優勝報告会で思い新た 信州Ariesと最古参・横田実穂が描く“ネクストステージ”

フォーマルな場で祝福を受け、改めて力がみなぎった。Vリーグ女子で連覇を達成した信州ブリリアントアリーズ。2025-26シーズンの優勝報告会が2026年5月12日に上田市内のホテルで開かれ、選手とスタッフがスポンサー、行政、バレーボール協会関係者らに今季の成績を報告。プレーオフMVPに輝いたセッター横田実穂は「改めて喜びを感じるとともに、感謝の気持ちでいっぱい。まだまだ高みを目指して頑張らなければいけない」と決意を新たにした。
文:大枝 令
KINGDOM パートナー
「桜色」の記憶を揺り起こす
粘り強さでつかんだ会心の連覇
歓喜の瞬間から44日。
鮮やかな桜色の記憶は、新緑とともに日常へ溶けた――かもしれない。
それが再び呼び戻されるような、優勝報告会。2025-26シーズン全試合の写真や映像を交えながら、白星をありったけかき集めた日々を回顧した。

報告会の後半には授賞式があり、シーズン優勝ヘッドコーチ賞の成田郁久美監督、キャプテンのリベロ(L)高野夏輝、プレーオフMVPのセッター(S)横田実穂、トップブロッカー&トップスパイカーのミドルブロッカー(MB)山村涼香が壇上へ。横田と山村はレギュラーシーズンベスト6にも輝いた。このほか最優秀育成クラブ賞も受賞した。

「自分自身も今シーズンはトスだけではなく、レシーブやサーブで貢献できるように練習してきた。そういった部分が少しでも出たのは良かった」
会を終えた横田が取材に応じ、圧巻のプレーオフを振り返った。セミファイナルのフォレストリーヴス熊本戦、ファイナルのJAぎふリオレーナ戦。横田はセッターとしての本分であるトス回しだけでなく、前に落とされるボールを何度も拾った。

とりわけセミファイナルの熊本戦は、レギュラーシーズン唯一の黒星を喫した相手のお株を奪う粘り強さを発揮。「相手も粘るチームだったけれど、それよりも粘り強く、最後の1点を取り切るまで諦めない気持ちをうまく表現できた」と振り返る、会心の勝利だった。
KINGDOM パートナー
7年目で芽生えた新たな思い
カテゴリー再編が促す「変革」
岡谷市出身。筑波大卒業後の2020年に入団した最古参だ。
V1・V2入替戦で喫した2度の敗退、そしてVリーグでの連覇。故郷・長野県のチームで、苦楽を味わいながら現在に至る。5月15日の誕生日を迎えれば29歳。やり残したことがあるから、桜色のユニフォームに身を包む。

根底に横たわるのは、少しでも高いステージでプレーをしたい――という思いだ。
「入団当初から『トップリーグでプレーしたい』という思いがすごく強かった。より高いレベルで戦っている姿を、自分を応援してくださる人や、このチームを応援してくださる人にお見せしたいという気持ちが、まず素直にある」
それは6年前の入団時から変わらぬ上昇志向。ただ、戦う理由はまだある。信州Ariesでプレーし続けることで新たに芽生えてきたのが、「見られる」アスリートとしてのあり方だという。

「いろんな方に触れ合う中で、自分たちが『憧れの存在』として見られていることをすごく感じてきた。目指したくなるような姿や振る舞いを、一人の人間としてしっかりとしていきたい」
ましてや地元・長野県出身。同じ岡谷東部中出身で引退するキャプテン高野夏輝を除けば、県内ゆかりの選手は上島彩季(千曲市出身)と2人だけになる。「この長野県で培ってきたものをしっかりと還元して、恩返ししていきたい」という思いは、常に原動力となってきた。

リーグ再編に伴い、来季は「SVグロース」というカテゴリーへの参戦となる。国内最高峰SVリーグの下部リーグとして位置付けられ、各種ライセンス要項が大きく引き上げられたり新設されたりする。
直近26-27シーズンから適用される条件の一部だけでも、「プロ契約選手数6人以上」「ホームアリーナ席数2,000席以上」「入場者数750人以上」「売上高1億円以上」――など多岐にわたる。大きな変革が求められることは必至だ。
矢印は常に自分自身へ向けて
「誰かのために」戦い続ける
その条件に「成績」は存在しない。選手・スタッフら現場のコントロールが及ばない領域。だからこそ、なのかもしれない。まずコート内で価値を証明しながら、地域へ積極的に出ていって応援と支援の輪を広げることがすべて。その先に、国内最高峰リーグにふさわしいハードとソフトがそろう。

横田もその構造を理解した上で、自らに矢印を向ける。
「SVリーグを目指すチームとしてはまだまだ、技術的な部分も含めて足りていないところが多いのは自覚している。まずは『SVリーグレベル』にチームを持っていくために、そこを基準にして技術やメンタルなどを考えていくことが課題」
「私自身も本当に『上のレベルで通用する選手になる』という目標を置いて練習していかないといけない。今シーズンでさえ『全勝優勝』を目指していても届いていない。まだ納得できる状況じゃない」

横田が口にするパッション。それをチーム内外に、そして上田の地や信州全土に根付かせるのが次のフェーズとなるだろう。だからこそルートインジャパン株式会社取締役でもある関由美江代表は、報告会のあいさつで力を込めた。
「これから信州ブリリアントアリーズは新しいステージに立つ。ただ勝つだけのチームではなく、さまざまな社会課題の解決を通じて、社会の架け橋となる存在にならなければいけない。皆さまに価値をお返しできるように、その実現に向けて努めていきたい」
突き詰めれば2017年、上田の地に「バレーボール愛」の結晶として立ち現れた信州Aries。その存在は地域社会との接続をより密にしながら、次のステップに踏み出していく。
選手としてこのチームを深く知る横田の言葉が、それを象徴している。

「今日の(優勝報告会の)ような機会で、皆さまに支えてもらって応援してもらって結果を出せたのだということをより強く実感した。自分たちだけの力でここまで来られているわけじゃないことを改めて実感させてもらって、これからの励みにしていきたい」
「このチームは『自分たちのため』だけではなく、誰かのため、応援してくださる方のために頑張ろう――という気持ちをしっかり持っている。そういう方たちのためにも、今後より高いステージで自分たちがバレーボールをしている姿をお見せしたいし、その目標があるからこそ続けている」

チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484




















