アキ・チェンバースが放つ“いぶし銀”の光 若きチームを支えるベテランの矜持

若いメンバーが増えた今季の信州ブレイブウォリアーズで、アキ・チェンバースが確かな存在感を放っている。ベテランの風格を一層感じさせながら、それでいて泥くさいプレーにも積極的に取り組む仕事人だ。信州で2年目を迎え、ますます進化の兆しを見せるチェンバース。18-19日に行われた横浜エクセレンス戦を振り返りつつ、その存在意義を掘り起こす。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

球際で「らしさ」を大いに発揮
泥くさく粘り強くチームをけん引

アキ・チェンバースがいぶし銀の活躍を見せている。

「3&D」として高確率の3ポイントシュートと、相手に自由を与えないディフェンスが特徴のチェンバース。今季はそれに加え、ルーズボールやリバウンドに飛び込む回数も増加傾向にある。

レギュラーシーズン(RS)における平均リバウンド数を昨季と比較すると、「2.7」から「4.6」まで上昇。ルーズボールはスタッツに現れないが、何度もコートにダイブする姿が開幕戦から見られている。

また、2ポイントの平均試投数も増加。ドライブからの得点や、ペイントエリア内での得点など、役割に幅が生まれている。

ホーム開幕戦直後の練習でそのことを尋ねると、昨季からの変化について語ってくれた。

「シチュエーションにもよるが、昨年よりはドライブのチャンスがあると思っている。今シーズンはすごくオープンなバスケットをしているので、チャンスがあればドライブする」

「それがコーチマイクが求めていることでもあると思っている」

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)も太鼓判を押す。

「いろんな良いところがあっても、一番の強みは球際だと思っている。毎年感じるが、2年目の選手はやっぱり違う。(プレーに)余裕が生まれると本来のプレーもより出てくる」

「チームのディフェンスルールを今年は深く理解しているところから余裕が生まれて、良いプレーに繋がっている」

横浜EXとのGAME2の前に行われたチームミーティング。勝久HCはチェンバースのとあるプレーを引き合いに出し、チームにリバウンドの意識をリマインドしていた。

「ウィークサイドのリバウンドヘルプで、仲間がポジション争いに負けていたところを彼がヘルプで取りに行ったクリップを今日は例にした」

「試合前に『みんなこうやって40分間やらなきゃいけないよ』と(伝えた)」

結果的にGAME1では横浜EXに18本取られたオフェンスリバウンドを、GAME2では12本にまで抑えることに成功した。

PROFILE
アキ チェンバース(Aki CHAMBERS)1990年9月19日生まれ、アメリカ合衆国出身。アメリカ人の父と日本人の母を持つ。カリフォルニア大学マーセド校から当時bjリーグの浜松・東三河フェニックス(現三遠ネオフェニックス)に入団。サンロッカーズ渋谷、千葉ジェッツ、横浜ビー・コルセアーズ、群馬クレインサンダース、渋谷でプレーして昨季に信州へ。2021年には日本代表にも選出された。粘り強いディフェンスと正確な3ポイントシュートに定評のあるSF。191cm、90kg。

ベテランの意識や取り組む姿勢がチームに浸透しているのは間違いない。

今季の信州は派手なプレーは少ない。アリウープなどの豪快なダンクや、超絶ブロックショットは今のところ飛び出してはいない。

それでも、連動したディフェンスからターンオーバーを誘発したり、フロアへダイブしてボールを追いかけたりする泥くささは、ここ数年でも際立つものがある。

バスケットボールの根幹。能力頼りではない原理原則、それを遂行しようとする意識。とりわけチェンバースは、その土台を支える選手の一人として、信州には欠かせない存在となっている。

KINGDOM パートナー

勝負どころでも存在感を示す
チーム救う冷静沈着なスナイパー

移籍1年目の昨季は、RSとプレーオフ(PO)を合わせた全68試合に出場したチェンバース。後半戦からはスターティングメンバーに定着し、2年目となる今季も開幕からスタートを任されている。

スターティングメンバーは試合のトーンセットをする上で極めて重要な役割を担う。その責任は大きい。

15日のアウェイ福井ブローウィンズ戦では、試合の入りから主導権を握られて敗戦を喫した。そこからバウンスバックして2連勝とした。

「大敗した後に昨日(18日のGAME1)良い形で流れをつかんで、今日(19日のGAME2)はタフなバトルだったが良い流れができて最終的には良かった」

「最終的には」と話した通り、GAME2は最後までどちらに転ぶか分からない試合展開となった。

一進一退の展開で躍動したのがチェンバースだった。

第4クォーター(Q)開始早々、横浜EXに連続得点を許して67-49と詰められた局面。1本目の3ポイントシュートを沈めると、残り6分24秒の場面でゴール下から得点を挙げる。

一度30秒ほどベンチに下がってから残り4分17秒で再び投入され、9点差に詰められた後にすぐさま2本目の3ポイントシュートで突き離す。

残り2分11秒には三たび3ポイントシュートを沈め、最後はフリースローを2本ともきっちりとそろえた。

第4Qのみで3ポイントシュート3本を含む13得点。マイク・ダウムと並びチーム最長の9分27秒間をコート上で過ごし、チームの勝利に大きく貢献した。

勝久HCもチェンバースの活躍に目を細める。

「本当にタフな選手で、シュートも素晴らしい、ドライブも強い、クラッチプレーヤー。昨年(のブザービーターを)見たように、そして今日見たように大事な時に決められる」

「年齢関係なく、身体はチームで一番強いと思う。長いプレータイムで頑張っていて、(相手の)ベストプレーヤーにもいつもつけている」

チェンバースも自身の活躍について、納得の表情で振り返る。

「自分の経験をしっかりと生かしながら自信を持ってやる。それを1年通じてやることが大事だと思う」

「自分のロードマップを引いた時に、しっかりとそこを一歩一歩進んでいく。そこを大切にしている」

ベテランらしく、決して浮かれることなく、日々成長を大切にしている姿勢が浮き彫りになった。

チェンバースの活躍も光り、6勝1敗で東地区1位に位置している信州ブレイブウォリアーズ。次節は、昨季POで戦ったライジングゼファー福岡とアウェイで対戦する。

昨季の経験値も備えるチェンバースの存在が、これからも若いチームに確かな成長をもたらしていくに違いない。


Bリーグ 選手紹介 アキ・チェンバース
https://www.bleague.jp/roster_detail/?PlayerID=8448
Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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