【Farewell-interview】「チームでの日々に感謝を」VC長野・波佐間泰平&小野翔平

バレーボールの季節が去り、新たなシーズンへの胎動が始まっている。長野県内のSVリーグ男子/Vリーグ男女の計3チームからも、今季限りの退団者が発表された。本企画はチームを去る選手・スタッフに敬意を表し、その働きぶりやチームに遺した財産などを改めて記録するもの。今回はVC長野トライデンツの波佐間泰平、小野翔平の2選手のショートインタビューをお届けする。

取材:松元 麻希/編集:大枝 令

波佐間「努力してきてよかった」
VC長野で過ごした激動の6シーズン

――波佐間選手は内定選手の時代を入れると5年以上VC長野に在籍されました。この5年間はチームとしても変わってきたと思われますが、振り返ってみてどのような思いがありますか。

内定のときに(VC長野に)来て、「楽しそうだな」と思って入団しました。1年目は仕事とバレーの両立が、身体的にも精神的にも、社会経験としてすごく大変だなと思いながら過ごしました。

2年目になってもフルタイム勤務はずっと続いてたので、体力的にはまだ若かったのですが仕事とバレーの両立については「キツいな」と思いながらやっていました。

自分の周りの一緒に入ってきた選手たちも、そのキツさを環境を変えることで(解消しよう)ということで、結構いなくなったりして。運営側もガラリとではないですけど変わって、初めて指導者や仲間の重要性を感じました。

――2022年のシーズンから今の川村監督になりましたよね。

そうです、3年目のシーズン。そこで自分的にも何か残したいなと思っていたのと、やっとトレーニングの慣れや成果が少しずつ出始めていました。身体的にもすごい調子は良かったです。

三輪大将(現広島TH)という選手が入ってきて、自分もすごく勉強になることもあったし、逆にいろいろ聞いてきてくれたり。そういうコミュニケーションをより取れたので、ミドルブロッカーとして尊敬もしているし、良いチームメイトと一緒にやれたなと思います。

そこに(備)一真とか下川諒(現サントリー)もちょうど入ってきて、その頃から少しずついなくなったポジションが取り戻せてきた感じになっていました。

そこで自分も「このチームで頑張りたい」と結構頑張って試合にも使ってもらって、そのとき初めて5勝することができました。

個人的にもブロックのランキングに入れたし、チームとしても5勝って少ないんですけど、今まで自分が経験してきた勝率では一番多かったのでよかったなと思っていました。

4年目になって次は中国人の修成城選手が入ってきて、三輪がいなくなって、MBには最初は僕とトレントで入っていました。

途中から山田航旗くんの調子が上がってきて、自分も結果がなかなか出なくて…チームとしても大事なところでの点数が取れないのが続いて、チーム状況は3年目に比べたらあまり良くなかったなと思います。

5年目のシーズンはプロ2人も入ってきた半面、セッター(下川)がいなくなったのがあって、最初はどうなるかなと思ったんですけど、ジェイテクト(STINGS愛知)さんに勝ってスタートを切れたので、「このチームはいいとこ行くな」という思いをもちつつ練習に励んでました。

結果的にも10勝だったので、やっぱりそれプロ選手たちが一生懸命鼓舞して、チームの若手たちもやっぱそれについて行ったので、そこが一つチームの力の源になってたんじゃないかなと今シーズンは思いました。

――特に今シーズン、オールスターに出場なさったりもしましたが、プレー面含めて今シーズンを改めて振り返ってみてどうですか。

振り返るとやはり、周りのレベルがすごく高くなったなと思うし、入ってくる選手たちのポテンシャルもすごく高くなってきているので、自分劣っているなと感じる部分がすごく多いなと思ったんですけど、「何かで勝てれば」と思いながら探り探りやっていました。

自信はあったんですけど、だんだんなくなってきたなと思って…そんな時に途中でケガもあって、全然出られない時期もユニフォームを着ない時期も多かったです。

そこでどうチームに貢献するか。客観的に広く見て、(コート外から見て)どうなっているかを入ってきた子たちに少しでも伝えればいいかな思い、声かけは意識してきました。

――今後も、バレーボールを続けていく予定ですか。

そこはまだ未定ですね。続けるかどうかもまだ。この膝と向き合っていかないといけないかなと思っています。趣味程度で、やるとしたらやりたいなと。ビーチバレーも同様です。

――この5年間で、ファンの数も増えましたね。

そうですね。今まで(1年目や2年目)は集客に関して意識的なことは多分あまりなかったのですが、3年目ぐらいから徐々に増えだして、勝利数を上げることでお客さんもすごく増えていったなと感じます。

今シーズンも最初(の対戦相手)がジェイテクトさんというのもあったんですけど、その後のホームでもいい試合をするというので人が来られたりするし、各選手の認知度や人気度はやはり集客にすごく関係してるんだなと思いました。

――2024-25シーズンは演出も変わりました。

そこはすごく変わっていますね。僕が来た1年目よりは絶対に今の方が確実にいいと思うので。エンターテイメントとしてはすごく楽しめると思います。飲食の店舗数やグッズの量もいろいろと増えていて、そこは変わったなと思います。色々と見させてもらいました。

