12.20の「超クリスマス」に“ずくだせ!” 1万人集客へ、選手主体で鐘を鳴らす

一足早いクリスマスに向けて、女獅子たちがオレンジの飾り付けを進めている。AC長野パルセイロ・レディースは2025年12月20日、WEリーグ第14節でホームに日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦。当日は「ずくだせヒロインの超クリスマス」と題し、1万人プロジェクトを実施する。選手が主体となった取り組みの集大成で、どんな景色が見られるか――。

文:田中 紘夢

吉野が広島で見た2万人の光景
草の根活動の成果を長野でも

「あの景色を見て、もっとこういうチームが増えれば女子サッカーは発展していくと思った。今は長野でもそういう取り組みをしているので、自分なりにできることをやっていきたい」

今季、サンフレッチェ広島レジーナから加わったFW吉野真央。彼女が話す“あの景色”とは、昨季に広島で味わった2万人超えの大観衆だ。

2025年3月8日、WEリーグ第13節。広島は1万人プロジェクトを実施し、20,156人と倍以上の集客を収めた。吉野はメンバー外でスタンドから見守ったが、プロジェクトの一員として感銘を受けたという。

「本当にすごい景色だった。自分はスタンドから見ていて悔しい思いをしたけど、ピッチに降りたときにはみんな涙があふれていた」

選手が主体となって地域に赴いたり、SNSで発信したりと、3カ月ほど集客に尽力してきた。その中で吉野は、Jリーグに所属する男子チームは知られていても、「女子サッカーは思った以上に知られていない」と実感。草の根活動の重要性を肌で感じた。

昨季の広島のホーム平均観客数は5,482人で、リーグ断トツの1位。AC長野の集客チームはそのノウハウを学ぼうと、アウェイ広島戦に足を運んでヒアリングも行った。集客/チケット担当の鐙(あぶみ)翔星さんは、以前の取材でこう話していた。

「何か特別なことはなくて、『集客には魔法がない』というのが結論だった。地域に足を運んでPRしたり、メディアに情報を送り込んだり…。自分たちにできることもたくさんもあるし、長野にもまだまだポテンシャルがあると感じた」

このほか新たにTikTokのアカウントも作成するなど、積極的な発信を心がけている。

Uスタで過ごす“超クリスマス”
菊池がTシャツのデザインを監修

他クラブの前例などを踏まえて打ち出したのが、今回の1万人プロジェクトだ。

12月20日、年内最終戦のWEリーグ第14節。「ずくだせヒロインの超クリスマス」と題し、長野Uスタジアムで聖なる一日を作り上げる。

シンガーソングライター・MACOさんのスペシャルライブをはじめ、クリスマスにちなんだマーケットやステージで会場を装飾。パーティーVIPボックス、サンタクロースシートと特別な席種も用意している。長野市在住の1,000名を無料招待し、小学生以下は無料で観戦可能だ。

10月27日のWEリーグ クラシエカップでは、「DREAM SCHOOL DAY」と題して長野市内の小中学生約4,000人を招待。過去最多の4,264人が集って盛況裏に終えた。その御礼も込めて事前に小学校を訪問しつつ、当日は小学生以下限定で先着1,000名にクリスマスTシャツも配布する。

Tシャツのデザインを監修した菊池まりあは、こう願いを込める。

「今までにもベースボールシャツを配布して、大人も子どもも着られるものはあったけど、子ども向けとなったら可愛いデザインにしたかった。そこで雪をイメージしたドット柄と、サンタ帽を被ったライオーを取り入れた」

「クラブと一緒にプロジェクトを作っていく中で、より愛されるチームになるために考えさせられた。スポンサーの方々の思いも知りながら、自分たちを知ってもらえる良い機会だと思う」

カップ戦で実感した声援の力
冷たい向かい風も吹き飛ばす

チームはリーグ戦7連敗と苦しい状況だが、その間には意地を見せる試合もあった。

先述したクラシエカップの「DREAM SCHOOL DAY」では、小中学生の声援が飛び交う中、マイナビ仙台に2点ビハインドを追う展開。それでも試合終了間際、菊池のクロスが直接ゴールに吸い込まれて一矢報いた。

「今までにない声量でびっくりしたし、いつも以上に気持ちが入った。あの1点は声援が後押ししてくれたと思う」

今回の1万人プロジェクトも、多くの声援が力になるはずだ。しかも、相手はリーグ王者の日テレ・東京ヴェルディベレーザ。並大抵の準備で勝てる試合ではない。

「うまい選手たちにどれだけ立ち向かえるか。狩りに行くくらいの強いマインドが大事」と菊池。加入後初ゴールが待たれる吉野も「まだ目に見える活躍ができていない。サポーターに結果で感謝を伝えたい」と力を込める。

王者撃破もそうだが、1万人というハードルは高く険しい。広島と比べても予算や時間配分が限られる上、真冬の長野で12月20日に開催するのもネック。駅前でチラシを配った際も冷たい風を感じた。

それでも女獅子たちは、諦めることを知らない。プロジェクトのタイトルにある「ずくだせ」という方言は、“やる気や根気を出す”という意味。その言葉どおり、寒さも吹き飛ばす熱い橙魂を見せてくれるはずだ。


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2025/26 SOMPO WEリーグ 第14節 東京NBイベント情報
https://parceiro.co.jp/info/detail/we14/
クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/
長野県フットボールマガジン Nマガ
https://www6.targma.jp/n-maga/

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