“5度目の正直”で東レ静岡に今季初のストレート勝利 鬼門突破で6位浮上

今までの鬱憤を晴らすかのような、ストレートでの快勝だった。SVリーグ男子第4節のGAME1。VC長野トライデンツは2025年11月15日、ホームのANCアリーナで東レアローズ静岡に3-0。第1〜2セットを連取すると、第3セットも終盤にリードを許しながらもデュースの末に30-28で取り切って今季初のストレート勝利。開幕節から悩まされた第3セットの鬼門を突破した一戦を振り返る。
文:大枝 史 /編集:大枝 令
第3セットの「鬼門」を突破
苦い記憶を払拭した集中力
“あの日取れなかった1点”を、今度こそ取り切って見せた。

第2節WD名古屋戦GAME2、第3節東京GB戦GAME1。ともに先に2セットを連取してから逆転でのフルセット負けが続いていた。
ましてや第3節GAME2の第3セットは39-41。SVリーグ男子での最長デュースを記録したほどの熱戦の末に力尽き、ストレート負けだった。

そもそも開幕節で日鉄堺BZを相手に挙げた連勝も、第1〜2セットを連取してから第3セットを落とし、第4セットを取っての勝利。開幕してからの6試合で第3セットを取った試合は1つもない。第1〜2セットを連取したのは4回もあるのにだ。
VC長野にとって第3セットは、まさしく“鬼門”であった。

2025年11月15日に行われた東レ静岡とのGAME1。この日も粘りを見せながら第1〜2セットと連取する。

そして迎えた第3セット。
セッター(S)の中島健斗が「『今日は何としても勝つぞ』と、みんなが高い意識で第3セットに入れた」と振り返るように、序盤から丁寧にサイドアウトを取り、オポジット(OP)マシュー・ニーブスとミドルブロッカー(MB)山田航旗のサービスエースでリードを作る。

中盤以降は相手OPキリル・クレーツのサービスエースとブロックで追いつかれると、23-23からは相手にブレイクを許し、逆にセットポイントを握られる。

悔しい敗戦の記憶が、嫌でも蘇るようなシチュエーションだった。
それでも、選手たちの集中力は途切れることはなかった。

アウトサイドヒッター(OH)工藤有史が「なんとなく第3セットは取られてしまう記憶はあったが、コートの中では『守りに入ることなく、攻め続けよう』と言い続けて、それを実行できた」と話すように、23-24から綺麗なAパスが返るとニーブスがしっかりと決め切ってデュースに持ち込む。

26-26ではOHオスカー・マドセンが強烈なサーブで相手を大きく崩し、繋いだボールをニーブスが決め切ってブレイク。27-26とマッチポイントを握る。

最後は29-28から中島のサーブで相手を乱すと、クレーツのアタックは大きくアウト。30-28。今季初のストレート勝ちを収め、アリーナを歓喜で染めた。
KINGDOM パートナー
POMに輝いたカナダ人ニーブス
中島のトス回しで本領を発揮
開幕してからここまで粘り強く戦ってきた中でも、今日の試合はいままでと一線を画していた。

象徴的なのがサイドアウトの取り方。レセプションからのアタックで、すんなりとサイドアウトを取るシーンが多く見られた。
「いままでの3チームと比べるとブロックはそこまで怖くないと思っていた。そのイメージがあったから今日は考えすぎずにやることを意識していた」

中島がそう振り返るトス回しが冴え、序盤はニーブスが1枚ブロックから何度も決める。

「オポジットの選手はやはり打って、決まって、乗る――というのが普通」
川村慎二監督が話すように、ニーブスは勢いに乗ってそのポテンシャルを発揮し始める。

第2セット以降もペースを落とすことなく、チーム最多の18点を叩き出す。アタック決定率も64.3%と高い数字を残し、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いた。

「東京GB戦は下に打ちすぎていて、シャットされたりタッチされたりするシーンが多かった。高くキープするようなトスに変えてもらった」
「奥に打つことを意識して1週間練習をしてきた。今日はどんなブロックが来てもそれをちゃんと実行できた」
そう話すように、東京GB戦での悔しい敗戦から学び、切り替えて調整した。

試合終盤でもその勢いは衰えず、第3セットの27-27のシーンではバックアタックで相手コートの隅に決め切った。高さと精度を見せて勝利に大きく貢献し、OPとしてひときわ頼もしい姿を見せた。
サイドアウト支えたレセプション
「対応への対応」を示して連勝を
レセプションではマドセンが相手のフローターサーブに対してオーバーで丁寧に返し、隙を見せない。サーブレシーブは36本と、実に全体の3分の2を受けて安定したサイドアウトに貢献した。

「対策されることは間違いないが、その後の対応力はオスカー選手を中心にしっかりやってくれると思う」

指揮官が会見で話したように、今日の試合を受けて相手も対策を講じてくる。それに対してどう戦っていくか。第3セットを苦手としていた側面には、「対応の対応」という点に課題があるのも事実ではある。

サービスエース3本を含め、サーブ効果率21.9%と高い数字を残した工藤は「明日は相手も修正してくると思うし、自分たちも修正する部分はある。しっかりと修正して相手を上回れるように」とすぐに気持ちを切り替える。

「今日は3-0で勝ったけど、僕たちは決して常勝軍団ではない」。中島がそう話せば、工藤も「自分たちがチャレンジする気持ちを忘れずに頑張りたい」と気を引き締める。

実際、相手のサーブミスに助けられた局面もあった。例えば第3セットの24-25の場面。それまでに3本のサービスエースを取っているクレーツのサーブ順が回ってきた際に、肝を冷やしたファンもいるだろう。

互いの修正力と対応力。
GAME2ではその真価が問われる。

SVリーグ第4節 東レアローズ静岡戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div4-1
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461


