――引退や退団する選手がいてガラッと変わりますが、残るメンバーもいるということで、今のVC長野トライデンツというチームの状況や、よりいいチームになるためにどんな要素が必要かというのを教えてください。

このチームはやはり若いので、そこを生かせると思います。勢いを崩さずに、それをキープできる人、そこで我慢し続ける人がいないと駄目なので、そこはキャプテン(の藤原奨太)とか、最古参の山田がプレーで見せるか態度で見せるかだと思います。

その若さを「抑える人」と「生かす人」というのをこのチームで見つけていかなきゃいけないのかなと思いました。このシーズンは迫田さんや樋口さん、一真がそういう立場にいました。

あの3人はプレーでも見せるし、態度でも、バレー以外のところでも選手とうまくしゃべったりしてコミュニケーションをしっかり取っていたので、そこがあったから今回このチームの勝ちに対する意欲をキープできたんじゃないかなと思います。

――最後に、ファンの方々へのメッセージをお願いします。

まずは5年間、応援ありがとうございました。自分は本当に有名なところから来たわけでもなく、地方の大学からポッと出の何もない選手でした。

自分みたいな選手でもここまで応援してくれて、努力してよかったなとすごく思えています。これからもVC長野のことを温かい目で見てもらえればありがたいです。

小野 体調不良などを乗り越えて
「これからも頑張る糧になった」

――小野選手は内定選手として大分三好に入団して、そのときに今シーズンのチームメイトの安部選手や備選手と一緒に戦ってらっしゃいました。VC長野に来たのは、備選手の影響は大きかったんですか。

三好にいた頃から仲良くしてもらっていて、備選手が先に三好を出ることになりました。

その1年後、僕もどこか次の別のチームに行こうと考えていたときに連絡を取っていて、「VCどう?」といった話をしてもらったので「行けるんだったら頑張りたい、お願いしたい」というのがあって、来させてもらう形になりました。

――小野選手は2023-24シーズンと今シーズンVC長野に在籍されました。この2シーズンの振り返りをお願いします。

1年目のシーズンは移籍してきたタイミングで、最初は環境や仕事が変わったりなど慣れないところもある中でしたが、バレーはしっかりできていたなというところはありました。

試合も開幕のときからスタメンで出させてもらってて、それこそ一緒に移籍してきた藤原選手も三好で一緒にやってましたし、備選手もリベロとして入っていてある程度知った顔もいる中でバレーをできてすごく楽しかったです。

そのシーズン、結果的にあまり勝ててはいなかったんですけど、しっかり自分の中でやろうということを決めてやれていたのが、最初の2~3カ月でした。

12月の中旬ぐらいから自分の体調が悪くなってしまって、12月の年末の最後の試合までは全部出ていたんですけど、1月以降は試合には本当に全然出ていませんでした。

そこから本当に、悪いときの方が若干多かったぐらいなんですけど、体調の波がありつつ、毎回試合に出れるかどうか…というのがずっと続いてた状態で次のシーズンが始まりました。

始まった当初は本当に練習もほぼできていないし、そもそも体育館にも行ってないぐらいのところで、正直「もう無理だろうな」と思っていて…。でもこのチームのスタッフやチームメイトなど、いろんな人々にサポートしてもらって何とか練習に出れるようになりました。

今シーズンで試合に絡んだのは年が明けてからの数試合だったんですけど、サーブを何本か打たせてもらって。帰ってきて初めて出たときは、久々に緊張感がある環境でバレーができたことは純粋に楽しかったです。

あとはここまで戻ってきたから「次に向けてもっと頑張りたい」というのを感じられるシーズンだったのかなと思います。ところどころで諦めてたんですけど、何とか出ることができました。

――久しぶりに試合に出てすごく楽しかったのは、いつの試合になりますか。

アウェイのサントリー戦の1日目です。その日がベンチインするのも(前シーズンの)12月末の試合以来だったし、それまでアウェイの試合にも全く帯同していませんでした。

自分の中で「アウェイに帯同すること」「ベンチに入ること」「試合に出ること」と段階的に目標を立てていて、それが一気に全部かなったのがサントリー戦でした。

1年以上試合に出ないことは今までなかったので、それはすごく今でも鮮明に覚えています。

――来シーズンに向けてVC長野というトライデンツがより強くなっていくためには、どのようになっていったらいいと思いますか。

若いからこそ元気よく勢いを持つことが、より必要になってくるとは思います。残っているメンバーのなかにはそれを体現できる選手がいると思うから、ポジティブでアクティブですごく勢いのあるチームになっていってもらいたいですし、そういうチームに負けないように僕も頑張っていきたいと思います。

――最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

試合に出ていたときも休んでしまっていたときも、変わらずずっと応援をしてくださって、それにはすごく元気をもらえていました。復帰してホームゲームで試合に出たときのファンの方々の声援や拍手に、温かみをすごく感じられました。

2シーズンは本当にあっという間でしたが、ここでそういったファンの方々の応援と一緒にバレーボールができたことにすごく感謝していますし、これからも頑張る糧になると思っています。

※インタビューはレーヴィス栃木加入が決まる前に実施しました)

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