東海林秀明強化部長が6年ぶりクラブ復帰 次はWEリーグの舞台で手腕を振るう

志半ばで去った地に帰ってきた。AC長野パルセイロ・レディースは1月17日、東海林秀明氏の強化部長就任を発表。2020年にはJ2昇格争いを演じたトップチームで編成の責任者を務めた経験を持ち、今度はレディースで6年ぶりの古巣復帰となる。レディースの前身に関わるなど、クラブとの縁も深い55歳。新たな舞台でどのように手腕を振るうのか――。
文:田中 紘夢
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コロナ禍でJ3昇格まであと一歩
志半ばでの退任は「申し訳ない」
新型コロナウイルスの渦中にあった2020年。AC長野はJ3で昇格争いを繰り広げていた。勝てば昇格が決まるホームでの最終節で敗れ、南長野が失意に包まれた光景は、多くのサポーターの記憶に刻まれているだろう。
当時のチームの編成を担っていたのが、東海林秀明強化部長だ。就任1年目の2019年に横山雄次監督を招へいし、“堅守多攻”の基盤を構築。2年目の2020年には「CHANGE!」というスローガンのもと、宇野沢祐次ら功労者を次々と放出し、大卒6人を加えるなど若返りを図った。
コロナ禍で開幕が3カ月遅れたこともあって、準備は捗った。開幕から順調に勝ち点を重ねて上位を堅持。木曽町出身のMF三田尚希ら新加入組が躍動し、最終節まで昇格を争った。
順調に改革が進んだ一方、東海林強化部長はシーズン途中で契約満了。チームの結末を見届けられなかった。

「最後の2試合で勝てなくて昇格を逃したときに、私はその場にいられなかった。そこは自分に対する悔しさというか力不足というか、そういう思いはある。ただ、やってきたことは間違いではなかったと思う」
「(横山)監督とは同い年ということもあって、日々コミュニケーションを取っていた。スタッフも大きく入れ替えた中で、彼らが本当にハードワークしてくれた。あと勝ち点2があれば昇格できたので、選手にもスタッフにも申し訳ない気持ちだった」
石川隆司ヘッドコーチ(現湘南ベルマーレヘッドコーチ)、嶋将平アシスタントコーチ(現清水エスパルスコーチ兼分析)らスタッフの仕事ぶりも噛み合ったシーズン。その歯車の一つに東海林強化部長の存在があった。
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前職での縁も繋がって古巣復帰
ルーツを知るレディースチームへ
そんな東海林氏が、志半ばで去ったクラブに帰ってきた。
WEリーグを戦うレディースの強化担当に就任。前任の青木寿人氏がウインターブレイクに退任となり、その後を継いだ形だ。
昨年6月までベトナム1部のソンラム・ゲアンFCでテクニカルダイレクターに従事。包括的連携協定を結ぶ水戸ホーリーホックからの出向という形で赴いた。その際に水戸で同僚だった市原侑祐・取締役副社長がパイプ役となり、古巣復帰への道が開かれた。

「市原副社長を含めて経営陣が刷新されたこともそうだし、同じ強化責任者という立場で活躍されてきた西山(哲平)スポーツダイレクターの存在も大きかった。そういう縁もあって戻ってこられたので、6年前がどうというよりも、彼らとともにクラブが変わろうとしていることが決め手になった」
レディースに関しては、“ルーツ”を築いた過去もある。
クラブの前身にあたる大原スポーツ公務員専門学校サッカー専攻科でGKコーチを歴任。当初は男子チームを担当していたが、のちに女子の世代別日本代表も指導するなど、女子サッカーの分野にも携わった。
長野県を拠点に活動する中で、「県協会の方々にも大変お世話になった」。クラブの歴史を紡いだ一人として、「こうして女子のトップリーグに残っているのは素晴らしいことだと思う」と感慨を口にする。
WEリーグでは2クラブ目の挑戦
「今いる環境の中で最大値を」
WEリーグの強化責任者を務めるのは、マイナビ仙台に続いて2クラブ目だ。選手全員がプロ契約のマイ仙台とは異なり、AC長野は約半数がアマチュア契約。環境的に恵まれているとは言いがたい。
リーグ戦は現在ウインターブレイクを迎えており、2月14日に再開。シーズン途中で就任した東海林強化部長は、新卒選手の契約や雇用先への挨拶回りに汗を流しており、「懐かしさをしみじみと感じる暇はない」と笑う。
6年前のトップチームとは「全く違う」状況。完全プロ化やハード面の拡充を目指しながらも、「今いる環境の中でいかに最大値を発揮するか」と課題を口にする。そのためには現有戦力の成長が欠かせない。

「WEリーグにトップ3と呼ばれるチームがいる中で、そこに声をかけられるような選手たちが出てくれば、クラブの価値を上げることにもなると思う。引退するまで長野で頑張ってほしい思いもありつつ、育成型クラブとして大きな活躍の場に羽ばたいてもらうことはネガティブではない」
マイ仙台のアカデミーは仙台白百合学園と連携協定を結んでおり、寮やグラウンドなどの施設が充実している。トップチームに2種登録される選手も多々。それを見てきた東海林強化部長は、ハード面では及ばなくとも、「アカデミーに投資できるかはすごく大事」と捉える。
Jリーグを含めると、プロでの経歴は8クラブ目となる。縁深い長野での“再挑戦”に向けて、「またチャレンジする機会をいただけたことに感謝している。今度はレディースチームに経験を還元して、少しでもクラブに貢献できれば」と力を込める。

クラブ公式サイト
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