ホーム最終節は延べ8,106人 声援のありがたみを胸に“VC長野の集大成”へ

エア・ウォーターアリーナ松本が臙脂色に染まった。2026年4月11-12日のSVリーグ男子第21節。VC長野トライデンツは首位サントリーサンバーズ大阪に2日間とも0-3で敗れたが、延べ8,106人が首位相手とのホーム最終節に駆けつけた。そして次節はシーズン最終節。27連敗を経験するなど最下位に沈んだ苦しいシーズンながら、訪れた多くのファンへの感謝を胸に――。3位ジェイテクトSTINGS愛知に挑む最終戦を、集大成の舞台とする。
文:大枝 史/編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
満員の中で躍動した選手
掴んだ手応えを自信に変えて
「満員の中で試合ができたのは僕も幸せだし、選手もやりがいがあったと思う。普段からああいうふうに入ってもらえるチームになっていけるように、成長したチームになれれば」
2026年4月15日。南箕輪村村民体育館での練習取材で、古田博幸監督代行は力を込めた。

VC長野トライデンツはSVリーグ第20節までを終えた時点で5勝35敗と最下位が確定。シーズン途中に川村慎二監督が休養に入るなど苦しいシーズンとなったが、ホーム最終節となった第21節では多くのファンが詰めかけた。

首位のサントリーを相手に果敢に立ち向かったが、GAME1では序盤からサイドアウトが取れずに苦しめられる。一度リードを広げられると相手に自由な攻撃を許し、一方的な展開となった。
「非常に申し訳ない試合をしてしまった」と指揮官は悔やむ。
修正を加えて臨んだGAME2の第2セットでは「どうしてもクイックを通さないとサイドも決まらない」とセッター(S)赤星伸城が積極的にクイックを使ってサイドアウトを取り続ける。終盤まで競り合いは続いたが、23-25でセットを落とした。

結果は両日ともにストレート負け。力の差をまざまざと見せつけられた形となったが、若い選手たちには無上の刺激にもなった。
例えばGAME1の第3セットに登場したアウトサイドヒッター(OH)一条太嘉丸はアタックを5本打って4本成功。身長218cmを誇るドミトリー・ムセルスキーの高さに真っ向勝負を挑み、アタック成功率80%の数字を残した。

「ムセルスキー選手が僕のことを見ていなかったのはあると思うけれど、きちんと決め切る部分では自信になった」と一条。守備力を期待されての起用ながら、攻撃でも爪痕を残した。

攻撃で存在感を示したのは一条だけではない。例えばGAME2の第2セット、12-11の場面。OH佐藤隆哉が放ったショートサーブは相手リベロ(L)小川智大の前に落ちてサービスエースとなった。佐藤は「たまたま」と謙遜するが、決め切った1本であるのは事実だ。

アタック決定率はGAME1が38.1%、GAME2が29.2%。相手の高いブロックに終始苦しめられたが、ストレートのコースに決め切ったシーンもあれば、ハイセットを3枚ブロックに打ち込んでブロックアウトを取ったシーンもあった。
「相手に髙橋藍選手という同い年でいろんなプレーをこなせる選手がいるのですごく刺激になったし、『もっと頑張ってみよう』という気持ちになった」と佐藤。そうした一つ一つの成功体験をひも解いて自信に結びつければ、さらなる飛躍が待っているだろう。

KINGDOM パートナー
苦悩する工藤有史を支えた応援
響く声は励みにも活力にもなる
思えば苦しい旅路だった。
27連敗。
勝てそうで勝てない。フルセットで落とす試合が続く中で、チームの歯車は少しずつ狂っていった。開幕節を連勝という最高のスタートを切れたからこそ、その連敗は大きな影を落とした。
「正直逃げたくなってしまっていた」と明かすのは、OH工藤有史。チームの主力として出場を続ける中、自身の責任と不調に悩まされてきた。

「本当に試合をするのが嫌だったけれど、ホームでもアウェイでも応援してくれているのは本当に感じていた。本当に心が折れそうになった時に応援してくれたのが、最後までやり通す力になったのは間違いない」
「僕たちが勝つことによってファンの人も報われるんじゃないかと思う。それを感じさせられることができず、すごく申し訳ない気持ちでいっぱい」

ホーム最終節に限らず、どこの会場でも。ファンの声援が工藤を、そして選手たちを奮い立たせた。古田監督代行も、そのありがたみを口にする。
「バレーボールは生で見てもらうのが楽しいスポーツだと思う。会場に足を運んでもらって、直接声を掛けてもらった方が選手も励みになるし、活力になる。来年またホームゲームがあれば満員になるぐらいお客さんに入ってほしい」

ファンに支えられ、励まされてきたからこそ、「楽しんでバレーをやっている姿をファンの方々に見てもらいたい」とバレーを楽しむことを改めて強調してきた。
思うようにいかなかったシーズンだったかもしれない。ただ、だからこそバレーボールの楽しさに正面から向き合うこともできた。苦しみにまみれながらもつかんだかすかな手応えを、工藤は口にする。
「やるべきことをやらないと生まれない楽しさだと思う。大阪ブルテオンとかサントリーを見ていると、それぞれがタスクをしっかりこなしているから楽しそうに見える。自分たちもそれが少しずつ表現できるようになってきたと思う」

指揮官が強調する、バレーボールを「楽しむ」こと。それを為すために必要な遂行力が徹底され、浸透し始めた。ホーム最終節に訪れた満員の観衆に勝利を届けることはかなわなかったが、奮闘する姿や楽しもうとする姿勢は見せられたはずだ。
今度は受けた声援を背に、シーズン最終節へ。工藤は決然と語る。
「このメンバーで積み上げてきたものを少しでも多く出すことが来シーズンに繋がる。もちろん勝つのが一番だけれど、楽しんで、面白いバレーをして見に来てくれた人たちが満足して帰れるようなバレーができればいい」

相手はSVリーグ初年度の昨シーズン、開幕節GAME2で勝利を挙げたジェイテクトSTINGS愛知。舞台は同じアウェイの地・岡崎だ。かつて“開幕サプライズ”と言われた勝利があったならば、“閉幕サプライズ”があってもいい。
SVリーグ第22節 ジェイテクトSTINGS愛知戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div22-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div22-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461














