泥沼23連敗から立ち直る“ロードマップ”は VC長野・古田博幸監督代行に聞く

衝撃的なリリースが出た。2026年2月19日、VC長野トライデンツは川村慎二監督を休養とすることを発表。古田博幸コーチが監督代行を務めることとなった。その時点でチームは21連敗中。どのように立て直しを図り、シーズン残り試合を戦っていくのか――。「初陣」となった2月28日-3月1日の第15節・ウルフドッグス名古屋戦で得られた成果も含め、古田監督代行のインタビューをお届けする。
文:大枝 史 /編集:大枝 令
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トンネル脱出のカギは「対話」
ベクトルそろえて前向きに戦う
――今までコーチを務めてきた中で、監督代行としてどんな意識でチームを率いていますか?
こういう状態でなかなか難しいですけれど、まずは選手が動揺しないように、雰囲気を重視してコミュニケーションを取っています。
もともとコミュニケーションは取っていましたが、「より一層」というか。話しかけたり相談を聞いたり、そういうところでコツコツやるしかないと思っています。
あとは試合にどういうコンディションで持っていけるか。特別に難しいことをやってはいませんが、任された以上は、どうにかして戦えるチームにしなければいけないという思いで取り組んでいます。
――練習内容の変更もあるのではないでしょうか?
今度は自分が一任されているので、ある程度は自分の思いを込めて組み立てています。僕もコーチが長いので、マンネリ化してしまってもダメ。これを機に変えていこうと思っています。
やってみてから、良いか悪いかを判断しながら修正していければいい。バレーと一緒で、悪かったら修正する。それは練習も一緒です。

――今までの体制から変えた部分はありますか?
対話です。雑談は前からしていましたが、時間を作ってより多く声掛けをするようにしています。
選手が「やってやろう」という意識が強すぎて、視野が狭くなっていると思っています。その視野を広げてあげられたらもう少し楽にバレーができるので、おのずと自分が読んだところにブロックに行けたり、自分が思ったところにスパイクが打てたり、余裕が出て良い面が生まれてくる感じはあります。それがWD名古屋戦のGAME2だったと思います。

――WD名古屋戦は初めての指揮となりましたが、収穫や課題はどう捉えていますか?
課題は100個あれば10個ぐらいは減っていると思います。あとはチーム力だと思います。実力差は多少あるとはいえ、みんなが楽しくバレーをしている姿をファンの人たちにも見せてあげたい――という思いです。練習から楽しく、楽しい中にも厳しさを入れながらやっていきたいです。
気持ち的にみんな参っているのはわかっているので、その気持ちを少しでも上げてあげたいです。それはおだてることも大事だし、そこにムチを入れるぐらいで、選手たちも練習から一生懸命やっています。
勝つか負けるかはやってみないとわかりませんが、WD名古屋戦のGAME2は吹っ切れてやっていました。正直勝ちたかったですが、ああいう姿が大事だと思います。
――特にブロックディフェンスが機能していました。
リラックスしてプレーできていたかもしれません。「土曜日はこれが悪かったから、日曜日はこう修正しよう」と話したらそれができていて、驚きがありました。ミーティングでも言いましたが、それを試合の中で修正していく力をつけていけばもう少し良いゲームができるという話もしました。
――チームとしては連敗も続いており、苦しい状況です。どのようなアプローチでトンネル脱出を図っていますか?
正直に言えば今年、(VC長野以外の)ほかの9チームは非常にレベルが高くなっています。うちも例年になくレベルが高いですが、ほかのチームの完成度がもっと高い。序盤に比べるとどこのチームもできあがってきていて、「うちが弱い」というよりは「ほかのチームが強い」です。
一つは選手のコンディショニングだと思っています。今年はケガや病気が非常に多いシーズン。チーム練習もあまり良い雰囲気でできなかったし、レベルが低いとかではないですが、総合力がうまく機能しなかったのは気にはなっていました。
あとは負けが込んでくると、「ダメだ」と思ってしまう側面もあると思います。そこは変えていきたいです。
もう一回、(日鉄堺BZに2連勝した)開幕戦の気持ちで戦うこと。あの時はみんな気持ちが入っていました。今は負けが込んで精神的にもつらい局面。僕自身もそうですけど、一番キツいのはファンの方だと思います。どこかで、みんなで喜びあえるような試合ができればいいと思っています。
負けてもやはり感動させるような試合をしないといけない。淡泊な試合が続いてしまっているので、もう少し善戦できるような内容で戦っていければチャンスはあると思っています。

