“最速始動”から1カ月余 新卒迎え心機一転、8連敗脱出に向けて再開初戦へ

もう同じ轍は踏まない。女子プロサッカーリーグのWEリーグで、12チーム中11位に沈むAC長野パルセイロ・レディース。クラブワーストの8連敗で年をまたぎ、約2カ月間のウインターブレイクで再起を図ってきた。リーグ再開となる2026年2月14日のアウェイ・ちふれASエルフェン埼玉戦に向けて、新卒選手も交えて競争力を高めている。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
8連敗中はいずれも前半に失点
“やられる”前に柔軟な対応を
「自分たちは後半に強くても、結果的には負けている。前半を(失点)ゼロで抑えるということは、チームとして共有してきた。今は雰囲気も悪くないし、意思統一を図れている」
チーム最年長のMF三谷沙也加が言うように、前半を無失点で乗り切ることが喫緊の課題。8連敗の間はいずれも前半のうちに失点し、後半に息を吹き返す試合が多かった。

昨年末に行われた前節の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦は、その最たる例だ。前半に3点を先取されたものの、後半に2点を奪い返して2-3。前後半でまるで別のゲームとなった。
セットプレーから先制され、その後もプレッシングが機能しない時間が続いた。ハイプレスを身上とするAC長野に対し、相手はそれをはがすべくズレを生んだり、流動性を高めたりしてくる。「相手のパワーに上回られた部分もあるので、もっと早く修正できれば…」と試合後に三谷は嘆いていた。

互いに対策を練り合う中で、すべてがシミュレーションどおりにはいかない。早い時間帯に失点して試合を壊さないために、ベンチワークも含めて素早く修正できるか。リーグ最多失点の守備を改善すべく、フレキシブルな対応が求められる。

ウインターブレイクにはWEリーグクラブとのトレーニングマッチを2試合行った。ジェフ千葉レディース、日テレ・東京ヴェルディベレーザと戦い、いずれも1本目は0-0で無失点。「一つ結果として表れたので、リーグ戦でも継続していきたい」と三谷は手応えを口にする。
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箕輪町出身のGK髙橋千空が加入
チーム最長身の176cmが武器
この期間には新卒選手も入団した。国士舘大のDF塚崎優璃、東洋大のDF熊谷美布、山梨学院大のGK髙橋千空、常葉大付属橘高のFW松浦芽育子。下部組織のAC長野パルセイロ・シュヴェスターからFW牧妃奈も加わり、FW川船暁海に続いて2人目のアカデミー出身者が生まれた。

このうち髙橋千空は箕輪町出身。高校から地元を離れ、猛者が集う関東で腕を磨いてきた。山梨学院大では4年連続で全日本大学女子選手権決勝に進出し、2度の優勝を味わった。
3年時には準優勝に終わるも、正守護神として全4試合に出場。「人としても選手としても一段階レベルアップさせてくれる舞台だった」と振り返る。4年時の昨年はコンディション不良もあって控えに回ったが、「結果的にチームが優勝できたのでよかった」。

東京五輪にも出場した西藤俊哉を輩出し、「フェンシングの町」として知られる箕輪町から女子プロサッカーの舞台へ。「最初はそんなに実感がなかった」と明かしつつ、「周りの人から『地元でプレーしてくれるのはすごくうれしい』という声をいただいた。自分としても帰ってこられてよかった」と声を弾ませる。
チーム最長身の176cmという高さが特長。U-16日本代表候補の経験もある守護神は、「身長はほかにはない自分の武器だと思う。周りよりも優れたプレーができるように頑張りたい」と力を込める。
再開初戦は最下位のEL埼玉と
「どんな形でも勝って違いを」
チームは1月6日からトレーニングを再開。積雪の影響を見込んで早めに始動し、RB大宮アルディージャWOMENに並んで最速となった。昨季のように県外でのミニキャンプはなくとも、毎週末にトレーニングマッチの遠征を組み、試合勘も養いながら強度を高めてきた。

「全員が悔しい思いをしている。ただ淡々とトレーニングをこなすんじゃなくて、一つ一つ意味を持ってできれば」とキャプテンのMF稲村雪乃。今年から新たにクラブOBの勝又慶典コーチが加わり、より細部にも目を向ける中で、廣瀬龍監督は「個の成長も見えてきている」。

リーグ再開初戦は2月14日、アウェイでちふれASエルフェン埼玉と対戦。勝ち点8で11位のAC長野に対し、12位のEL埼玉は勝ち点6と迫っている。最下位脱出に向けて、死にもの狂いで戦ってくるだろう。
前回対戦ではホームで0-2と敗れており、なおさら負けられない相手だ。「どんな形でも勝って、去年とは違うところを見せないといけない」と廣瀬監督。三谷も「ホームでは前半に失点して苦しくなった。アップから集中して入って、ノリに乗れるような試合にしたい」。

ケガで長期離脱していたDF奥川千沙とMF髙橋雛も、戦列に帰ってきた。古巣戦を控える髙橋雛は「今年の初めからちふれと当たるとは思っていなかった。うれしい気持ちがある半面、燃え上がりすぎないように抑えないと…」と頬を緩める。彼女にとっても負けられない一戦だ。

2カ月弱のウインターブレイクを挟み、心身ともにコンディションは整った。雪をも溶かすほどの熱量をもって敵地に乗り込み、9試合ぶりの勝利をつかみたい。
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