チームルールの遂行力が低下した福井戦 貫きたい“原理原則”と“繋がるプレー”

バスケットボールB2で東地区首位を快走し、プレーオフ(PO)進出を決めている信州ブレイブウォリアーズに試練が訪れている。2026年3月28-29日の福井ブローウィンズ戦はGAME1を81-78で競り勝ったものの、GAME2は79-90。同地区4位の福井と痛み分けに終わった。真価が問われるGAME2ではチームルールを見失ったことも敗因の一つ。福井との2試合について語った指揮官と司令塔の言葉から、チームが直面する課題を洗い出す。
文:芋川 史貴
指揮官が求める“繋がったプレー”が停滞
我慢できずにビッグクォーターを献上
3月29日のGAME2。信州は前日のGAME1同様に、小栗瑛哉、JJ・オブライエン、栗原ルイスが欠場しただけでなく、GAME1で負傷した渡邉飛勇もベンチを外れた。ビッグラインナップを擁する福井に対して、スモールラインナップで臨まざるを得ない布陣ではあった。

通常とは異なるローテーションで、ウェイン・マーシャルと交代で出てくるのは小玉大智ら日本人選手。on1(外国籍が1人だけ)の時間帯も多く、ダブルチームや2-3ゾーンで細かなローテーションを繰り返しながら身体を張った守りを続ける消耗戦となった。
前半は36-43で折り返したものの、第3クォーター(Q)から流れが福井に大きく傾く。福井のベテランシューター田渡修人が2本連続で3ポイントシュートを沈めると、ライアン・ケリーにも3ポイントシュートを決められた。
信州はタイムアウトで修正を図ろうとしたが、流れは変わらない。タイムアウト明けのオフェンスでは2度のターンオーバーを犯し、福井に0-11のランを許す展開。その後もじわじわと点差が開き、第3Q残り3分20秒にはこの日の最大の25点差をつけられた。

信州のバスケットスタイルはピック・アンド・ロールを起点とし、ボールと人とが流動的に動き回りながらシュート機会を生み出す、いわば“ドミノ”を意識したオフェンスパターンだ。それは、勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)が求める“繋がったプレー”を指す。
しかし、福井に流れが傾いた時間帯は連係を欠いた単発のシュートが目立った。点差が開いた焦りからか、それぞれの選手が状況を打開しようと個別に動いたことでチームとしてのリズムを失い、オフェンスだけでなくディフェンスにも悪影響を及ぼした。
視点を変えると別の課題も浮かぶ。この日は、試合を通して審判の判定に対してフラストレーションを溜めているように見えた。戦う相手を見失って審判に目を向けたり、ハドルを組むのが遅れたり…。そこには、チームとしての脆さが出ていた。

司令塔の土家大輝は反省の言葉を並べた。
「ビッグマンが1人の時間帯は、いつもやっているセットプレーではなかった。いつもならアドバンテージを作って、ドミノを作って、そこから原理原則という流れだけれど、第3Qはアドバンテージもドミノも作ることができず、それぞれが繋がってプレーすることができなかった」
「あの状況の中でも、シンプルなコールプレーだったり、ピック・アンド・ロールのコンビネーションだったりを正しくやればドミノは作れたと思う。そこはガードとして全然コントロールできなかったので、バラバラの単発なシュートに繋がったと思う」

第3Qの後半からは流れを取り戻し、信州の形で一歩ずつ詰めた。それでも要所のディフェンスでワンストップができず、追い越すことは叶わなかった。
GAME1の課題をクリアできず
「我慢強さ」を育てるためには
オフェンスを機能させるためには、ドミノに加えてペイントタッチも必要不可欠。ドライブなどでペイントエリアに侵入することで相手ディフェンスはゴール下に収縮する。そうしてシュートチャンスを増やすことがペイントタッチの効果だ。

GAME1の第1Q残り5分20秒。ピック・アンド・ロールを仕掛けた渡邉がペイントエリア内でボールを受け取ると、左サイドの0度に待機していたアキ・チェンバースの3ポイントシュートをアシストした。
この場面以外にもペイントタッチから得点を奪うシーンは多かった。しかし勝久HCはGAME1終了後、オフェンスが停滞していた時間帯があった――と指摘していた。

「オフェンス面では我々がいつも反復しているカバーリングソリューションが、特に相手のスイッチの時に5人で繋がった動きからの読みで崩すことがうまくできなかった。明日はもっとうまくやりたい」
「どんなディフェンスだろうと、自分たちの原理原則を信じてプレーして、繋がってチームでプレーする時は良いシュートに繋がっている。(逆に)5人が繋がって動いていない時は悪いシュートに繋がっている。(重要なことは)流れを持っていかれた時のメンタルのタフさ」
これらコメントを踏まえた上で、GAME2を見てみると、第3Qの重要な場面で我慢することができず、チームとしてプレーできなかった部分に関しては、GAME1での課題が修正できなかったと言える。

GAME2では起用できるメンバーが少なく、次第に体力を失ってしまったことは言い訳にしかならない。
判定に疑問を抱いてプレーに集中できなかったとしても、それは「コントロールできることをコントロールする」という指揮官の哲学にはそぐわない。たとえどんな状況であれ、チームの軸となる原理原則や仲間を信じ、40分間を通して自分たちのバスケットを遂行する以外に成長は得られない。
我慢強いメンタリティを構築するために必要な要素は何か――。勝久HCは言葉に力を込める。

「人はそう簡単に変わらない。メンタリティの部分も簡単に変わるものではないけれど、変えることはできる。何が問題かをしっかりと自覚して、意識しないといけない」
「良い答えがあったら、とっくにみんなのメンタリティを変えている。『こういう時はこう動いて』という話ではなくて『何かがあっても感情を抑える』『何かがあっても慌てない』ことを意識して、やるべきことにフォーカスすること。簡単な答えはないが、自分も答えを見つけ、助けてあげないといけない」

土家もメンタル面の課題を直視する。
「前半はみんな納得のいかない(審判の)笛があった。自分たち自身に集中しないといけないのに、外にベクトルが向いていたことでこのようなゲームになってしまった。こういう時こそハドルを組んで、自分たちがやらないといけないことにフォーカスしないといけなかった」
「こういうゲームが二度とないように、しっかり自分たちにベクトルを向けてやらないといけない」

4月1日にはアウェイの地で西地区4位の鹿児島レブナイズとの対戦が待っている。長距離移動で身体への負担は大きいが、難しい環境だからこそ福井戦で見えた課題に正面から向き合える好機とも言える。
ここからチームの成長を示すことができるか。5月のPOに向けて、チームにはさらなる“SHINKA”が求められている。
Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/