PROFILE
古田 博幸(ふるた・ひろゆき)1971年10月22日、福岡県出身。中学1年生の時にバレーボールを始め、直方高(福岡)卒業後に住友金属(ギラソール)に入団。その後は旭化成スパーキッズ、大分三好ヴァイセアドラー(いずれも現在は休部)でプレーした。2007年からパナソニックパンサーズのコーチに就任し、2010年にはジュニア世代のアジアカップで日本代表コーチも務め優勝に導いた。その後は大分三好の監督などを経て2022年にVC長野トライデンツのコーチに就任した。26年2月から監督代行を務める。
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自らの経験を生かしてアドバイス
ファンへの願いは「叱咤激励を」
――そのためには何が求められていきますか?
まずはもう一回選手の気持ちを、勝ちにこだわれるように持っていかなければいけません。
そのために何をするか――をずっと考えていますが、やはり話すしかないと思います。話して納得させて一人一人がやる気を出せば、おのずとみんな「勝ちたい」というチームに変わってくるのではないかと思います。
僕も現役時代は強くないチームでプレーもしたしスタッフも務めていたので、気持ちはわかります。
1セットを取られると「今日もダメだな…」と、よく思っていました。ただ、一人一人の声掛けとかスタッフから言われた一言とかが自信になって、「いけるんじゃないか」と思えるきっかけが自分自身にもありました。
そうやって選手たちと話していくうちに、僕の一言が響いてくれて良い方向に向かってくれたらと思います。難しいですが、何か一言、心に響くものがあればいいです。
自分自身もバレーはヘタクソでしたけど、一言を言われて「良くなったんだ」「できるようになったんだ」と自信を得られた経験があります。次は良いスパイクが決まるようになったら、試合に勝てるのではないか…と。そんな気持ちでプレーしていました。実際に功を奏したこともあったし、このチームはやはり「声掛け」ではないかと思います。
やはり、みんながそっぽを向いてしまうチームにはしたくないです。時にはアメとムチを入れながらやることが大事。今はアメの方が多いですが、そろそろムチも入れながらやっていかないといけないかなとも思います。

――次節の東京GB戦に向けてはいかがですか?
あまり難しく言っても良くないので、いかに選手がリラックスしてのびのびできるか。そういう雰囲気で、できる準備をやっていきます。
(選手たちが)バレーを嫌いになるのはかわいそうだし、負けて責任を取るのは僕でいい。選手は楽しく笑顔を出してやればいいです。「負けているのにヘラヘラしている」と言われるのであれば、それは僕が責任を取ればいいだけの話です。それが今、僕がやろうとしていることです。
楽しく笑顔を出してプレーすることが、このチームの薬になると思います。
――VC長野のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
常に全力でやるように、チームを作っていきたいと思っています。まずは皆さんに喜んでもらえるような試合をしっかりとするし、やはり勝てる試合をしたいので、もう少し後押しをお願いしたいと思います。
叱咤激励も絶対に大事ですし、時には厳しい言葉があってもいいと思います。それは僕に対してもそうだし、選手に対してもそう。そういう刺激を入れてもらってもいいと思うので、遠慮せずにどんどん話しかけてくれればありがたいです。

ホームゲーム情報(3月7-8日、東京グレートベアーズ戦)
https://vcnagano.jp/information/24986
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461
















