“セリエA並み”のスーパーボレー ボアルースの高溝黎磨が古巣相手に見せた真骨頂

衝撃的なゴラッソが生まれた。2026年10月4日、ことぶきアリーナ千曲で行われたF1リーグ第14節。ボアルース長野は、しながわシティに1-3とリードを許した展開から高溝黎磨が反撃の狼煙を上げた。30分、GK橋野司からのロングフィードを左足でダイレクトボレー。ボールはニアの上に突き刺さり、ホームの観衆が一斉に沸いた。試合は惜しくも2-3で敗れたものの、高溝のゴールを見られただけでも価値はあっただろう。

文:田中 紘夢

「自分でもうまくいきすぎた」
古巣相手に価値を示す一撃

ボールを奪った流れからGK橋野司にパスが渡ると、高溝黎磨が自陣から敵陣へと走り込む。動き出しを見逃さなかった橋野から、右足での正確なロングフィードが飛んできた。

「(橋野)司から良いボールが来たので、あとは合わせるだけだった」と高溝は振り返ったが、そう簡単な話ではない。マークは置き去りにできても、ペナルティエリア内でGKが目の前にいる。トラップすればシュートを打つ余裕さえもなかっただろう。

それでも、高溝に迷いはなかった。

後ろから来たボールをそのままダイレクトでボレー。ボールはニアの上に突き刺さり、日本代表GK上原拓也の反応を上回った。

利き足ではない左足でのシュートだったが、「昔のセリエA(イタリアのプロサッカーリーグ)のベストゴール集みたいなイメージで、思い切って振った」と笑みをこぼす。

ロベルト・バッジョか、アレッサンドロ・デル・ピエロか――。イタリアが誇る往年のスター顔負けのゴラッソに、本人も「自分でもうまくいきすぎた」と驚きを隠せなかった。

ブラジル代表のネイマールになぞらえて“レイマール”と呼ばれるのも納得。山蔦一弘監督も「年に1回出るか出ないかのスーパーゴールだった」と絶賛した。

高溝にとって、昨季まで在籍していた古巣・しながわシティとの対戦でもあった。

「1年間一緒にやってきた中で、負けたくないという気持ちもありつつ、リスペクトもあった。1人のプレーヤーとしての価値を示したいという思いで、自ずと気合いが入った」

まさに自身の価値を示す一撃。ホームのサポーターにとっても、このゴールを見られただけでも価値はあったはずだ。

ドリブラーが見せた真骨頂
オフ・ザ・ボールでも脅威に

鮮やかなボレーに目を奪われがちだが、そこに至るまでの道筋も狙い通り。偶然ではなく必然のゴールだった。

「相手のフィクソ(サッカーのセンターバックに相当)が前に強いので、今日はピヴォ(センターフォワードに相当)が降りて前のスペースを開ける戦術を取っていた。あのシーンは自分が前にいて、駆け引きをしたら司から良いボールが来た」

フィールドプレーヤーの4人が後方に並び、相手をおびき寄せて前線にスペースを作る形。「クアトロ」と呼ばれる攻撃の戦術において、高溝は執拗に背後を狙った。0-1で迎えた13分に挙げた1点目のシーンもそうだ。

中央から右サイドの宇野伊織にパスを出すと、右サイドの奥に斜めに走る「ジャゴナウ」の動きで前線へ。宇野のリターンを受けると、相手のカバーに阻まれたものの、こぼれ球を前川尚志が押し込んで同点とした。

同点直後にも高溝は中央を走る「中パラレラ(中パラ)」の動きで、松永翔のパスを引き出した。GKとの1対1からのシュートは惜しくも枠を外れたが、古巣相手に脅威を与え続けた。

ボールを持った時のドリブルの技術が光る高溝だが、山蔦監督からすれば「一番の特徴はスピード。ボールを持っていない時も相手の裏に抜ける速さがある」。本人も「背後に走らないと相手も怖くない。隙あらばぶっちぎっていきたい」と常にチャンスをうかがっている。

オン・ザ・ボールでも、オフ・ザ・ボールでも脅威になる――。それが高溝の真骨頂だ。

上位相手に手応え得て終盤戦へ
“レイマール”がチームを救う

チームとしても最下位(12位)に沈んでいる中で、3位のしながわを相手に2-3と肉薄。山蔦監督は「強豪相手にも引けを取らないで、頼もしいプレーを見せてくれた。これを続けていきたい」と選手たちを称える。

攻撃ではリーグ7位の33得点を記録している。元ブラジル代表のガリンシャを擁するファーストセットが武器だが、この日は高溝らのセカンドセットで2得点。どこからでもゴールを奪えるのが今季の強みだ。

「セカンドセットは機動力があって、守備も真面目にできる選手が多い」と高溝。指揮官も「彼らはゲームプランを遂行してくれる。愚直にプレーできるのは良いところ」と評価する。

そんなセットにおいて高溝は、個人で違いを生み出せる存在だ。シーズン当初はケガや体調不良にも苦しんだが、「今はコンディションが上がってきている。ここから終盤戦にかけて大事な試合が続くので、チームの助けになれたら」と力を込める。

“レイマール”が輝きを放てば、チームにも光が差し込むに違いない。


クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/

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