高機動型の“長野県産ダイヤモンド” オレンジの輝きでUスタに歓喜呼ぶ

“長野県産カルテット”が躍動した。AC長野パルセイロは2025年3月1日、ホーム開幕戦でザスパ群馬に3-2と勝利。J2から降格してきた難敵を前に、攻守ともにアグレッシブなサッカーで打ち勝った。その引き金となったのが、いずれの長野県出身の三田尚希、山中麗央、小西陽向、藤森亮志のMF4人。ダイヤモンド型の中盤を形成し、196日ぶりのホーム白星を引き寄せた。

文:田中 紘夢

ハイプレスを先導するカルテット
群馬のビルドアップに襲いかかる

「こんなに長野県出身の選手がスタメンで出られることは、今までもなかなかなかった。その中でホームで勝てたのはすごく良かった」

先制点を決めた藤森が言うように、4人がスタメンに出そろったのは直近3シーズンで1回のみ。昨年9月21日にアウェイで行われたガイナーレ鳥取戦以来で、ホームでは初の共演となった。

前節から先発を4人入れ替えて臨んだ一戦。4人が配置されたのは、ダイヤモンド型の中盤だ。アンカーに山中が入り、その前で藤森、小西、三田が横並びに近い形を取る。

©︎2008 PARCEIRO

機動力の高い“長野県産カルテット”をそろえた狙いは明白。GKからビルドアップを徹底してくる群馬に対し、前線からボールを奪うことだった。

立ち上がりから果敢にハイプレスを仕掛け、相手を圧倒。カウンターから何度もチャンスを演出した。「今日の相手に対してはすごくハマっていた。早い時間帯で点が取れればベストだった」と山中。開始5分で先制しても不思議ではなかった。

その後も勢いを緩めずに奪いかかると、26分に奏功。群馬のゴールキックからのビルドアップに対し、藤森を先頭にカルテットが連動する。相手のパスミスを誘って山中が中央でボールを奪い、ペナルティエリア手前からミドルシュートを放った。

これはGKに阻まれたが、まだ終わらない。シュートを放った山中がこぼれ球に反応し、ボールを奪って2次攻撃へ。DF行德瑛を経由してフリーでパスを受けると、縦に走り込んだ三田にスルーパス。三田のクロスを藤森が頭で仕留めた。

©︎2008 PARCEIRO

狙い通りの守備から先制すると、その後も勢いを緩めない。37分にもカルテットを中心とした執拗なチェイスから、三田がインターセプト。折り返しを中央のFW伊藤恵亮がスルーし、ファーで藤森がフリーとなったが、シュートは相手のブロックに阻まれた。

「前の人たちがあれだけアグレッシブに行ってくれると、俺らは一緒についていってボールハントしたくなる」

そう話すのは、3バックの左に位置する砂森和也だ。前線のプレッシングに引っ張られるように、後方も連動。チームとして一歩も引かない姿勢を示し、後半にも2点を加える。

開幕2試合は無失点だった群馬から3点を奪い、3-2と競り勝った。

今季初先発の藤森と小西が躍動
ホームで196日ぶり白星の歓喜

先制点を決めた藤森は、約2年半ぶりのゴール。「喜び方がちょっとわからなかった」と笑みをこぼす。

スタンドに向けて披露したのは、ゆりかごパフォーマンス。2月21日に第1子が生まれたゲームキャプテン・大野佑哉と約束していたという。

今季初先発で鮮烈なインパクトを残したが、結果だけでなく、内容に目を向けても貢献度は高かった。守備ではハイプレスを先導し、攻撃では常に最終ラインの背後を狙う。

チームとしてショートパスで相手の目線を動かしつつ、「ここぞ」というタイミングで藤森の走る先にロングフィード。それによって相手のラインを押し下げることができた。

「プレッシャーに行くところと、背後への抜け出しを期待されての起用だったと思う。そういう形もありつつ、チームの戦術もありつつ、うまくハマったのかなと思う」

©︎2008 PARCEIRO

藤森だけでなく、小西にとっても初先発。75分には左サイドからのスローインを受けると、ワントラップしてボールを落とさずに2タッチ目でパス。リフティングのような形でMF樋口叶とスイッチし、樋口の折り返しをFW浮田健誠が決めた。

チーム最古参の6年目となる小西と、新加入の樋口。2人は同じ2001年生まれで、チーム始動当初から意気投合している様子だった。それがピッチ上にも反映され、鮮やかな連係からゴールが生まれた。

三田と山中も含め、カルテットは与えられたタスクを遂行した。開始からフルスロットルで入り、山中からすれば「持たないかな…」と不安もあったようだが、「みんな最後まで頑張れた」。

「『俺らは一年間こうやっていくんだ』というものをホームのサポーターの方々に見せたかった」と藤本主税監督。先陣を切って体現したのが4人であり、実直で泥くさいプレーは長野を象徴していた。

©︎2008 PARCEIRO

ホームでは昨年8月17日のテゲバジャーロ宮崎戦以来、実に196日ぶりの勝利。ホーム開幕戦での白星も3年ぶりとなり、長野Uスタジアムに歓喜が渦巻いた。

「ホーム開幕戦でやっと勝てて、すごく期待も高まっていると思う。だからこそ次が大事だと思うので、また1週間良い準備をしたい」

山中が話すように、重要なのは次の試合。3月8日、再びホームに栃木シティを迎える。JFLからの昇格組だが、トレーニングマッチでは45分を3本戦って3-8と大敗した相手。そのリベンジも懸けて、再び長野らしくアグレッシブを貫きたい。


J3リーグ第3節 長野-群馬 試合詳細
https://parceiro.co.jp/topteam/matches/detail/455
クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/
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