原点回帰で“守り倒した”快勝 ラストスパートへの一里塚に

「これぞ信州」と、膝を打ちたくなるようなゲームだった。2025年3月11日、熊本ヴォルターズとのGAME2。ディフェンスが冴えて相手を66点に抑え、前日の雪辱を果たした。前節までのスタメンから大きく入れ替えるなど、試行錯誤をして臨んだ2試合。そのトライがチームに変化をもたらし、結果も変えた。この成功体験は、リーグ終盤戦からプレーオフに向けたターニングポイントになるだろうか――。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

60点台に抑えるディフェンス
強みをいかんなく発揮した40分間

前日のGAME1から、コート内の表情は一変していた。

栗原ルイスがエントリー外となり、生原秀将が今季初のスタメン。ディフェンスの要としてチームのトーンをセットした。

「求められていたのは入りの部分でのディフェンスの強度。あとはチームのディフェンスとして、どういう守り方をしないといけないのかをベンチの選手に示すこと」

「いつもそうだけど、エナジーを持って、徹底的に相手のやる気やエナジーを削ぎ落とすことを意識した」

打ち合いとなって28-25で終えたGAME1の第1クォーター(Q)とは対照的に、ガマン比べの重い展開。第1Qは12-15とビハインドだったが、失点の少なさは特筆すべきものがあった。

遂行力を示したのは生原だけではない。1対1の基本的な強度はもちろん、ローテーションやディナイの意識が高まっていた。

そして第2Qで一気に突き放す。

エリエット・ドンリーや石川海斗、ウェイン・マーシャルらがスティール。そこからの速い攻めが冴える。チームに勢いを与えるトランジションの3ポイントシュート、ペリン・ビュフォードから渡邉飛勇へのアリウープなども炸裂した。

この10分間は28-12のビッグクォーターを作ることに成功。その後もディフェンスの圧力を継続させて大崩れせず、79-66と前日の悔しさを晴らした。

「スティールに繋がったのは、ガード陣やウィング陣がしっかりとディナイできていて、一瞬相手が止まったから。チームでやるべきことを遂行しているから生まれた良いプレーだった」

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)は目を細めた。

スタメン大幅変更で可能性を模索
顕著になったチームとしての責任

前日のGAME1で、指揮官は一つの決断を下していた。
スタメンの大幅変更だ。

石川、栗原、テレンス・ウッドベリー、三ツ井利也、マーシャルという従来のラインナップから、ビュフォード、栗原、アキ・チェンバース、渡邉、マーシャルを選択。特にディフェンスのトーンセットが狙いだ。

勝久HCが説明する。

「数週間考えていたけれど、どうしてもスタートが悪かった。ディフェンスが悪かった。プレッシャーのある相手に力強くプレーできず、良いスタートが切れないことが続いていた」

「ディフェンス面、リバウンド面という課題をなんとかしたかったのと、残り少ない試合でプレーオフに向けたプレータイムへと近付けていきたい思いがあった」

それ以外にも細かな理由はある。

例えばビュフォードの起用法は「だいぶ前にベンチスタートになってから、それでリズムを見つけているという話をしていた。本人にとってもその方が良いということだった」と明かす。

しかし実際、ビハインドを背負ってからビュフォードが入って持ち直すことも多々。ビュフォードが勝負どころで全開になることもカギで、「プレーオフに向けて少しずつプレータイムを増やしたい」と指揮官は見通す。

こうした諸々の狙いを込めたGAME1。

第1クォーター(Q)こそ28-25とリードで終えたものの、最終的なスコアは81-87となった。各クォーターのラストショットを熊本に沈められたり17本のオフェンスリバウンドを許したりと、試合の運び方や球際の競争で後手を踏んだ。

求められる“フォアザチーム”の精神
全てはプレーオフを制するために

その中でも、すくい上げるべき要素は多かった。今季初のベンチスタートとなった石川は、ベンチからチーム状況を俯瞰的に見て気付きを得た。

「もっともっとコーチが提示しているディフェンスの仕方や毎回言われているエナジーを、スタメンはより一層強く持たなきゃいけない。もっとチームとしてバスケットをすることをやっていかなければいけない」

「勝つためには、全員がスッキリしてバスケットをやることはどのチームも不可能に近い。でもプレーオフを勝ち抜くチームになるためには、チームとして一つの方向に向かなければいけない」

その中でも折り合いをつけて、同じ方向を向けば結果はおのずとついてくる。 ディフェンスからゲームを作って勝利に至ったGAME2は、それを証明した40分間だったと言えるのではないだろうか。

この変化に伴い、選手層の厚さやラインナップの柔軟性も見られた。生原が説明する。

「ベンチメンバーを見てもBリーグの中でもかなりトップの選手層だと思う。試合に出ているメンバーはしっかりと責任と自覚を持って、プレータイム関係なく、結果が大事な時期なので、みんなでフォーカスしてやっていきたい」

シチュエーションに応じ、プレータイムや求められる役割は変わることもある。それでもチームとしてのミッションを達成するためには、時には自分を犠牲にして目の前のタスクを遂行することも必要――。それが「チーム」であり「貢献」でもある。

だがGAME1よりもGAME2では選手同士の会話も多く見られ、コミュニケーションを取って改善や成長をしていこうという姿勢も垣間見えた。そして何より、ホームでの連敗も阻止することができた。

残すは13試合。シーズンが終わった後に、熊本戦の2試合がターニングポイントとなった――と、最高の笑顔とともに振り返れるかどうか。それはここから先の取り組みに、全てが懸かっている。


クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数