城下町に芽吹いた“3×3カルチャー”を次世代へ 「信州松本Top EVOLVE」始動

松本に生まれた3人制バスケットボールの灯火を、未来へつなぐ――。クリーニング事業を柱とする株式会社巴屋がスポーツ事業部を新規に立ち上げ、3×3チーム「SHINSHU MATSUMOTO Top EVOLVE」を設立した。子どもたちの模範となるプロアスリート像を体現させつつ、継続性あるチーム運営を見据える。2026年5月26日には松本市内のホテルでTIP-OFFパーティーが開かれ、オーナーの武田揚介代表取締役社長が「この松本で本当のプロのチームを作りたい」と決意を口にした。
文:大枝 令
KINGDOM パートナー
松本の灯火を消すまいと決意
短期間で形にした覚悟の船出
ホテルのフロアが、3×3の舞台に様変わりした。
「信州松本Top EVOLVE」のTIP-OFFパーティー。特設コートが用意され、創設メンバーの選手たちがデモンストレーションを披露する。シャンデリアの照明に照らされながら、本番さながらの白熱したプレーを展開。外部から招聘されたチアダンスチームも、華やかなパフォーマンスで彩りを添えた。

来賓の臥雲義尚・松本市長は「いずれ松本城公園で世界大会が開催され、そこでこのチームが世界一になる。そうしたエネルギーをぜひ松本市民、特に子どもたちの前で発揮をしていただきたい」とあいさつした。
松本では近年、別の運営主体のもとで3人制バスケットボールチームが活動していた。コートサイドの距離の近さや迫力などに魅了されたファンも少しずつ増え、城下町に3×3のカルチャーが芽生え始めていたが、その矢先に活動が止まった。

松本に残った熱量を消さないために、株式会社巴屋の武田揚介社長が自前でチームを保有することを決断。社内に新設したスポーツ事業部で人材を集めるなど準備に奔走し、急ピッチで体制を整えてこの日を迎えた。
オーナーでもある武田社長は冒頭の挨拶で、設立の経緯や思いなどを語った。

「(松本で)せっかく盛り上がりかけていた3×3のバスケットボールをどうにか復活させたい――という思いから今回、チームを立ち上げることになった」
「まだまだ(3×3は)セミプロが多い。その中でもやはり、この松本で本当のプロのチームを作りたい。松本にいる子どもたちが、このチームに入りたいからこそ松本にいてくれて、そしてプロを目指すために松本で成長してもらえるようなチームづくりをしていく」
KINGDOM パートナー
「TOP」と「EVOLVE」の哲学
プロ意識を磨く緑の精鋭たち
チーム名の“TOP”には頂点を目指す姿勢、“EVOLVE”には「進化」の意味を託した。後者は巴屋の経営理念にも刻まれてきた言葉でもある。エンブレムは、自然豊かな信州を表す緑がベースカラー。「飛んだ時の力強さがある」(武田社長)と県鳥のライチョウをあしらい、戦う姿勢の象徴として国宝・松本城を配置した。

「プロ意識」の徹底にもこだわる。試合会場へはスーツで赴くルールとし、夏季はセットアップで統一したい考え。あくまで身近な存在でありながらも、ルーズな姿を外部に示さない。そうした営みの先に、3×3というカルチャーそのもののステータスを引き上げたい考えが色濃くにじむ。

所属リーグは、新設されたロイヤル・バスケットボール・リーグ(RBL)。30チーム弱の応募から12チームに絞り込まれた狭き門だ。武田社長は「素人の作ったチームが、トップを極めたチームすら落とされる中で選んでもらった」と身を引き締める。
リーグは5月30〜31日に東京・歌舞伎町で行うRound1からスタートし、名古屋、京都、熊本でRound2~4を実施。順位に応じたポイント制による上位8チームが、7月29〜30日に福岡で行われるファイナルラウンドに進出する。さらにRound1+2の上位5チームが、「FIBA(国際バスケットボール連盟)3×3 Uenohara Challenger 2026」(8月8〜9日、山梨県上野原市)の出場権を得る。

選手は7人で、軸となるのはBリーグ・信州ブレイブウォリアーズでもプレーしたゼネラルマネジャー兼任の増子匠。「ウォリアーズの時は1年間しかいなかったけれど、長野県の人たちの温かさを感じていた。今回また松本に来る機会が増え、本当に長野県は温かい印象がある」と語り、新たなチャレンジに身を引き締めていた。

このほか松本市出身の小口陸も中心的な役割を担う。女鳥羽中から松商学園高でプレーし、3×3の国内最大リーグ・エグゼプレミアで活躍した実力者。チームディレクターを兼任し、選手獲得でも大きな役割を果たす。「生まれ育った地の方々を魅了するようなプレーを見せ、東京や世界で戦ってきた力を松本の地に還元できるように頑張りたい」と決意を口にした。

松本発、日本一経由、世界行き
子どもに挑戦を、地域に一体感を
チームの活動理念には「地域に一体感を、子どもたちに挑戦を、スポーツに進化を」を掲げた。
もともとBリーグ横浜エクセレンスのスポンサーでもある同社。武田社長を3×3に惹きつけたのは、5人制よりもさらに近い選手と観客の距離感だった。「これほど近い距離で迫力のある試合を楽しめるスポーツはほかにない。子どもたちが一緒に楽しめる」。会場に足を運ぶ子どもたちの目線で、3×3の可能性を語る。

RBL初年度は松本開催のゲームがないものの、子どもたちに向けたイベントを地元で企画。直近では7月18〜19日に松本城でクリニックと3×3大会を融合させたイベントを行う予定だ。将来的にはスクール事業や中学部活動地域移行を踏まえた活動も構想している。
パーティー終了後、報道陣の取材に応じた武田社長。始動した実感とともに、改めて決意を口にした。

「楽しく笑顔でプレーができるように、そして来ていただける方も笑顔になって楽しんでいただけるチーム作り。とにかく笑顔を絶やさずにいきたい」
「まずはしっかりと、チームとして強くなること。そしてこの地域で子どもたちと少しでも触れ合って、バスケットの面白さを伝えて、3×3がこの街で有名になり、(子どもたちが)目指せるような楽しいスポーツになっていければ」

合言葉は「松本発、日本一経由、世界行き」。松本城を背に、緑の精鋭たちは静かに走り出した。城下町に芽吹いた3×3のカルチャーはいま、次の世代に託されようとしている。
ロイヤル・バスケットボール・リーグ(RBL)公式サイト
https://www.3x3rbl.com/
SHINSHU MATSUMOTO Top EVOLVE(Instagram)
https://www.instagram.com/topevolve3x3/
















