強豪サントリーに“前のめり惜敗” 元アメリカ代表デイビッド・スミスが初出場

生まれ変わろうとしている片鱗を、安曇野のコートで示した。SVリーグ男子の信州松本トライデンツ。2026年11月7日の第3節GAME1で、サントリーサンバーズ大阪をフルセットまで追い詰めた。キャプテンで元アメリカ代表の41歳デイビッド・スミスが“SVデビュー”を果たした一戦。敗れはしたものの、ポジティブな空気が充満するチームに迫った。

文:大枝 令

最終第5セットでサーブミス7本も
「本望」と言える前のめりの敗戦

すがすがしいほど、前のめりに倒れた。

強豪サントリーとの一戦でフルセットに持ち込んだものの、最終第5セットでサーブミスが実に7本。10-14で迎えたラストプレーも、22歳の新鋭アウトサイドヒッター(OH)ザカリー・ラマの強烈なサーブがアウトとなった。

しかし、試合後の記者会見場。トーマス・ラーナー ヘッドコーチ(HC)がまず口にしたのは、変化しつつあるチームへの手応えだった。

「ここまでの自分たちの成長ぶりをすごく誇りに思っているし、今日の試合も楽しめた。トップチームに負けはしたけれど、すごく感銘を受けた試合だった」

その後の選手たちも、口々に充実感をにじませる。

「いいところまで行ってから少しミスが出たけど、総じてすごく誇りに思う」とドイツ代表オポジット(OP)フィリップ・ジョン。この日“SVデビュー”を飾った元アメリカ代表ミドルブロッカー(MB)デイビッド・スミスも「自分たちはここまでできるんだ、というのが分かったと思う」とうなずいた。

まるで勝ったチームのように、ポジティブな言葉に満ちる記者会見場。なぜ勝負どころでミスが連発したのか――という問いはおそらく、このチームにはあまり意味を持たないのかもしれない。

ラーナーHCが志向するのは、アグレッシブに攻め倒すスタイルだ。この日もサーブミスは30を数えた半面、サービスエースが10回。サーブ効果率も今季2番目の11.2%をマークした(チーム集計)。少なくとも現時点では、「本望」とも言える敗れぶりだった。

奪った2セットは圧倒的な爆発力
アリーナを“臙脂の絶対空間”に

そもそも、サントリーは圧倒的な格上。SVリーグ初代王者で、2シーズン目の昨季も準優勝となっている。今季はOH髙橋藍、MBドミトリー・ムセルスキーらが抜けて難しい滑り出しとなったものの、その火力は健在だ。

そんな相手に攻めの姿勢を貫けなければ、勝機を得ることすらかなわない。指揮官は「(イゴール・)クリュカ、(ワシム・)ベンタラ、関田(誠大)といった選手がいる相手に対し、リスクを取らなければ勝つことはできない」と強調する。

サービスエースはOH工藤有史がチーム最多4本で、MBマックレヴィン ディアリス平とジョンが2本ずつ。ラマとリリーフサーバーのセッター(S)星名勇佑も存在感を放った。

実際に第2セットは25-15、第4セットは25-16。取った2セットは圧巻の爆発力でイーブンに戻した。攻めて、崩して、寄せ付けない。アリーナを臙脂色の“絶対空間”に変えてみせた。

結果は惜敗で、Vリーグ時代の2022年以来2度目となるサントリー戦の金星はならず。しかしラーナーHCは、前のめりに倒れたチームを激賞した。

「リスクを取る準備ができている状態にあることを、とても誇りに思っている。そうすれば勝つこともあれば負けることもあるけれど、私たちはエキサイティングな試合をした。これが(過去との)違いだと思う。見てわかると思うが、成長はあらゆる面で起きている」

新たなマインドがチームに浸透していることを、強豪との接戦で証明した。加入2年目のS赤星伸城も「5セット目にサーブミスは多かったけど、チームとして攻めた結果」「本当にネガティブになっていないチームで、ミスもポジティブに捉えられる感覚がある」と声を弾ませた。

大黒柱スミスがSVリーグ初出場
キャプテンシー発揮して勝利へ

この試合では、さらなる好材料も得られた。大型補強の中でも目玉と言えるスミス。今季これまでの4試合はコンディション不良で出場回避していたが、この日初めて公式戦のコートに立った。

クイック9本中8本を決め、決定率は88.9%。手拍子が連打されるコールとともに繰り出すサーブは、相手の急所を高確率で突いた。衰え知らずのパフォーマンスを見せ、「他の選手がプレーするのを外から見ていて、デビュー戦をすごく楽しみにしていた。プレーに関してもすごく楽しめた」とうなずいた。

だが41歳の真価は、プレー以外の面にもある。五輪4大会に出場し、銅メダルを2度手にした百戦錬磨のプレーヤー。時に力強く吠え、時には仲間を励ます。コートにそびえ立つ大樹のような存在感は、若くアグレッシブなチームの頼りになる。

「ホームのファンの皆さんが大勢いる中で、声援が聞こえたりエネルギーを持ってきてくれたりしたのですごく楽しかったし、自分としてもちゃんと熱量をチームに出せるようにやってきた。また明日(のGAME2)ももっとエネルギーを持って、しっかりプレーできたら」

ホームでデビューを果たし、日本でキャリアの新たな一歩を踏みしめたスミス。大黒柱が合流したトライデンツは勢いを増し、GAME2で再びサントリーに挑む。


SVリーグ第3節 サントリーサンバーズ大阪戦 試合情報
https://sm-tridents.jp/match/2026-27-sv-div3-1
https://sm-tridents.jp/match/2026-27-sv-div3-2
クラブ公式サイト
https://sm-tridents.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/team/matsumototd/

たくさんの方に
「いいね」されている記事です!
クリックでいいねを送れます

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数