圧倒的格上に挑んでストレート負け それでも手にしかけた“勇気”という財産

圧倒的な格上に挑みながら、殻を破ろうと試みた。2026年3月21-22日のSVリーグ第18節、VC長野トライデンツはホームのことぶきアリーナ千曲で大阪ブルテオンと対戦し、両日ともにセットカウント0-3で敗れた。リーグ2位の相手に対してセットを取ることもかなわなかったが、GAME1は第1セットが23-25、第3セットは27-29と肉薄。粘りのディフェンスで奮闘した戦いを振り返る。
文:大枝 史/編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
「挑む」勇気を佐藤が体現
連続バックアタックで反撃の狼煙
「勇気」
VC長野の古田博幸監督代行は、それを今節のテーマに据えた。
楽しんで、果敢に挑むこと。思い切って割り切ること。そうした勇気をコートで体現した先に、大金星が待っている――。そんなルートを描いた。

GAME1でそれを強く見せたのが、アウトサイドヒッター(OH)佐藤隆哉だ。
「仲間が一生懸命拾って上げてくれたボールは、レシーブしてくれた選手たちの思いを繋ぐためにも吹っ飛ばしたい」。佐藤は今節を前にした練習後、そう力を込めていた。ヴォレアス北海道に勝って25連敗で止めた後、インタビューで感極まっていた24歳。その言葉を体現するように、意志をボールに乗せて強打を放った。

象徴的なのは第3セット1。0-15、SVリーグ初出場となったミドルブロッカー(MB)千葉貫世のサーブから始まったプレーだ。
相手の少し乱れたクイックをセッター(S)中島健斗が飛び込んで拾うと、2本目は千葉がコート中央に高く上げる。すると佐藤がたった2歩の助走からバックアタック。相手も予想していなかったであろう一撃は、ブロックに跳ばれることもないままコート右隅に深々と突き刺さった。

続く11-15の局面も、目を見張るパフォーマンスだった。千葉のサーブで崩し、相手オポジット(OP)西田有志のバックアタックを2枚でブロックタッチを取る。OP岸川蓮樹が拾うと、中島がアンダーでコート中央へ上げると再び佐藤がバックアタック。今度は2枚ブロックの間を抜いて決め切った。

これには古田監督代行も「普段だったら消極的にパスで返すところを打って返したのは、個人の成長にも繋がっていると思う」「佐藤は良い勇気を持ってスパイクも打っていた」と笑みをこぼした。
KINGDOM パートナー
捨てる勇気を持ってブロック
もう一歩詰めていく“割り切り”
ただ、勇気の種類はもう一つある。
「捨てる勇気」だ。
具体的には、割り切ったブロック。それに関してはGAME1の第3セット以外、多くは見られなかった。

GAME2の試合後会見の古田監督代行。勇気というテーマに対する達成度は「55点」と口にした。「やはり勇気がないというか、出せなかった。どうしても『ボールを追いかけよう』という姿勢が感じられた」「ノーマークで打たれるのが怖い…という恐怖心があると、全部のボールに対して行こうとする」と物足りなさを口にする。

ただ、割り切って跳ぶのにも難しさはあった。特に相手Sはフランス代表でオリンピックやネーションズリーグなど、いくつも金メダルを手にしてきたアントワーヌ・ブリザール。実際、対峙した安原は「(トスを上げる)直前までこっちがどう動いていくかを見ているので、考えることが多かった」と打ち明ける。

もちろん体現していたシーンも少なからず存在した。古田監督代行も「ブリザール選手の特徴はMBにしつこく言っているので、うまくハマったシーンは何回かあった。特に安原選手はその辺りを感じてやってくれている」と評価する。

例えばGAME2の第3セット、9-14のシーン。相手MBエバデダン・ラリーのサーブで大きく崩されて相手にチャンスボールを返したが、相手MB西川馨太郎のクイックを安原とOH藤原奨太の2枚ブロックでワンタッチ。藤原が決め切った。
一定の手応えを口にする安原も、もう一押しがあればさらなる躍進が待っているかもしれない。

印象的なシーンがある。
「ヤス!!!」
2セット先取されて後がない第3セット終盤、20-22のシーン。古田監督代行の叫び声がアリーナに響いた。結果的にはクイックを決められた局面。「あそこは思い切って行ってほしかった。あの辺の嗅覚がもう少しほしい。そこは経験値だと思う」と指揮官は話す。

割り切る勇気を持ってブロックに跳べたシーンがあったからこそ、できなかった反省も強く感じられる。今回の試合で得られた経験値も大きかったはずだ。
「楽しむ」ために踏み出す一歩
その選択がボールを繋ぐ
古田監督代行が掲げた「勇気」。その根底には、大テーマとして「バレーを楽しむこと」がある。では、楽しむためにはどうすればいいと選手たちは考えているのか――。受け止めを聞いた。

「楽しむためにもプレーは大事だと思う。やはり得点してナンボ。勝ちにいってナンボ、勝ってナンボだと思う」と中島。一方の安原は「一番は練習でやってきたことが試合に生かせて得点を取るなり、セットを取るなり、試合に勝つという時が楽しんでいる時だと思う」と口にする。
GAME2第2セットのように、序盤からサービスエースを連発されるような展開では、「楽しむ」のも難しい。練習の成果が発揮されたプレーや流れを引き寄せるようなビッグプレー、勝利に近付く得点があってこそ、バレーを「楽しむ」ことを表現しやすい。

そこへ繋げるために今、求められるのは何か。
指揮官が提示する通り、課題は明白だ。
「選ぶ」勇気。
つまり、それ以外を「捨てる」勇気。

踏み出したその一歩がボールを繋ぎ、仲間を動かし、アリーナを臙脂色に染める。だからこそGAME1第3セットでは何度もボールが上がり、27-29と肉薄したのではなかったか。あとはその「勇気」を、コートで示し続けるだけだ。

SVリーグ第18節 大阪ブルテオン戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div18-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div18-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
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