新境地に至った27歳・田中瑠奈は自他に厳しく 「みんな修行が足りない」と“喝”

開幕18連勝でVリーグ女子の首位を独走するルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ。その原動力の一人が、今季加入したアウトサイドヒッター(OH)田中瑠奈だ。サーブ効果率14.3%とリーグトップの数字をたたき出しているだけでなく、安定したレセプションでチームを支える。SVリーグ・NECレッドロケッツ川崎での経験を踏まえ、27歳で至った新境地。「年々熱くなってきている」と笑う彼女に、現在の心境を聞いた。
文:大枝 史/編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
サーブ効果率14.3%でリーグ首位
精度を高めるためのマインドは
18試合を終え、サーブ効果率14.3%は堂々のリーグ1位。リリーフサーバーの起用でもきっちり結果を残し、開幕18連勝の原動力になってきた。
その勝負強さはチームメイトも驚くほどで、「どういう気持ちで打っているの?」「あのタイミングでよく決められるよね」と聞かれることもあるという。

「聞かれたことに対しては気になって、教えてあげようと思う。興味を持ってもらえているのはすごくうれしい」
その答えは「『決めちゃうよ』って感じ」。どうなるかわからない状況に気をもむよりも、今の自分が最大限の力を発揮することにフォーカスする。
「自分でも今日は行けるとか、今日はちょっとソワソワしているとか」と話すように、緊張感を持ちながらも冷静に自分の状態を判断。そしてメンタルを整え、相手の傾向を加味して攻めるサーブを繰り出す。

その感覚を見つけたのは、つい最近のことだという。2017年に高卒で群馬グリーンウイングスに加入してから8季目。群馬時代のチャレンジマッチを含め、多くの経験を積んできた。
「入れにいってミスをすると『思い切り打っておけばよかった』と後悔することが多かった。そのミスがよぎるのもよくないと思って、今は気楽に打てている」。今までの経験を踏まえてようやく至れた境地だ。

「やっぱり自信になるのは時間がかかるんだと思った。27歳になってやっと。だからみんなまだまだ修行が足りない」と言って、朗らかに笑う。
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「感謝」の念をコートに還元
主体的な姿勢で若手を引っ張る
新たな境地に至ったのは、なにもサーブだけではない。
「このチームに来てから気持ちに余裕ができて、『監督・コーチがどういう意図で言っているんだろう』と疑問を持ちながらやれている。それをどんどん解決していくと、前に進んでいる感じがする」

ただ与えられた練習を消化だけでなく、主体的に取り組む。自分自身で気付くことで、練習の向き合い方も変わってきた。「ワクワクしないと楽しくない」といい、その経験をチームにも還元する。
「一人一人、良さがある。それをスタッフもそうだけど、選手内で引き出せたらもっと良いチームになると思う。そこは自分が若い選手に気付かせてあげたい」

前所属のNEC川崎レッドロケッツでも心境の変化があった。
「コミュニケーション能力も高いし、『自分が出られれば良い』みたいな選手が誰一人いなかった」という集団。その環境で過ごしてきた日々が、田中の視野を広げた。
「状態とかコンディションを見ながらいろんな選手を見ていけるようになったし、スキル面だけではなくバレーから外れたところでも気にかけられるようにはなったと思う」

コート内でもそれ以外でも、率先してチームを引っ張る。その背景には感謝の思いがあった。「聞いてくれるから考えさせられるし、いろんな人と出会えたからこそ学ぶことがたくさんあった」。
さまざまな経験を得られたことに対する感謝、学ぶことができた感謝。今、楽しくプレーできている感謝――。そのあふれんばかりの思いを、チーム力の向上に還元していく。

「言うからには自分がやる」
年長者の責任と姿勢を示す日々
信州Ariesは開幕18連勝と圧倒的な力を示しているが、自他に課す水準が高いからこそ慢心はない。「相手の勢いに対して受け身になってしまったり、練習の雰囲気がゆるくなってしまったりするのは怖い」と警鐘を鳴らす。
だからこそ、「それって本当に決まる?」とチームメイトにも問いかける。練習でアタックが決まっても、相手が変われば決まらないこともある。それで焦ってセットを落とした経験もしてきた。

どれだけ勝っていても、道のりはまだ半ば。「どこを詰めたら圧勝して勝てるかを考えているし、ゆるくなったらちゃんと先輩として喝は入れる」
そうした発言には責任が伴うのも覚悟の上だ。
「『言うだけじゃん』と思われないように、自分もしっかりと締めてやっている。やっていないと、『やってないじゃん』って絶対にみんな言うから」と笑う。言うからにはやるし、やっているからこそ言える。「年々熱くなってきている気がする」と笑顔を見せる。

そうして熱を込めた日々がチーム力を引き上げ、連覇への道のりを明確にする。
2026年1月24-25日にはホームの上田市自然運動公園総合体育館で東京サンビームズを迎える。前回の試合よりおよそ1カ月ぶりで、ホームゲームは2025年12月6-7日のJAぎふリオレーナ戦以来の開催となる。「メンタルも練習も、メリハリをつけて集中して取り組めたら良いと思う」と田中。2026年の初試合、連覇に向けて弾みをつける一戦としたい。

ホームゲーム情報 1月24-25日・東京サンビームズ戦
https://www.briaristcamp.com/information?no=n5fGCnFeCSvacv3fCFSA3Fs
チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484

















