仲間を信じ合ってセミファイナル進出 “マグマシティ”鹿児島で沸騰した黄色の歓喜

チーム一丸となって勝利をつかんだ。2025年5月5日、B2リーグプレーオフ(PO)クォーターファイナル(QF)のGAME3。アウェイの信州ブレイブウォリアーズは鹿児島レブナイズを91-73で破り、5月10日から始まるアルティーリ千葉とのセミファイナル(SF)に駒を進めた。最終的には18点差がついたものの、終盤までどちらに転ぶかわからない熱戦。明暗を分けたのはどんな要素だったか――。現地からレポートする。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

チームで崩れずバウンスバック
信州に届けた勝利の笑顔

“マグマシティ”鹿児島で3試合目までもつれたカード。最後は黄色の笑顔と歓声が、西原商会アリーナで沸騰した。

B2プレーオフQFのGAME3。第4クォーター(Q)に信州が突き放して91-73とした。最後は信州のポゼッションで、山崎玲緒が運ぼうとした局面で鹿児島が動きを止めた。

「3日間の中で一番チームとして繋がっていた試合だった。内容も良かったけれど、それ以上に昨日と比べてチームで戦うことができた」

「今日だってフラストレーションが溜まる時間帯はあったけど、チームでコミュニケーションを取り続けて繋がっていた」

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)は、そう言って喜びを噛み締めた。

レギュラーシーズンにはない3連戦。互いに戦術や選手の特徴は全て把握済みだった。序盤から両チームとも譲らず、持ち味を生かした試合展開となった。

鹿児島は221cmのマット・ハームスがGAME2で負傷し、この試合を欠場。信州は高さのミスマッチを生かし、ウェイン・マーシャルを中心に得点を重ねる。

一方の鹿児島はアンソニー・ゲインズ・ジュニアを軸に、GAME2に続いてアップテンポのバスケットを繰り広げてきた。

GAME2ではそれに対して後手を踏んだ信州。トランジションディフェンスやシンプルな球際の強さが機能せず、集中力やエナジーに欠ける姿が目立っていた。

しかし、GAME3は違った。

コート内でもベンチでも、常に声をかけ合う。

ファウルも巧みに使いながらゲインズの速攻を止めたり、ウィングの選手を含めてリバウンドに飛び込んだり。ハームス不在の影響はあるにせよ、エナジーと遂行力を見せて流れを渡さなかった。

GAME2の敗戦から、見事なバウンスバック。勝久HCは「バスケット面でも昨日からの修正点を1日で選手たちは良く遂行してくれた。そういう面でも非常に良かったし、彼らが誇らしい」と目を細めた。

プレーオフ仕様の“P”トリプルダブル
得点とアシスト光ってゾーンを攻略

選手それぞれが役割を全うした試合。
その中でもとりわけ活躍が光ったのは、“P”ことペリン・ビュフォードだった。

38分41秒の出場で、22得点、15リバウンド、11アシストを記録。レギュラーシーズンを含めると5度目のトリプルダブルを達成した。

この日はいつも以上の集中力に加え、味方選手とも多くのコミュニケーションを図っていた。ハドルでは話の中心にもなるし、聞き手にもなる。

何より、普段はティップオフ直前のハドルにはほぼ加わらないが、GAME3ではしっかりとそのハドルでも拳を合わせていた。

「負けたら終わり」の決戦をどのような気持ちで臨んだのだろうか――。

「自分の持っているバスケットボールを発揮しようと思ったし、試合前にマイケルコーチが自分にチャレンジしてきたことに対して、チームメイトと取り組めて勝利をつかめたと思う」

相手の多様なゾーンディフェンスに対して、自身で攻めたりパスを散らしながら味方にアシストしたり。 GAME2とは一転してバランス良く攻め、ゾーン攻略に成功した。

その選手が出場していた時間帯のチーム全体の得失点差を示す+/-はチームトップの「+20」。攻守にわたりチームの勝利に大きく貢献し、POバージョンにギアを上げた”P”の頼もしさをいかんなく発揮した。

ビュフォードとの密なコミュニケーションを取り続けた石川海斗も、そのパフォーマンスに納得の表情を浮かべる。

「Pとも昨日終わってからも話したし、 今日もゲーム中に話した。 僕が運んでる時はP(ビュフォードの愛称)が4番をやればいいし、Pが運んでいる時は僕が4番をやる。お互いが信頼し合って、どっちもボールハンドラーができると思っている」

SFは宿敵・アルティーリ千葉戦
黒き要塞を打ち破る手立ては何か

鹿児島との死闘を制してQFを突破。SFでは難敵・アルティーリ千葉との対戦が決定した。SFを突破したチームがB1へと昇格できる注目のシリーズだ。

A千葉とはRSの最終戦でも対戦しており、今季通算で6戦6敗となっている。2年ぶりのB1復帰が懸かる信州としても、初のB1昇格を狙うA千葉としても、絶対に負けるわけにはいかないビッグゲームだ。

次なる決戦に向けて、必要なことは何か。この日16得点と活躍した栗原は力を込める。

「中途半端な覚悟で臨むとやっぱり良い結果は出ない。向上する意識は必要だけど、こういう時期は2回負けたら終わるので、ハングリーさを出していきたい」

「勝率で言えばアルティーリの方が上だけど、ハングリーさやメンタルの強さは、試合のないこの数日間でもしっかりと保っていきたい」

勝久HCは、成長の手応えをSFに繋げていきたい考えだ。

「RS最終戦では感情的になったりイライラに勝てなかったり、我慢強くプレーができなかった。今回の3試合での成長や、昨日と今日の違いを選手たちも絶対感じたと思う」

「常に成長を目指すのにはいつだって遅いなんてことはない。今はPOの真っ最中だけれど、今日の良い感覚を今週の準備とA千葉戦に持っていきたい」

舞台は再び、難攻不落を誇る千葉ポートアリーナ。B1復帰の目標をかなえるためには、この黒き要塞を攻略しなければなければならない。

ただし、鹿児島との3試合を経てチームはまた一つ成長した。手を取り合ってタスクを遂行すれば、ミッションを達成できる成功体験を得た。大一番に備えて英気を養い、再び出力120%で最終決戦に挑んでいく。


クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/
りそなグループB.LEAGUE 2024-25ポストシーズン特設サイト
https://www.bleague.jp/postseason/2024-25/
B2プレーオフQUARTER FINALS(鹿児島レブナイズ)
https://www.rebnise.jp/lp/game_20250503_20250505/

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