“指定席”からの脱却へ VC長野がラーナー新監督と描く青写真

バレーボール男子国内最高峰のSVリーグに参戦するVC長野トライデンツ。“指定席”と化してしまったリーグ下位からの脱却を目指し、今秋に開幕する2026-27シーズンに向けた新チームの骨格が固まりつつある。新監督にはドイツ出身のトーマス・ボブ・ラーナー氏が就任。米国やドイツの代表登録メンバーでもある外国籍選手など6人の新戦力を補強した。クラブ数が10から12へ増加する見通しの新シーズンをどう戦うか――。小川貴史ゼネラルマネージャー(GM)に強化の方向性を聞いた。
文:大枝 史
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ゼロベースのチーム強化目指し
新指揮官とGMの方向性が合致
2025-26シーズンは5勝39敗で10チーム中10位。18-19シーズンにVリーグ1部(V1)に参戦して以降、8シーズンのうち5シーズンで最下位に沈んでいる。残る3シーズンも10チーム中9位。プレーオフに進む上位6チームとは競技力の差が開いてしまっている。
そんな現状打破に向けた最初の一手が新指揮官の招聘だ。
シーズン途中から休養していた川村慎二監督が退任。ドイツ代表のアシスタントコーチを務めるトーマス・ボブ・ラーナー氏を新監督に迎えた。

ドイツ1部リーグの男子と女子のチームでアシスタントコーチを務め、2017年からはドイツ代表のチームマネージャーやアシスタントコーチを歴任。25-26シーズンまでドイツ男子1部の強豪、WWK Volleys Herrsching(ヘルシング)でヘッドコーチを務めた豊富な経験を誇る。
小川貴史GMによると、ラーナー新監督はチームをゼロベースで強化する指導に定評がある。
「VC長野トライデンツは10チーム中9〜10位が指定席だった。そこから脱却するためにはチームづくりから見直さないといけない」と考えていた小川GMが求める指導者像とラーナー新監督の実績が合致した形だ。

「今のドイツでNo.1の監督だろう」という情報を得た小川GMがラーナー氏と接触。VC長野の現状や目指すべき方向性を伝えたところ「俺がやる、と言ってくれた」。情熱家の一面もあり、就任に当たってクラブを通じて以下のコメントを寄せた。
トライデンツのヘッドコーチに就任することとなり、大変光栄に思っております。
この素晴らしいクラブがさらに発展していけるよう、私の持てるすべての力を尽くす所存です。
私と家族を温かく迎え入れてくださったクラブの皆様、そして『トライデンツ・ファミリー』が私に寄せてくれた信頼に心から感謝いたします。
(※クラブHPのコメントを一部抜粋)
26-27シーズンからはオンザコートルールが改正され、同時出場可能な外国籍選手が最大2人から3人に増加する。
これまでに発表された6人の新戦力の半数以上が外国籍選手。選手と指導陣が円滑なコミュニケーションを図る上でもラーナー新監督への期待は大きい。
それに伴って日本人選手のプレー機会が減少することも予想されるが、小川GMは「(チーム内で)高いレベルで勝っていかないとコートには立てない。チームのレベルを引き上げるきっかけにもなる」と強調。ラーナー新監督には「競争の中で選手をうまく導ける力があると思う」と話す。

SVリーグは、世界最高峰のリーグを目指して新シーズンから選手やクラブのプロ化、オンザコートルールの変更などに着手する。
VC長野も世界のバレーボールを取り入れ、新たな船出を迎える青写真を描いている。
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求める規律、確かな根拠
プレーオフ進出への道筋は
ラーナー新監督は4月に来日し、松本市で開催したホーム最終戦を視察。現在はドイツ代表のアシスタントコーチとしてネーションズリーグを戦っている。
タイトなスケジュールを縫ってオンラインでミーティングを重ねる小川GMは「チームづくりに関してはプロ中のプロ」と実感を込める。

象徴的な姿勢が、チームに求める規律だ。
時間厳守や携帯電話使用のルール、身体ケアや摂取する栄養素の提示などラーナー新監督がチームに求める要素は細部に及ぶ。「質問すると必ず答えがある」と小川GM。要求の一つ一つに選手がアスリートとして成長するための根拠があるといい、「信頼して任せられる」とうなずく。
「ボブを信じついていけばチーム初のプレーオフ進出も見える。それがスタンダードになれば“指定席”から外れる。みんなが『勝てるチーム』と見てくれる第一歩だと思う」

ラーナー新監督が求める規律の下にチームをつくり、それをチームが立ち返るべき土台にする。シーズンを通して安定した戦いをするためのベースづくりが進んでいくことになる。
新たな指揮官を迎え、外国籍選手も増えるチームは間違いなく変わる。その変革は、レギュラーシーズン上位によるプレーオフ進出を目指してチームが生まれ変わるためには必須で、小川GMは「今のチームに必要なのは結果。結果なしには前に進めない」と言葉に力を込める。
これまでの経験や教訓を生かし、VC長野は新たなレールを敷こうとしている。その上を、ラーナー新監督がつくるチームがどのように前進していくことができるか。具体像が見えてくるのは、もう少し先になりそうだ。
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

















