「もう、ああいう試合は…」 “今季最低”から立ち直ったボアルースが2勝目

残留に向けて不退転の覚悟を示した。F1リーグのボアルース長野は2026年10月25日、アウェイでの第16節でボルクバレット北九州に4-3で勝利。第11節以来となる今季2勝目を挙げ、勝ち点7に伸ばした。11位エスポラーダ北海道との勝ち点差を2に縮め、最下位脱出が見えてきた。第15節のフウガドールすみだ戦で“今季ワーストゲーム”を演じた中で、チームはどのように立ち直ったのか――。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
入りから覇気なく敗れた前節
「自分たちが難しいのは…」
「これだったら『どの相手とやっても…』というくらい、今季一番ひどい試合だった」
第15節のフウガドールすみだ戦を終えたのち、山蔦一弘監督はうなだれながら試合を総括した。

立ち上がりから覇気がなかった。いつも通り前線から守備に出たが、簡単にプレスを剥がされたり、ワンツーで置き去りにされたり――。うまくいかないなりにカウンターのチャンスもありながら、シュートの精彩を欠いてしまう。
3点を先取される苦しい展開。終盤にキャプテンの米村尚也が一矢報いたが、わずか29秒後にトドメを刺された。1-4での敗戦を米村は重く受け止めた。

「自分たちが難しいのは熱量のところ。ホームにはあれだけ応援してくれるサポーターがいて、勝手にボルテージが上がるけれど、アウェイでも自分たちで上げて戦えるか。それで初めて他のチームに太刀打ちできるかどうかだと思う」
第14節のホームゲームでは、3位のしながわシティを相手に2-3と肉薄していた。山蔦監督はその勢いを中4日のすみだ戦にぶつけようと準備してきたが、期待とは裏腹の結果に終わった。

メンタルの問題なのか、コンディションの問題なのか――。指揮官は頭を悩ませた。
KINGDOM パートナー
魂燃やして開始8分で3発
宇野伊織が2ゴールの活躍
「もう、ああいう試合はしないように…」
そう宇野伊織が話したように、選手たちは腹をくくった。

すみだ戦から2週間後に迎えたアウェイでの北九州戦。あの日とは打って変わって、前線からの守備に覇気が宿った。守備から攻撃のリズムもつかみ、開始8分で3点を奪う展開に。3点を先取されたすみだ戦とは真逆の展開だ。
「とにかく試合に対するモチベーションや、魂を燃やして入ることを言い続けてきた。戦術的なところも本当にシンプルで、球際、セカンドボール、プレス。この3つ」
山蔦監督は2週間で「戦う」部分を見直し、その上に「術」を落とし込んできた。戦うという土台がなければ、術は成り立たない――。それこそが「戦術」である。

この日は戦った上で、ゴールを奪う術も成り立った。
デザインされたセットプレーから2得点。キッカーの宇野は「練習でもセットプレーから良いシーンは作れていた。『こうなったらここが空くよね』という感じで、アシストもできたのでよかった」と手応えを話す。
3点目はキックインから外林綾吾のシュートが相手に阻まれるも、宇野がこぼれ球を右足で豪快に叩き込んだ。4点目もCKから一度はボールを奪われたが、味方が奪い返して再び宇野のもとへ。GKとの1対1を左足で流し込んだ。

チームとして熱量を絶やさず戦う中、ゴール前で宇野の冷静さが光った。前節は立ち上がりに決定機を逃しただけに、「点を取ることにフォーカスしていた」。2得点はいずれも「狙って打ったわけではない」と明かしたが、感覚で決められたのは“持っている”証だ。
開幕戦以来となるゴールを決め、Fリーグでは初の複数得点。先月に左足第5中足骨骨折から復帰した22歳が、結果で価値を証明した。
自分に矢印を向けながら
「自分以外」のためにも
終盤は北九州の猛攻を受けるも、4-3で逃げ切った。すみだ戦と同じ轍は踏むまいと、強度の高い試合を披露。「見ている人に何かが伝わるような試合になったんじゃないか」と米村は振り返る。

アウェイでどれほど熱量高く戦えるかは、クラブが抱える課題とも言えるだろう。
仕事をしながらプレーするアマチュア契約の選手が多い中、いかにメンタルやコンディションを保つか。ホームで平均観客1,000人超えの熱量を誇る中、アウェイでどう自分たちを奮い立たせるか――。言うは易く、行うは難しである。

北九州戦の会場となった本州最西端の山口県下関市にもサポーターが駆けつけ、最後まで声を枯らした。「昔では考えられないくらい、アウェイでもサポーターが来ている。それを当たり前と思ってはいけない」と在籍6シーズン目の米村。敵地でも己を奮い立たせる材料はある。
「いろんなものを犠牲にしてアウェイに駆けつけている方々に、勝利を届けたいという思いはある。選手は自分のために戦うこともそうだけど、自分以外のために戦うこともパワーに変えないといけない」

サポーターへの思いも力に変え、アウェイで今季2勝目をつかんだ。とはいえ順位は最下位のまま。宇野は「まだ状況は変わらない。最後の最後まで走り切れるかどうか」と気を引き締めている。
レギュラーシーズンは残り6試合。F1残留に向けて、立ち止まっている余裕はない。次節は11月1日、ことぶきアリーナ千曲での湘南ベルマーレ戦だ。ホームのサポーターの声援を背に、引き続き不退転の覚悟を示せるか。
クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/























