2月の寒気を吹き飛ばし 上田から千曲に“北上する桜前線”

勢いを増した桜前線が、ことぶきアリーナ千曲に北上する。Vリーグ女子のルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ。7連勝中の通算14勝4敗で3位につけており、次節がホーム最終戦となる。上田での今季ラストゲームから手応えを得て「初代王者」へ加速。前節を振り返りながら、クラブ一丸で臨む次節(2025年2月22-23日)を展望する。

文:原田 寛子/編集:大枝 令

サーブ、ブロック、エースの躍動
「3つのポイント」押さえて快勝

「2日間ストレートで勝ち切れて安心した」

開口一番にキャプテンの横田実穂(S)が口にしたのは、安堵の言葉だった。ただ、浮かべる表情はホッとした人間のそれではなく、確かな自信をたたえていた。

5連勝でこの試合に臨んだ信州Aries。勝利はつかむものの、いずれの試合も最低1セットは奪われていた。リスクは少しでも排除したいもので、横田は「セットを落とすことで歯車が狂いだすところがある」と明かす。

だからこそ、隙を見せないストレート勝ちには大きな意味があった。「この2試合はしっかりと勝ち切れたことを自信にして、ここからの終盤戦を戦い抜きたい」。紡ぐ言葉に力がこもる。

それを成し遂げた3要素がある。サーブとブロック、そしてエースの躍動だ。

まず今季強化中のサーブは、相手を崩すパターンを作れた。GAME1でスタメンのセッター(S)小山晴那やオポジット(OP)王美懿(ワン・メイイ)らが随所で効果的なサーブを見せていた。

次にブロック。2日間でミドルブロッカー(MB)山村涼香が2日間で8本のブロックをマークすると、オポジット(OP)王美懿(ワン・メイイ)も6本。アウトサイドヒッター(OH)黒鳥南は1枚でブロックするシーンも見られ、終始相手に流れを渡さなかった。

3つ目はエース・王美懿が両日ともスパイクを炸裂させたこと。189cmの高さを生かした鋭角のボールが、次次の相手コートへ突き刺さる。アタック決定率はGAME1で48.3%、GAME2では57.1%をたたき出した。

「(前節の)倉敷アブレイズ戦ではアタック決定率が上がらなかったので、高めようと心がけて試合に臨んだ」

「期待に応えたい気持ちもあった。(横田)実穂が良いトスを上げてくれたので打ちやすかった」

リーグ屈指の高さを誇る王美懿は、そう振り返った。

蓄えたパワーをコートで発揮
リザーブの面々がもたらす活力

原秀治監督が評価した3要素だけでなく、くみ取りたい収穫はまだある。リザーブメンバーの活躍も大きな意味を帯びていた。

まずはGAME1。ワンポイントサーバーとしてリベロ(L)佐藤未羽とOH高野夏輝が起用され、役割を果たした。

第1セット終盤の佐藤はコート深くを狙う強いサーブで相手を翻弄し、22-14から3連続ブレイク。第2セット終盤で交代した高野は、スペースにポトリと落とすノータッチエースを決めた。

第3セット中盤から出場したMB西村美海は、GAME2ではスタメン出場した。このほかGAME2はOH村田果捺、OP関沢小雪もそれぞれ第2セット以降に起用。それぞれがブロックやクイックなどで得点を重ね、存在感を示していた。

「しっかり自分たちの仕事をしてくれた。リザーブ選手の活躍は『コートで活躍したい』という気持ちが乗っているので、チームにいい波を持ってくる。そういった部分でもリザーブ選手の活躍は重要」と原監督は口にする。

ホーム最終戦の次節を終えると、3月は4連続アウェイ。タフな日程を勝ち続けるには総力戦が求められ、その意味でも層の厚みを実感できたのは大きい。

「自分たちのバレーをしっかりやれば、誰が出てもこれだけのことができる――ということは、選手たちも感じたはず。そこからさらに精度を高めることが今後の戦い方で必要になる」

指揮官はそう続け、充実感をにじませた。

桜色を身に纏った選手達は
上田から千曲へ北上する

膝元となる上田大会での今季ラストゲームをストレート勝ちで締めた信州Aries。2月22-23日はことぶきアリーナ千曲に舞台を移し、ホーム最終戦に臨む。

迎えるのは、初顔合わせとなる5位のカノアラウレアーズ福岡。横田は「カノアさんは高さのあるチームなので、セッターとして少しでもアタッカーが打ちやすい状況を作れるようにしたい」と力を込める。

この一戦はシーズンラストまで続くアウェイの旅路へ弾みをつけるだけでなく、北信地方にも魅力を伝える絶好のチャンスでもある。

最終日の23日は選手全員によるアフターイベントでのサイン会や上田染谷丘高のダンスパフォーマンスなどを企画。両日ともMCは三井順さんが務め、観戦初心者を置き去りにせず盛り上げる。

シャトルバスはしなの鉄道の屋代駅から運行するほか、NPO法人アリスチャイルドメイトの専門スタッフによる「臨時託児所」を開設。従来から親子対象のキッズリフレッシュルームを設けており、機能を拡充する。

「ことアリ」は3,400人収容。チームだけでなく、運営も一丸となってホーム最終戦に備えている。

「会場がピンクに染まるのを見ると、私たちも力をもらえるしうれしい。ぜひ応援に来てほしい」と西村。上田のコートで咲いた笑顔の桜前線は、千曲へと北上する。


Vリーグ女子 カノアラウレアーズ福岡戦(2月23-24日)ホームゲーム情報
https://www.briaristcamp.com/information?no=Wuv9Cn6VsCFyc6CB3fsas
チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484


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