を応援することも予想される。

石川はまず信州ブースターに対して思いを語る。

「個人としてやれることはあまり変わらないと思う。まずは勝てるようにしっかり準備をしたい。この間も(青森戦GAME2)第4クォーター(Q)の最後の方にも出してもらったが、そういう場面でこそ、自分の良さや課題を克服しないと今度の成長に繋がらない」

「まずはそういうところで、(青森戦から)『成長しているんだよ』ってことをみなさんにお見せして、自分がどういうプレーヤーなのかを週末の試合では証明できればと思っている」

続けてBREX NATIONに向けてもコメントを残した。

「遠くから来てくださる方、自分の地元から来てくださるファンが多いと思うので、それは素晴らしいことだし、ありがたい。その中でこの間みたいに不甲斐ないプレーをしてしまうと、チームにもファンに対しても良くないと思う」

「今2年目だが、地元のチームを離れることは初めて。どこでも自分のプレースタイルを証明できるような選手になりたいと思っている。引き続き頑張りたい」

約20分間にわたるインタビューに、力強い言葉と時折笑顔を見せながら答えた石川裕大。まずはホワイトリングで挨拶代わりの活躍を見せ、ステップアップへの足がかりとしたい。


ホームゲーム情報(11月29-30日、ベルテックス静岡戦)
https://www.b-warriors.net/lp/game_20251129_20251130/
Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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