来季は「Bプレミアへの準備年」 木戸康行社長が描く“ALL信州で日本一”の青写真

「やるからには日本一を目指して、このクラブを全国で誇れるクラブにしていく」。信州ブレイブウォリアーズを運営する株式会社NAGANO SPIRITの木戸康行代表取締役社長が2025年5月6日、長野市内で記者会見を実施。Bプレミア参入以降についてのクラブのビジョンや、その実現に向けたタクティクスなどについて語った。中南信地方との結び付き強化などを通じて“ALL信州”を本格化。チーム本部長に迎えた青野和人氏も臨席した。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

フロント陣の体制をさらに強化
青野和人氏を招聘し全体を底上げ

2025-26シーズンもB2を舞台に戦う信州。
しかし、当然落ち込んでいる暇はない。

2026-27から始まる「Bプレミア」への参入が決定。審査基準となる平均入場者数4,000人以上、売上12億円以上に関してはそれぞれ基準をクリアした。

昨季の平均入場者数は4,291人。今季は平日開催や会場問題などの課題にも直面したが、4,078人と2シーズン連続で基準を達成した。

アリーナに関しても、ホワイトリングの改修が始まっており、このオフにはスイートルーム2室とラウンジの工事が進められる。

「ホワイトリングを確実にいつも5,000人入るような熱狂や興奮を作っていきたい。売上の規模も12億円を最低限として、20億、30億、もっと言うと50億も十分できると思う」

再びB2での戦いになる来季も、「Bプレミアへの準備年」とすることを木戸社長は明言した。

「フロントとしては『感動、興奮、熱狂』をしっかり作るためにどうすればいいか。それからチームとしてもBプレミア以降は『日本一』を目指すクラブになるためにはどうしたらいいのか。一つ一つ課題を掘り下げながら、クリアしていくことをやるしかない」

「改めて我々がBプレミアに行ってやらなければならないことは、チームを強くするため、会社を強くするため、やはり一番は我々フロント陣の経営体制をさらに強化しなければいけない」

その意志の表れとして6月2日付で、組織体制の変更とそれに伴う人事異動を行った。

ビジネス本部長に加藤潤氏が就任。そしてトップチームとユーススクール、チアを統括するチーム本部長には、青野和人氏が着任した。長野県出身で、選手経験や越谷アルファーズでのヘッドコーチ(HC)、そしてGMとして豊富な経験を持つ人物だ。

青野氏も会見に同席し、抱負などを述べた。

「私の直近のできることとしては、トップチームのサポートで(勝久)マイケルコーチが兼任をしていて、かなり大変だったところをベストパフォーマンスが出せるようにバックアップすること」

「育成の部分でもユースチームを中心に、スクール事業のところもしっかりと立て直しを行っていければと思っている。どちらも私の得意分野なのでしっかりと還元できるように頑張っていく」

中南信にも黄色と紺の渦を波及へ
ALL信州で全国に誇れるチームに

「来季の一つの目標としては、もっと中南信の方々にも我々の試合を見ていただきながら楽しさをしっかりと共有していきたい」

「パートナーの方々にも今季なかなか接点を持てなかったところについては、より関係を築けていけるように中長期目線で関係性を持っていけるように、既に取り組みを始めている」

木戸社長は、「ALL信州」の実現へ本腰を入れたことも明かした。実際に4月28日には中南信の企業などを対象として、クラブの展望を共有するセミナーも開催している。

長野県唯一のプロバスケットボールチームではあるものの、練習や試合などは長野市内がほとんど。東信はまだしも、中信や南信に住むファンの移動コストや労力は、北信に住むファンと比べるとどうしても大きくなってしまう。

だからこそ、信州が掲げる「ALL信州」というスローガンの実現は、信州のフェーズを上げるためにも必要不可欠な要素となる。

「来季以降はリーグの規定でもあるように、ホワイトリングでのゲームが8割、その他の会場で2割、つまり最大6試合はホワイトリング以外の会場で試合ができる」

時期は未定ではあるものの、エア・ウォーターアリーナ松本(松本市総合体育館)での4試合がすでに決定済み。9月中旬にはプレシーズンゲームが安曇野市で開催されるという。

「やるからには日本一を目指して、このクラブを全国で誇れるクラブにしていく。それを『ALL信州』で、とにかく長野県全体でバスケを中心に価値をどのように高めていくか」

「そこをみなさんの期待を背負って、ホーム30試合、アウェイ30試合を全国で戦うという気構えで臨んでいきたい」

来季で信州は創設15周年の節目。それに合わせて周年イベント等も実施される予定だ。

この15年の歴史を知る人からすれば、チームの発展は子の成長を見届けるかのようにうれしいことだろう。近年では代表クラスの選手たちのプレーや成長を間近で見ることができるようになった。

週末になれば黄色の“正装”に身を包んで、ホームにもアウェイにも駆けつける。タイムアウト中に流れる曲が日常生活で聞こえてくるとついつい身体が反応してしまう。

千曲市から生まれたその黄色と紺の熱狂を、今度は南の方角へと進めていく。

ALL信州で日本一へ――。

信州ブレイブウォリアーズの歴史は、新章に突入する。

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