笑顔弾ませて“地域に欠かせない存在”へ 信州Ariesが未就学児にバレー指導

地域とともに歩むクラブチームを目指して、ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズが新たなプロジェクトを始めた。その名は「Dream Hopping Project ~跳ぼう、夢へ!つなごう、未来へ!弾む笑顔でホッピング!~」。未就学児にバレーボールの楽しさを届けながら、選手自身も“応援される存在”としての成長を見つめ直す――。相互にメリットのある取り組みが動き出した。
文:原田 寛子/編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
地域の応援と連携で実現
笑顔あふれる園児との交流
7月24日。上田市内の信学会上田北幼稚園とみのり保育園で、信州ブリリアントアリーズによる新しい取り組み「Dream Hopping Project」がスタートした。
これは、Vリーグ加盟チームに求められる「地域に根差した活動」のひとつとして、信州Ariesが積極的に立ち上げたプロジェクトだ。
選手たちが地域の幼稚園や保育園へ出向き、園児たちとバレーボールをモチーフにした遊びで交流する。

小学生対象のバレーボール教室はこれまでも実施しているが、幼稚園や保育園へのアプローチは初の試み。担当者は狙いを話す。
「昨シーズンのVリーグ優勝でスポーツチームとしての認知は広がったが、上田にある『身近な存在としてのバレーチーム』という認知をもっと広げたい。幅広い年齢層に知ってもらうための第一歩として立ち上げたプロジェクト」
今回2園に向かったのは、ジュニアアカデミーの藤岡智恵美監督と、高野夏輝、井澤天音の2選手。

使用するのは選手たちが試合で使う公式ボールより一回りほど大きく、柔らかい素材でできたもの。ウォーミングアップのボール遊びから、パス練習などを子どもたちと一緒に行った。
途中では公式ボールを使い、選手たちが実際の練習を披露するシーンも。高野がスパイクを打ち、井澤がレシーブを受ける2人組の練習を見せると、園児たちからは歓声があがった。

「すごーい!」
「かっこいい!」
笑顔の絶えない時間だったが、パス練習のシーンでは真剣な眼差しで返球しようとする園児たちの表情もうかがえた。
年長の女の子は「下からボールを取る(アンダーパス)のが楽しかった。バレーボールができてうれしかった」と飛び跳ねて喜んでいた。

そんな声を聞く信州Ariesの面々にも笑顔が浮かぶ。
このプロジェクト、計画段階から短いスパンで実現に漕ぎつけたという。その背景には、上田市の全面的なバックアップがあった。
プロジェクトを計画してから信州Ariesは、上田市の健康こども未来部保育課に連絡。園児たちの健やかな成長に繋がる一助を目指すことや、チームを知ってもらうことで地域と一体となって市を盛り上げたいという目的を伝え、すぐに賛同を得た。

園への声掛けは保育課から実施。リーグの試合が始まると地域活動が難しくなることも理解してもらったうえで、7月中という日程まで組まれた。市の迅速な協力があって開催に至った。
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それぞれの未来をつなぐ一歩に
ふれあいが生んだ気づきと成長
このプロジェクトで信州Ariesが統一して用意しているものが3つある。
まずは思い出の写真を撮ること。今回のプロジェクト名が入った横断幕を作成し、参加した園児たちとの写真を撮影する。

次に選手全員のサインが書かれた色紙をプレゼントすること。すべての園児が参加できるとは限らない中で、信州Ariesの選手が訪れたということを知ってもらうためのプレゼントだ。
そして最後は、ホームゲームの招待パスを渡すこと。一緒にバレーボールで遊んだ選手たちが実際に活躍する姿を近くで見てもらえる機会を積極的に作るというものだった。

信学会上田北幼稚園の宮沢教諭は「最初は園児たちが緊張するかと心配したが、みんな生き生きとやっていた。プロの選手が教えに来てくれる機会はなかなかないこと。地元にプロチームがあることが貴重だし、こういった機会があることも貴重で、子どもたちにとってもいい影響になると思う」と、実感を口にした。
プロジェクトがもたらす効果は、園児たちだけではない。

「かわいい笑顔から私たちも元気をもらった。『バレーボール選手になりたい』と言ってくれた子もいて、私たちの存在が少しでも希望になると思うとうれしい」と高野。
「少しコツを教えるとすぐに実践してくれるなど、運動神経がいい子も多かった。純粋に『楽しい』とキラキラした目で参加してくれて、私たちの活力にもなった」と井澤。
地域の施設で子どもたちや市民と接することで、チームを知ってもらうことや応援してもらえることの大切さを肌で感じ取る。選手たちも貴重な時間をすごしていた。

最後には、園児たちから選手たちへ手作りのプレゼントが贈られ、温かな拍手と笑顔に包まれて交流の時間が幕を閉じた。
園児たちにとっては、新しいことに触れられる機会。チームにとっては認知度の向上に加え、選手たちの成長にも繋がる機会にもなり得る。
今後も市内を中心に、さらに多くの園を訪れていく。

チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484