最後に届けた「I LOVE YOU」 感謝の思いに包まれ信州に別れ

8年間に及ぶ長い旅路を終え、今季限りでの退任が決まった信州ブレイブウォリアーズの勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)。クラブから契約満了による退任が発表された直後の2026年5月24日に開催されたブースター感謝祭で、勝久HCは約1,400人のファンやブースターに向けて感謝の思いを伝えた。

文:芋川 史貴

ブースターから受け取った感動
「ありがとう。長野が大好き」

選手やスタッフ、ブースターが一緒になって多彩な企画に取り組んだ感謝祭。和気あいあいとした雰囲気が充満した会場は、勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)がマイクの前に立つと静寂に包まれた。

「チームが成功した時、皆さんが感動してくれた時、喜んでくれた時…。そんな皆さんの表情を見て、こっちが感動している。『皆さんのために頑張りたい』といつも思っていた」

涙をこらえ切れない選手やスタッフもいる中で、勝久HCは言葉を続ける。

「本当に、本当に8年間ありがとう。僕と家族は長野のことが一生大好き。I LOVE YOU。8年間ありがとう」

良い時も悪い時も乗り越え
「心が満タンの8年間」

感謝祭終了後、勝久HCは記者会見に臨んで思いの丈を語った。

「本当に心が満タンの8年間だった」

真剣勝負が続いたシーズン中とは異なり、どこかすっきりした表情。8年間を懐かしそうに振り返りながら、心の内側にしまってあった感情を表に出した。

「8年間を終える気持ちは、もちろん一言では表せない。つらい変化も多かったので全てが良いストーリーだったとは思っていないが、8年間を終えた気持ちは『やっぱり、ここに来て良かった』。やりがいがあったし、何にも代えられない経験をできたことがすごく宝」

指導者として8年間も同じクラブを率いた経験はなかった。就任当時、21歳でルーキーだった栗原ルイスは29歳となり、中心選手の一人としてチームをけん引する存在に成長した。

時の流れを感じさせる象徴的な選手であり、勝久HCは「ルーキーからベテランになるまでを見守ることができた」と、ほほ笑む。

就任1年目の2018-19シーズンでB2の頂点に立ち、2年目には悲願のB1昇格を決めた。B1への挑戦1年目に20勝を挙げ、B1昇格クラブが1年目にマークした最多勝利数を更新。魅力的なチームづくりが応援の輪を広げ、クラブのBプレミア参入に貢献した。

「マック(アンソニー・マクヘンリー)とウェイン(マーシャル)をはじめ、いろんな素晴らしい選手たちがいたからだけれど、一番残せたものは、クラブの成長に貢献したことかなと思う」

普段は控えめな勝久HCが、珍しく自分自身が果たした役割に光を当てた。

選手から気付かされた価値観
財産を手に新天地へ

目標達成のためには一切の妥協を許さない指揮官だった。

久山智士トップアシスタントコーチは、勝久HCの素顔についてこう語っていた。

「その日の練習をいかに成功させられるかをすごく考えているし、練習の順序や内容について『もっとこうすべきだった』と悔しがって自分を責める。『一日も無駄にしたくない』『これで選手を成長させられたのか』という姿勢を本気で感じる。(チームに求める)“日々成長”という言葉は、自分がそうしているからだと思う」

完璧主義者とも言える勝久HCも、信州での8年間で変化があった。

獲得を熱望したマイク・ダウムが今季加入。普段は温厚なダウムも、試合中は感情をあらわにすることがよくあった。自分の意見を勝久HCに伝え、勝久HCが応えるというシーンは何度も見た光景だ。

「負けず嫌いな自分も、彼ら一人一人の方が大事なんだと気付かされた。『バスケが好き、バスケを教えたい、ナンバーワンになりたい』という思いだけでなく、ウェルラウンデッド(バランスの取れた)コーチに成長させてくれたかなと思っている」

この地に多くの財産を残し、地域や選手から新たな気付きも得て、信州を去る勝久HC。感謝を伝え、感謝を受け取ったイベントは、涙と拍手で幕を閉じた。


Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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