クラブ史に残る“0.3秒のミラクル” 1点差の死闘制してセミファイナルへ

まるで筋書きが用意されていたかのような劇的な展開で、信州ブレイブウォリアーズがB2プレーオフ(PO)準々決勝を突破した。1勝1敗で迎えた2026年5月4日のGAME3。信州は第4クオーター(Q)残り0.3秒で福井ブローウィンズ(ワイルドカード上位)を逆転。激戦の末に90-89で勝利をもぎ取ると、ホームの長野市ホワイトリングを黄色に染めた信州ブースターは喜びを爆発させた。
文:芋川 史貴
KINGDOM パートナー
衝撃のラストバトル
窮地救った“ダウムの0.3秒”
衝撃のラストバトルに、バスケットボールの魅力が凝縮していた。

両チームとも、負ければ即シーズン終了となる大一番。序盤からシーソーゲームが続き、1点を争う展開のまま第4Qに突入した。
88-87で信州が1点リードして迎えた残り7.0秒。福井のライアン・ケリーにレイアップをねじ込まれ、逆転を許す。さらに福井はバスケットカウントでフリースロー(FT)を獲得。これを決められれば信州のビハインドは2点に広がり、勝機は大きくしぼむ。

だが、信州の選手たちはもちろん、ブースターも誰ひとり諦めていなかった。
ベンチでは勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)が選手を集めてラストプレーを指示。信州ブースターも懸命に声を張り上げ、PO準々決勝では1本もFTを落としていなかったケリーに圧力を掛けた。
チームの希望と、ブースターの願いは、形になった。

ケリーのFTはショートしてリングに弾かれる。
リバウンドを拾ったマイク・ダウムが土家大輝にボールを預けてフロントコートまで駆け上がると、3ポイントラインのトップの位置で再びダウムにボールがわたる。ダウムは相手ディフェンスのズレを見逃さず、そのままリングにアタック。ケリーからファウルを受けてFTを獲得した直後にブザーが鳴った。
「あの(最後のFT)瞬間は、家族のことを思い出して、子どもと奥さんの名前を言いながら自分を落ち着かせていた」とダウム。福井ブースターからの圧力をものともせず、2本のFTを沈めた。その後、掲示された残り時間は0.3秒。浮気性だった勝利の女神は、最後の最後に信州に向かってほほ笑んだ。

残り7.0秒からの攻撃は「今まであまり使っていなかったセットプレーだった。久々に使ってギャップを見つけたので、自分でいけると思った」とダウム。残り0.3秒から一発逆転を狙った福井の攻撃も、ウェイン・マーシャルが福井ボールを手に引っ掛け、勝利のブザーを聞いた。

「本当にすごい試合だった」
勝久HCは興奮冷めやらぬ様子のまま試合後の記者会見に臨み、最後まで戦い抜いた選手たちを称えた。
KINGDOM パートナー
球際の強さ取り戻したチーム
大きかったチェンバースの復帰
コンディション不良で5月3日のGAME2はベンチを外れたアキ・チェンバースがロスターに復帰したことも勝因の一つと言えるだろう。

GAME2は要所で球際の争いに敗れ、試合の流れをつかめなかった信州。この日は一転して立ち上がりからチーム全体でボールへの執着心を見せた。
ターンオーバーが起きそうな場面ではチームメイトがお互いにカバー。懸命にルーズボールに飛び込むなど、粘り強いチームプレーの影にチェンバースの存在があった。
「昨日の試合から反省して、(この日の)エナジーはまるっきり別物だった」と勝久HC。「やるべきことはしっかりやる。素晴らしいファイトだった」と評価した。

チェンバーズのコンディションは決して万全でなかったが、ディフェンスで身体を張ってリバウンドに絡み、オフェンスでは正しい角度でスクリーンをかけて味方の得点をアシスト。試合終盤には追い上げムードを加速させる貴重な3ポイントシュートを沈めた。
7リバウンドはチーム最多。その選手が出場していた時間帯のチームの得失点差も最多の「12」を記録し、得点数だけでは語れない存在感を数字で示した。

チェンバースに限らず、小玉大智も要所で3ポイントシュートを決めたりケリーに激しいディフェンスを見せたりと奮闘。チーム最多の25得点をマークしたエリエット・ドンリーは「みんながやるべきことを遂行できた」と話し、チーム全員の力でつかんだ勝利を強調した。

しびれるようなゲームを制し、次の舞台は5月9日からホワイトリングで始まるPO準決勝。福井と同様にレギュラーシーズンの対戦成績は3勝3敗と五分だった福島ファイヤーボンズ(東地区2位)を迎え撃つ。
目標の優勝に向かって歩みを進めることができるか。チームとブースターの新たな挑戦が始まる。
B2プレーオフ準決勝 信州ブレイブウォリアーズ vs 福島ファイヤーボンズ
https://www.b-warriors.net/lp/game_20260509_20260511/
Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/















