17連敗中のVC長野が繋ぎたいのは「ボール」と「思い」 トンネル脱出のカギは

長く暗いトンネルは、自分たちの力で終わらせる以外にない。2026年1月24-25日のSVリーグ第12節、VC長野トライデンツはホームのエア・ウォーターアリーナ松本で広島サンダーズと対戦し、両日ともにセットカウント0-3で敗れた。チームは昨年11月15日の東レアローズ静岡戦以降は勝ち星がなく、17連敗。最下位に沈む苦しいチーム状況ながら、試合の中で見え始めた光明とともに現在地を探る。

文:大枝 史 /編集:大枝 令

高さに対抗する戦い方のヒント
オスカーとファルハンが魅せた技

高いブロックと堅いディフェンスに苦しめられ、特にGAME1では被ブロックが15本と相手の高さに苦しめられはした。しかしその中でも、アウトサイドヒッター(OH)のオスカー・マドセンは巧みな技で相手のブロックをかいくぐっていた。

「特に第1〜2セットはボールも見えていたし、相手のブロックも見えていた。ディフェンスもどこにいるかが感覚でできていた」。GAME1終了後の会見で振り返った通り、高いブロックに適応して得点を積み重ねた。

「相手がサーブだけではなくブロックのメインターゲットを自分に変えてきたことで第3セットは続けられなかった」と話すが、続くGAME2でも安定したクオリティを発揮。2日間ともチームトップの得点を叩き出した。

特に要所でのパイプ攻撃が光り、オスカーのバックアタック成功率はGAME1が80%、GAME2が66.7%と高い数字を残した。

セッター(S)赤星伸城は「クイック、パイプで真ん中に意識を持たせたところでレフト――というトスワークを意識していた」。ミドルブロッカー(MB)陣の打数こそ多くはないが、山田航旗、安部翔大らが本気の踏み込みで相手ブロックを引き付けるシーンも多々見られた。

そしてGAME2では、スタートから出場したOHファルハン・ハリムも好パフォーマンスを見せた。

相手のブロックを利用するアタックや鋭いサーブを持ち味にしているファルハンは、後半戦に差し掛かるタイミングでコンディションも向上。加えて課題としてきたレセプションでもサーブレシーブ成功率50%と安定した数字を残し、存在をアピールした。

「オスカー選手がずっと『長く打て』とか、色々とアドバイスしてくれたことが準備するのに役立った」とファルハン。助言を生かし、高いブロックに対しても落ち着いてリバウンドを取ったりブロックアウトを狙ったり。持ち味を前面に出した。

例えば第1セット17-22のシーンでは、相手オポジット(OP)フェリペ・モレイラ・ロケの強いサーブで大きく崩されたものの、リベロ(L)難波宏治がネット際に寄せたトスを冷静に処理。2枚ついたブロックに当ててリバウンドを取ると、体勢を整えて再びアタックしてブロックアウトでサイドアウトを取った。

「ベストを尽くしてやれた」とファルハン自身も振り返るように、高さに対抗する戦い方をオスカーとともにしっかりと見せた。

各自のストロングを生かすため
サーブの変化に表れたチーム戦術

両日ともにフル出場した安部翔大には目に見える変化があった。

腰を落とし、両手でボールを深く下げてモーションに入るいつものサーブルーティン――ではなく、優しくトスを上げるフローターサーブを放つ。

GAME1ではそれが機能し、サーブ効果率11.4%の数字を残した。「ジャンプサーブをやめたつもりはなくて、チャンスがあれば打っていきたい」とGAME1終了後の会見で安部は話した。

ただ、その背景にはサーブを打つ順番が影響している。

多くのケースは安部の前にはOHの工藤有史かオスカーで、後にはOPマシュー・ニーブスが控える。仮にサーブミスが続いてしまえば、前後のビッグサーバーが思い切り打てない状況になりかねない。

「今までだとジャンプで巻いて入れていたが、それだと簡単にAパスを返されてしまう」と安部。チームとしてよりサーブを効果的なものにするために、明確な狙いを持った戦術を見せた。

それはハイブリッドサーブを打つ山田と赤星も同様で、2人もフローターサーブを打つ割合が非常に高かった。「ハードサーバーが多くいるので、その人たちが打ちやすいようにミス率を少なくしている」と赤星。2日間を通して赤星は19本打ったサーブのうち、ミスはわずかに1本だけ。山田も14本打って1本。安部に至っては21本打ってミスは0だ。

「直近の試合であまりサーブ効果率が上がっていないので、フローターの選手が繋いでジャンプサーブの選手が崩すのをチームとしてやっている」と山田は明かす。チームのサーブ効果率はGAME1で10.7%、GAME2でも9.5%と高水準の数字をマークした。

中でもニーブスがGAME1でサービスエース2本を含む18.2%、GAME2ではサービスエース3本を含む19.2%と気を吐いた結果でもあり、その活躍に疑いの余地はない。

それはあたかも、トスを上げやすいパスを返すように。アタッカーが打ちやすいトスを託すように。ビッグサーバーに思い切り打ってもらうために託した成果とも言えるだろう。

連敗脱出のカギとなるのは一体感
かつての「兄貴分」からのエール

敗れはしたものの、2試合を通してボールを落とすまいとする執念、そして勝利への渇望は示した。圧巻だったのはGAME1第1セット、9-12で工藤のサーブから始まったラリーだ。

相手MB三輪大将のクイックをL藤澤慶一郎が上げ、続くロケのアタックもニーブスが拾う。相手に返ったフリーボールから再び三輪のクイックも赤星が拾い、藤澤がパンケーキで繋ぐ。最後は相手OH新井雄大のアタックがアウトとなり、ブレイクを取った。

GAME2の試合後会見で赤星は「昨日の試合に比べてみんなが一致団結してやれたと思う。その結果が第3セットで、負けてしまったが良い戦いができたと思う」と一定の手応えを口にした。スコアだけ見れば両日とも0-3のストレート負けだが、その表情は異なっていた。

単純な高さでは他のチームに遅れを取る以上、選手全員がそれぞれの役割を全うしないと勝つことは難しい。それをよりポジティブに発揮していくために、VC長野はとりわけチームの団結力、一体感を失わずに戦うことが必須だ。

昨シーズンVC長野に在籍した広島サンダーズのMB樋口裕希に対戦相手としての印象を尋ねた。

「外国籍選手が頑張って声を出したりしている中で、それを伝えるメンバーがいないのかな…と思った」「中堅と呼ばれるような選手がいると思うので、『もう少し頑張れよ』というのは僕の口からも伝えようかと思う」と話してくれた。

負けが続いていく中でポジティブな雰囲気を作るのは簡単ではない。ネガティブな要素ばかりに目がいきがちではあるし、自身に矢印を向け続けるのも難しいかもしれない。

急に身長が伸びることはないように、長らく課題としている要素をたちまち解決するのも難しい。であればこそ、今の自分たちができることに目を向けて、チーム全体で勝つために一丸となっていきたい。


SVリーグ第12節 広島サンダーズ戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div12-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div12-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

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