顧客ともクラブとも伴走する株式会社dev 鎖骨のロゴに込めた“戦略と愛”

昨季、サッカーJ3松本山雅FCの「60thスペシャルユニフォームパートナー」としてクラブ支援を始めた松本市の株式会社dev。2026年2月に開幕したJ2・J3百年構想リーグでもオフィシャルパートナーを継続し、ユニフォームの左鎖骨部分に企業名を掲出している。データ分析やDXを活用した企業向けのデジタル支援サービスを提供する同社。浅田佑介社長に、支援の狙いや実感する費用対効果、根底にある故郷・信州への思いなどを聞いた。
取材:大枝 令
かつては信州のサッカー少年
「長野県に還元したい」と模索
2020年に松本市で設立した株式会社dev。浅田社長が独立前から信頼関係を築いていた顧客との取り引きを軸に業績を伸ばし、業界内での存在感を高めている。一方、顧客の9割が県外企業。県内出身の浅田社長は、かねてから「長野県に還元したい気持ちを持っていた」という。
ある日、J1浦和レッズを支援する経営者の知人から、スポーツクラブの支援によって地域貢献するやり方がある――と聞いて膝を打った。
自身もかつてはボールを追いかけたサッカー少年で、松本山雅の試合を観戦するためにスタジアムに何度も足を運んでいるサッカーファン。同社の県内での認知度を高めることも目的に、ユニフォームパートナーに名乗りを上げた。

「やっぱり長野県が好きだというのが一番。県外中心の顧客でも事業は成り立っているけれど、生まれ育った長野県に対して貢献していきたい気持ちが強かった」。それに加えて「県外での仕事は移動による時間的制約も伴うので、密着して支援する形を増やしていきたい思いもある」と打ち明ける。
大学卒業後、県内の大手企業でシステムエンジニア(SE)としてキャリアをスタートさせた。コンサルティングファームへの転職を経て独立。2020年には、データ活用の最前線を走る“Tableau DataDev Ambassador”に日本人として初めて選出された経歴を持つ。
株式会社devは企業の業務プロセスについて現状と課題を分析し、効率化するためのデジタルサービスを選定して導入を提案する。

世の中のサービスを組み合わせ、顧客ごとの「最適解」を探って提案。さらに運用までワンストップで支援することで評価を得てきた。浅田社長が説明する。
「ツールやサービスを導入しただけで満足するのではなく、それをしっかり使わないと意味がない。高いお金を払って子どもを塾に入れたのに全く勉強しないことと同じ。システムの使い方やサービスの相性も含めて、運用を支援していくことを重要視している」

支援企業は業界問わず幅広い。事務系の効率化をはじめ、企業成長に直結する高度な領域まで対応している。製造業なら機械の電流をモニタリングしたりモーターの回転数をデータ化したりすることで、故障の検知を早めるシステム構築などを手掛ける。
「長野県は製造業が盛ん。AIなどの技術を駆使して製造の効率性を高めるスマートファクトリー化を手がけた実績も豊富なので、県内の製造業の力になっていきたい思いもある」
「費用対効果には満足している」
顧客ともクラブとも“伴走”して
地域貢献と経営戦略の具現化を目的に始めた松本山雅への支援は、すぐに効果が現れた。
「既存の顧客はもちろん、知人からも『松本山雅のスポンサーになったんですか?』と聞かれるようになった。クラブのパートナー企業による交流会では他の企業と繋がりをつくることができる。認知度が高まってきた実感はかなりあるし、費用対効果には満足している」

そして特別ユニフォームだけでなく、J2・J3百年構想リーグでもオフィシャルパートナーを継続。エンブレムの上、左鎖骨部分に白抜きされたロゴが光る。
「効果が大きかったのと、やはり社会的意義。地域創生に貢献できた――という思いがすごく強く、これを継続したいと思った」

10年以上にわたって一人のファンとして見守ってきた松本山雅を、現在は支援する側の視点でも見つめる。
「熱いサポーターのことを考えると、やはりJ3にいていいクラブではない――というのが率直な意見。もっともっと頑張ってほしいという気持ちだけれど、それを遠くから見ているだけでなくて、一緒に声を出してサポートしていけたら」
松本山雅が2015年と19年に経験したJ1の舞台も、スタンドから熱気を肌で感じた一人。「今とは比べものにならない盛り上がりが当時はあった。あの盛り上がりをもう一度経験したいという期待がある」と話す。

大きく様変わりした今季のチーム。「やりたいことをチャレンジして積み上げて、次の26-27シーズンに向けて体制を整えて準備してほしい」と思いを寄せる。それは同社のスタンスともリンクしており、「現状維持は衰退。常に新しいことに挑戦するのが大切」と熱をこめる。
さらに経済的な支援だけにとどまらず、自社の強みをクラブに還元する構想も温めている。

「うちの会社は分析力に強みがあるので、例えばチーム強化にテクノロジーを導入することもできるのではないかと。日本では開拓が進んでいないけれど、スポーツとテクノロジーには無限の可能性がある。クラブには『何でもやります』と伝えている」と熱弁を振るう。
期間限定の特別ユニフォームパートナーから始まった支援は、今季の百年構想リーグでも継続。4月5日の第9節・いわきFC戦では、初めてマッチデーパートナーにもなった。顧客と伴走するサービスさながらに、シーズンを通してクラブと伴走していく。

「1試合1試合、目の前の勝利の積み重ね。サポーターもクラブスタッフも私たちパートナーも一緒になって、同じ方向を向いて進んでいければいい」。緑黒に身を包む選手の鎖骨には、そんな浅田社長の願いも刻まれている。
株式会社dev
https://de-v.co.jp/
オフィシャルパートナー募集(クラブ公式サイト)
https://www.yamaga-fc.com/partner/wanted














