「2日続けては…」ダービー惨敗の翌日、女獅子が表現した“オレンジの矜持”

同じエンブレムをまとっている以上、他人事ではない――。 2026年3月14日、長野Uスタジアム。AC長野パルセイロ・レディースの面々は、トップチームと松本山雅FCの“THE DERBY”で0-5と大敗する光景を目に焼き付けた。一夜明けた15日のクラシエカップグループステージ第5節で、リーグ女王の日テレ・東京ヴェルディベレーザに3-4と肉薄。敗れはしたが、“オレンジの誇り”をホームで示した。 

文:田中 紘夢

ダービー惨敗から得た「自戒」 
目の色を変えて王者に食らいつく 

前日に行われたトップチームのダービーマッチ。長野は松本山雅の圧倒的な強度にのまれ、0-5と大敗を喫した。それを現場や映像で見守ったレディースチームの選手たちは、同じエンブレムを胸に戦う身として“自戒”を得たという。 

「昨日の山雅さんの気迫だったり魂のこもったプレーだったりというのは、普段(サッカーを)見ていない人たちにも伝わったと思う。今日の自分たちも技術では圧倒的に負けていたけれど、サッカーはそれだけでは勝負がつかない。『チームとして一つになって戦おう』と試合前から話した」 

この試合でキャプテンマークを巻いたDF筬島彩佳。「走る、戦う」という原点に立ち返り、リーグ女王の日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京NB)にどれだけ食らいつけるか。その覚悟は立ち上がりからピッチに表れた。

7分には先制点となるオウンゴールを誘発。相手CKからのロングカウンターで、FW川船暁海が並走するマークをスピードで振り切る。クロスに対してFW髙橋雛とMF松浦芽育子がスプリントで駆け込み、相手が戻りながら対応せざるを得ない状況を作った。 

17分にも激しいハイプレスでボールを奪い、川船がドリブルでペナルティエリア内に進入。混戦からこぼれ球を自ら押し込んだ。2ゴールに絡んだ川船は、「いつもだったら中のパスコースを探して(ボールを)取られていた。今日は仕掛けてみようと思った」と強気だ。 

彼女に限らず、この日の選手たちは目の色が違った。 

ビルドアップ時は相手のハイプレスを引きつけながら、センターバックの筬島から1トップの吉野真央を目がけてロングフィード。吉野のスピードとフィジカルを生かしつつ、いち早くセカンドボールを拾って前進した。 

「プレッシャーを浴びながらパスを繋ぐよりも、相手コートでポイントを作る」という廣瀬龍監督の狙い。今までは自陣でのボール保持が目立っていたが、この日はより相手の背後を狙い、ゴールに向かう姿勢が鮮明だった。 

合流8日目にして即デビュー弾 
高卒ルーキーの松浦芽育子が躍動

アグレッシブなオレンジに彩りを添えたのは、高卒ルーキーの松浦だ。 

常葉大橘高(静岡)から合流して8日目。いきなりのプロ初先発で、憧れる東京NBと対峙した。年代別代表でともに戦う東京NBのMF眞城美春らのプレーに「やっぱりうまいな」と感嘆しつつ、2点目の場面ではハイプレスでボールをさらって見せた。 

最大の見せ場は68分、2-0から逆転を許した直後に訪れた。トップ下からボランチに移った松浦が、味方のクロスに対して3列目から飛び込む。シュートはGKに弾かれるも、こぼれ球を自らプッシュ。デビュー戦で初ゴールを決めた。 

「めちゃくちゃうれしかった」と白い歯を見せる18歳。廣瀬監督も期待通りの活躍に目を見張る。

 「彼女は簡単にボールを奪われないのがストロングポイント。デビュー戦でも堂々と、おびえることなくやっていたので、今後も期待できるような選手が現れたと感じている」 

過去にも怖いもの知らずの高卒ルーキーがいた。同じ常葉大橘高出身で、現在は三菱重工浦和レッズレディースに所属するMF榊原琴乃だ。 

2022-23シーズン途中に加入してすぐさまスタメンをつかみ、3試合目でプロ初ゴール。左45度から鮮烈なカットインシュートを決めたドリブラーは、同年のアジア競技大会日本代表(B代表に相当)にも招集された。

そんな先輩の背中を追うように、松浦も鮮烈なインパクトを残した。2得点に絡んで堂々のデビュー。とはいえ慢心はせず、「もう少し良い形でボールに関わったり、決定的なパスを出したりしたかった。守備での強度も高めていきたい」と活躍に飢えている。 

「見ている人に伝わるプレーを」 
女獅子が示したオレンジの誇り

前日のダービーから得た教訓と新鋭の力を得たチームは、リーグ女王を相手に3-4と肉薄。今年に入って5試合目での初ゴールを皮切りに、3発を浴びせた。

それでも公式戦7連敗と苦しい状況に変わりはなく、筬島は足元を見つめる。 

「3点取れたのは収穫だけれど、4失点していたらなかなか勝てない。もう『惜しい試合』はいらないし、結局は負けてしまったら一緒。そこは全員で追求していきたい」 

28歳の筬島は、昨季まで所属した愛媛FCレディースではキャプテンを務めていた。今年からAC長野でも副キャプテンを託され、「自分が還元できるものは還元したいし、伝えられることは伝えたい」と力を込める。“オレンジ一筋”の心強いリーダーだ。 

同じく副キャプテンでアカデミー出身の川船も、責任感は人一倍強い。前日のトップチームの結果を受け、「見ている人たちにも伝わるプレーをしないといけない」と決意を新たに。言葉どおりに橙魂を燃やし尽くした。 

「昨日の試合を見に来て、今日の試合も来てくださったお客さんがいる。2日連続でああいう試合にはできないというのは、共通認識としてあった。スタートからみんなでよく戦えていたと思う」 

ゴール裏に掲げられた「気持ちはひとつ、共に闘おう!」というメッセージにも背中を押され、オレンジの誇りを示した女獅子。敗れはしたものの、その思いはサポーターにも届いたはずだ。 


クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/
長野県フットボールマガジン Nマガ
https://www6.targma.jp/n-maga/

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