アキ・チェンバースが示した“プロの矜持” 失敗を乗り越えるメンタリティとは

2026年2月28日、ライジングゼファー福岡とのGAME2。前日は勝負を決定付けるフリースローを2本落としたアキ・チェンバースに、同じシチュエーションが訪れた。前日の悔しさを一夜で切り替え、自分自身を信じ抜いて挽回。2日連続となる延長戦で、今度は勝利の立役者となった。35歳とベテランの域に達しても、なお成長を止めないチェンバース。そのメンタリティに迫った。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

延長戦で惜敗したGAME1を糧に
信じ抜いて示した自分自身の技

バスケットボールの神様が見ているような展開だった。

GAME2の第4クォーター(Q)残り12.7秒。75-78の3点ビハインドで最後のタイムアウトを使った信州が選んだプレーは、チェンバースがシュートを放つハンマーアクションだった。

左サイドのゴール下にいたマイク・ダウムが、3ポイントライン付近で立つチェンバースにアップスクリーンをかけ、一瞬だけマークを外すことに成功。左サイドの0度から3ポイントシュートを放ったチェンバースに遅れた相手選手がぶつかり、フリースロー3本を獲得した。

残り数秒、勝負を分けるフリースロー。GAME1と似たような展開だった。

前日のGAME1でも、残り0.3秒同点の場面で2本のフリースローを獲得したチェンバース。1本でも決めれば勝利に大きく近付く状況で、2本とも失敗。延長戦の末、試合にも敗れた。

GAME1終了後、チェンバースはうつむきながらも力強いコメントを残していた。

「(落としたフリースローは)いつも通り打っていた。いつも通りこの先も練習して打てばいいと思っているし、今日は入らなかったが、また同じように頑張って次は決めるだけ」

そして期せずして迎えた、リベンジとも言えるシチュエーション。チェンバースの表情はいつも通り冷静さを保っていた。

再び勝負どころでチェンバースのフリースローがやってくる、マンガのような展開。会場は大きな歓声とともに緊迫感に包まれ、ベンチも固唾を吞んでチェンバースを見つめていた。

1本は外したものの、2本は沈めて77-78とする。すぐにチームはファウルゲームを遂行して残り12秒。相手にフリースローを1本落とさせて77-79で信州ボール。そこで値千金なプレーを見せたのも、チェンバースだった。

ラストプレーで選択したのは小栗瑛哉のスピードを生かしたレイアップシュート。それが外れると、ルーズボールにチェンバースが飛び込み、ジャンプボールシチュエーションで信州ボールとする。

最後はマイク・ダウムが同点のシュートを沈めて同点に追いつくと、福岡のラストシュートを守って2日続けて延長戦に突入した。

延長戦でもチェンバースの活躍は止まらない。

残り時間3分25秒には身体を張ったゴール下の争いでジャスティン・バーレルからファールを誘発してフリースローを獲得。2本目を落としたものの、ルーズボールの意識を欠かさずにチャンスを引き寄せる。

残り時間1分45秒にはこの日3本目となる3ポイントシュートを沈めて、86-82と引き離す。最後はフリースローを2本きっちりと沈め、2日連続の延長戦をものにした。

前日の表情から一転、チェンバースは笑顔で試合を振り返った。

「昨日よりは良い気持ち。同じような状況になったが、自分はフリースローが入る選手だと思っているので、自分自身を信じて打ち切った。(延長戦の3ポイントシュートも)チームメイトがオープンを作ってくれたのを、自分を信じて決めにいった。決められて良かった」

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)もチェンバースに賛辞を送る。

「心の中では彼に活躍してもらいたいという思いはあった。昨日シュートが入っていなくても信頼しているからコートに立ち続けているし、最後のコーナースリーを打たせたのもビッグショットを決めてくれると信頼しているから」

「フリースローを1本外した時は『大丈夫かな』と思ったが、オーバータイムでビッグショットを決めてうれしかったし、On Fireをもらったのもうれしかった」

不断の努力が育む確固たる自信
切り替えて「次に進む事が大事」

顔色ひとつ変えずに相手エースを封じ、タフな体勢でも3ポイントシュートを涼しげに沈める。そんな姿がチェンバースのプレーヤー像だ。チームルールの遂行力も高く、コーチ陣からの信頼も厚い。ベテランとしての風格からも、既に完成している選手だと思わされる。

しかし35歳のチェンバースもまた、日々成長を続ける一人。それを2戦のプレーで、何よりも雄弁に示した。例えばシュートタッチが悪くても、試合を通してリバウンドやルーズボールでハッスルを見せて、チャンスをつかみに行く。その姿勢もチェンバースの長所だろう。

それはまさにチームが重要視するメンタリティにも通じる。チェンバースは語る。

「正しいところでアグレッシブにプレーすることが、勝敗を分けるとわかっている。そこで自分がしっかりと正しい判断をしてチームに貢献できたと思う」

「昨日(27日のGAME1)の夜はいっぱい考えることもあったが、それはそれで置いておき、しっかりと切り替えて臨めたところが大きかった。次に進むことが大事だと思っている」

GAME1では長野市の小中学生を招待する「KIDS DREAM DAY(キッズドリームデー)」が開催されたが、惜しくも勝利を届けることができなかった。試合を通して一番注目が集まったであろうフリースローを外したことで落胆した子どもたちもいたかもしれない。

それでもチェンバースは切り替え、立ち上がった。その再出発する勇気こそが、ベテランとしての矜持。子どもたちに限らず、このチームを応援する大人も含めて勇気や元気をもらい、自分自身と向き合う機会を与えられたのではないだろうか。

ディフェンスやルーズボールなど、自分自身がコントロールできることを遂行した上で惜敗したGAME1。落ち込んでもおかしくないGAME2でもゲームプランを遂行し、チーム最長の34分20秒の出場で14得点7リバウンド4スティールを記録した。

子どもたちに大きな背中を示す、2日間の復活劇だった。

不断の努力を続けるからこそ自分自身を信じることができ、スポットライトが当たる選手として活躍するチェンバース。この姿勢をチームもさらに吸収することができれば、プレーオフでも優勝を狙うのにふさわしいチームになるはずだ。


Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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