ファンとふれ合うひとときにも「今、この瞬間にすべてを」懸けて

応援を背につかんだ、Vリーグ初代王者のタイトル。その喜びを分かち合う、今シーズン最後の機会だった。ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズは2025年5月17日、上田城跡公園第一体育館でファン感謝祭を開いた。笑顔と涙が交錯する一日。選手とファンの絆が、またひとつ強まった。

文:原田 寛子/編集:大枝 令

笑顔あふれる感謝祭のひととき
サイン会とともにファンと交流

「将来は信州ブリリアントアリーズに入りたいです!」

そう話すのは、一家でチームを応援している小学生の女の子。上田ジュニアでプレーしており、信州Ariesのエスコートキッズに参加したことをきっかけに家族でファンになったという。

「プレーオフファイナルは現地に行き、感動の試合を見てきた。行かなければ後悔していたと思う」と父親も熱を込める。

「優勝はうれしかったし、今日を楽しみにしていた」と母親も笑顔。ファンクラブ限定の選手サイン会の列へと家族で向かっていった。

選手たちは全員チャンピオンTシャツに身を包み、笑顔でサイン対応。ファンとのふれあいを楽しんでいた。

ファンに届ける笑いと真剣勝負
選手から今季ラストのプレゼント

「神奈川県から来ている。信州AriesがVリーグに参入して以来のファン」

そう話す夫妻。もともとバレー観戦が好きで、偶然見た信州Ariesの試合でファンになったという。

入替戦で苦杯を喫した試合も見てきたといい、今シーズンの優勝は「本当にうれしかった」と目を細める。今シーズンは全試合皆勤で観戦してきたという。

「これまでもほとんどの試合を現地で見ている。アリーズの魅力は、選手たちの明るさや真剣にバレーに取り組む姿。原(秀治)監督と成田(郁久美)コーチのもとで、一段と明るい雰囲気になった」

その言葉どおり、感謝祭でも信州Ariesの選手たちは明るい笑顔を咲かせていた。14時からは一般客も入場。2025年の新人選手で千曲市出身のオポジット上島彩季の選手宣誓で幕を開けた。

選手たちが考えたというイベントは、5人1組で1つの絵を完成させ「何を表しているか」を来場客が当てるミニゲームからスタート。

長野県を舞台にした映画が公開中の「名探偵コナン」を取り入れたお題や、シーズン中に原秀治監督が受けてしまったイエローカードなどがお題に登場。短時間でわかりやすく絵を描く選手に、拍手が送られた。

選手たちからのプレゼント抽選会の後には、シーズンのラストプレーとなる紅白戦が行われた。

原監督チームと成田新監督チームに分かれた2セットマッチ。ポジションはくじ引きによるランダムで、アウトサイドヒッターの舛田紗淑がリベロ、リベロの貝塚穂がミドルブロッカーを務めるなど、通常では見られないチーム編成となった。

2セット目には選手交代で原監督がボールを受けるなど、まさにドリームマッチ。選手たちの表情は柔らかい笑顔にあふれていた。

牡牛座は再び頂点で輝きを放つ
涙と拍手に包まれたフィナーレ

「地元にあるチームを応援したいと思った」

ファン歴3年で、坂城町から応援に駆けつけている男性。もともとスポーツ観戦が好きで、自身も短期間だがバレーボールの経験があるという。

「地元にプロバレーボールチームがある」と知り、ホームゲームに足を運んでファンになった。「屋内スポーツだと、観戦が天候に左右されないところもいい」

ファン感謝祭が行われた日はあいにくの雨模様。それでも天候に関係なくイベントでも選手たちの試合を見ることができる。これはファンにとってうれしいポイントだという。

イベントでしか見ることができない貴重なゲームをファンと一緒に楽しんだ選手たち。そしてこのゲームが、引退・退団する選手たちが最後に信州Ariesのユニフォームでプレーする姿となった。

熱気の中、ファンの表情には笑顔と寂しさが入り混じっていた。

ファン感謝祭はフィナーレを迎える。ゲーム後は、今季で退任する原監督、引退の3選手と退団2選手がそれぞれの思いを伝える場となった。

オポジット関沢小雪はマイクに向かうと、涙をぬぐって言葉を詰まらせた。

「がんばって!」

ファンからの声と拍手でさらに涙があふれる。

「自分のためだけでなく、支えてくださる方のためにプレーしたいと思えるようになった。チームからは離れるけれどバレーは続けるので、また応援してもらえたらうれしい。2年間ありがとうございました」

会場には割れんばかりの拍手が響いた。

イベントの最後には選手たちが笑顔でファンを見送りながら、今シーズン最後の感謝を届けた。

見送りで涙を見せていたアウトサイドヒッター村田果捺は感謝祭を振り返るとともに、来シーズンへの決意を新たにしていた。

「ファンの方と触れ合えたのも紅白戦も楽しかった。お見送りでは仲良くしていた黒鳥(南)さんのお母さまがいらして、感極まった。来シーズンは黒鳥さんの分まで頑張りたい」

笑顔も涙もあふれたファン感謝祭は、信州Ariesらしい温かさで締めくくられた。選手たちはしばしの休息を経て、新たなスタートを切る。


チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484


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