プロアスリートを乗せて走る、走る てまりバスが“クオリティ”を追求する意義

信州のアスリートの安全快適な移動をサポートしてきた、松本市の有限会社てまりバス。サッカー松本山雅FCとは北信越リーグ時代から20年ほど関係を続けているほか、2024年からはバレーボール・VC長野トライデンツのチームバスも運行。プロスポーツクラブを顧客とするノウハウの蓄積が、企業全体のサービスクオリティ向上にも直結しているという。その取り組みをたずねた。 

取材:大枝 令

昨季“信州ダービー”で新バス披露
14日のリベンジマッチに乗り込む

善光寺平に、装い新たな緑のバスが姿を見せた。

2025年7月19日、長野Uスタジアム。“信州ダービー”に急ピッチで間に合わせる形で有限会社てまりバスが新調した、松本山雅FCのチームバスだ。

これが2代目。鮮やかな黄緑が基調だった先代とは異なり、濃緑のたたずまいと車体後方の巨大エンブレムが目を引く。40人乗りの三菱ふそう「エアロクィーン」。安全・快適の哲学を追求した新たなチームバスだった。

初代のチームバスは2014年から稼働し、10年が経過していた。独立3列シートの31人乗りは一人あたりのスペースが広く好評だったが、外装が部分的に剥離するなど経年劣化も目立っていた。

折しもこの年は、クラブ創設60周年。同社の内山康翁・代表取締役社長の還暦でもあったことから、一念発起して新調に踏み切った。

選手たちにはデビュー当日まで知らせず、サプライズを演出した。モチベーションを高めて“信州ダービー”に臨んだが、試合は0-1で黒星。スコア以上の完敗で、「パルセイロに勝って『勝ちバス』になってほしい」(内山真由美・取締役副社長)という願いはかなわなかった。

今回も2026年3月14日がアウェイ長野戦。再び善光寺平に乗り込み、2007年以来19年ぶりとなる「アウェイ長野での白星」をつかめるか。

注目が集まるがゆえに背筋伸びる
必然的に向上するサービスの質

現在は松本山雅だけでなく、バレーボールSVリーグ男子のVC長野トライデンツでもチームバスを運行する。プロスポーツクラブを顧客とすることで、どのような波及効果があるのか。統括部長・遠藤彰さんが説明する。

「プロと行動するということは、注目が集まるということ。つまりそこには、信頼性が必要になってくる」

ただでさえ目につきやすいラッピングバス。交通ルールの遵守はもちろん、細心の注意を払いながらの道中となる。到着時間は早すぎても遅すぎてもダメ。刻一刻と変化する道路交通情報を確認しつつ、路面の状況も常に観察して先読みする。

「松本山雅と仕事をする経験を生かせている。注目されるがゆえに背筋が伸びるし、きっちり仕事をする人間ばかり。それが通常の貸切バス業務にも生かされている」

そのクオリティは、3段階の構造からなる。

まずは「安全・安心」が土台。その次に「定時性」、そして「快適性」が上乗せされる。プロスポーツクラブの選手・スタッフに提供するサービスとして、3階層の全てを満たすことを自社に課してきた。

「移動時間はリラックスして、試合で100%のパフォーマンスを発揮してもらいたい」。内山副社長は、そう力を込める。

それを実現するために大きな要素となるのが車両。ドライブレコーダーやデジタルタコメーターなどの各種機器は最新鋭の機種を実装。これが「安全・安心」の土台を形成する。

こうした企業風土が培われ、「安全評価認定制度(セーフティバス)事業者」で、現行制度で最高峰の3つ星認定を維持している。

「快適性」も追求。特に昨年7月に導入した松本山雅のチームバスには、現場のリクエストをふんだんに盛り込んだ。全席に100Vの電源とUSBポート、Wi-Fiを完備。座席にはオットマン(足置き)がつき、ヘッドカバーには「Yamaga.FC」の刺繍があしらわれている。

北信越リーグ時代から山雅と伴走
「またこのバスでJ1に行きたい」

そもそも、松本山雅との関わりは長い。JFLのさらに下、北信越リーグに所属していた2006年ごろからスタート。当時は同志を募ってアウェイに遠征する際に、車両を提供していた。

選手を乗せるバスは当時、まだ中型だった時代。帰り道でアクシデントに見舞われて立ち往生するなど、黎明期のエピソードには事欠かない。そしてJFL時代の2011年、中古ながら大型チームバスを導入した。

「買っちゃった――みたいな感じだった。山雅も急成長している時代だったし、サッカーをしていた子どもと試合に行ったり、背負ってパブリックビューイング(PV)を見に神林体育館に行ったり」

当時を回顧する内山副社長。それから15年の歳月が経過した。特にアウェイでは急きょスケジュール変更などが生じるケースもあり、そのつど柔軟に対応しながらチームを運んできた。

「山雅と一緒に育ってきた。一般的な貸切バス業者では難しいような対応力も磨かれていったと思う」。思い出を振り返る内山副社長の言葉に、実感がこもる。

「子どもも孫も山雅が好き。勝ってみんなで踊るアルプス一万尺を見たいし、またこのバスでJ1に行きたい」

クラブ創設61年目。
暦がめぐって2周目も、アスリートとともに全国を走る。


有限会社てまりバス
https://temaribus.com/
オフィシャルパートナー募集(クラブ公式サイト)
https://www.yamaga-fc.com/partner/wanted

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