勝利に至る第一歩 求められるスタメン5人の“トーンセット”とは

シーズンが終盤戦に突入している中、一進一退が続く。前節の福井ブローウィンズ戦2試合を含め、直近の試合は第1クォーター(Q)の入りに苦しんで難しい展開を余儀なくされている。スターティング5がどのようにゲームを作るのか――。2025年3月10-11日の熊本ヴォルターズ戦を前に、求められている「トーンセット」について掘り下げる。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

40分間を戦う第一歩として
スターティング5の重要性は

課題は尽きない。

ベルテックス静岡、福井ブローウィンズ。直近2節の信州は、プレーオフで争う可能性が高い相手との対戦だった。

結果は2勝2敗のイーブンで、ともにGAME1を制しながらもGAME2で黒星。今ひとつ波に乗れない。

ひも解くと、4試合のうち3試合は第1Qからビハインドを背負っている。福井戦GAME2は第1Qで15点差。静岡とのGAME2でも同じ傾向が見られ、19-31と出はなをくじかれた。

もちろん点差にもよるが、最初の10分間で出遅れると、巻き戻すのに力を費やさざるを得ない。結果的に、難しい展開に陥りやすい。

ここで重責を担うのが、先発の5人だ。

ゲームのトーンセットをする役割がある。

オフェンスでの遂行力はもちろん、なにより大事なのはディフェンスの強度を表現すること。その入り方のレベルによって、主導権をどちらが握るかが決まっていく。

直近だと、スターティング5の面々はほぼ固定されている。石川海斗、栗原ルイス、テレンス・ウッドベリー、三ツ井利也、ウェイン・マーシャルだ。

栗原の欠場で1試合だけメンバーが代わったものの、1月26日の熊本ヴォルターズ戦から11試合をこのメンバーでスタート。

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)が説明する。

「同じ状況が続いていたので、勝っていてもスタメンを替える必要がある可能性も頭に入れていた。本調子ではない選手を信頼していることも、もちろんある」

「ただ、最近は替えていなくても課題だとは思っていたので、改めて考えないといけない」

スタメンに選ばれ続ける三ツ井
「もっと危機感が必要」と主張

根底にあるのは、選手に対する信頼。例えば2月22日の静岡戦GAME1も、第2Qまでにミスが頻発した司令塔・石川を後半も再び最初からコートに送り込んだ。

3月2日の福井戦GAME2。第1Qで12-27とビハインドを背負って79-89で黒星を喫した一戦で、三ツ井は反省の弁を口にした。

「今日の試合に関しては間違いなく言い訳なしで、僕を含めてスタートで出たメンバーが最悪なクオリティーだった。なんとか流れを引き戻してくれたベンチメンバーには申し訳ない」

「戦術どうこうではなくて、負けた次の日にかなり気合を入れて挑むのは僕らだけじゃなくてどのチームもそう。それについてはマイケルさんもずっと言い続けているし、そういう準備はしている」

「だけどこれに関しては一人一人の準備の仕方。僕自身ももっと危機感を持って準備したい」

結果的にペリン・ビュフォードや生原秀将らの奮闘で追い上げはしているものの、トーンをセットできないと苦戦するのは必然の成り行きだ。

そこを安定させることは、プレーオフも含めた終盤戦を戦っていく上で大きなファクターとなる。ましてやプレーオフは2戦勝ち上がりのトーナメント形式。入りの失敗が取り返しのつかないことになる可能性もある。

三ツ井は、そうしたシチュエーションも想定しながら警鐘を鳴らす。

「プレーオフでは『負けたら終わり』の気持ちでどこのチームもくると思う。立ち向かい方や心構えをしっかりやらないと、このままズルズル終わってしまう気がする」

「僕ももちろん変えなきゃいけないし、チーム全体としても心構えや試合の入り方を再確認しないといけないと思う」

残り試合は「仮想プレーオフ」か
一つずつ課題つぶしてB2優勝を

第24節を終えて残すは15試合。プレーオフ出場圏内をキープしているチームとの対戦も多く、厳しい戦いが予想される。

そんな中、「スタメンのトーンセット」に加えて「勝負どころの強さ」や「球際の強さ」、「エナジー/遂行力」といった課題が山積している。

それでも前向きな状況と言えば、やっとフルメンバーがそろったことだろうか。浮き彫りになっている課題に対し、チーム全体で取り組むことができる。

渡邊飛勇は日本代表の活動から戻ってきたし、ペリン・ビュフォードや生原らはケガから復帰してパフォーマンスを上げている。トーンセットも含め、さまざまな選択肢を取ることができる。

その中で迎える次なる戦いは、3月10-11日のホーム・熊本ヴォルターズ戦。相手は前節を連勝で飾り、ワイルドカード下位に食い込んできた勢いのあるチームだ。

そのチームに対し、抱える課題をどこまで克服できるのか。プレーオフ優勝とB1昇格を目指し、一つずつ成長を示す場としたい。


ホームゲーム情報(3月10-11日、熊本ヴォルターズ戦)
https://www.b-warriors.net/lp/game_20250310_20250311/
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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