上田での今季ラストゲームも“おもてなし”の心で サクラサク日の再会を

地元から愛されるチームになるために――。2024-25シーズンのルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズは、ホームゲームにさまざまな改善を加えてきた。観戦体験の向上が狙いだ。そんなホームアリーナ・上田自然運動公園総合体育館での試合も、今季は次節がラスト。難敵相手にお膝元で白星を挙げ、“初代王者”への歩みを加速させたい。

文:大枝 令

ホームゲームの満足度向上を狙い
アリーナ内外にさまざまな改善

「ホームゲームだからこそ自分たちももっと楽しんで、その空気感をお客さんにも楽しんでもらえるように頑張りたい」

前回ホームゲームのJA岐阜リオレーナ戦を終えた後、副キャプテンのリベロ貝塚穂(みのり)は力を込めた。その言葉が象徴するように、今季はコート内外で満足度向上に努めてきた。

まずはハード面から解きほぐしていく。

ホームゲーム7節のうち6節を行うメイン会場・上田自然運動公園総合体育館。Vリーグ仕様に設営するため、上田市の協力を取り付けた。

本来は木曜日が休館となっていたが、木〜日曜日の4日間を借り上げる。木曜日から会場の設営などを始め、試合前日の金曜日に公式練習。そして土〜日曜日の2日間でリーグ戦を開催する。

会場も今季から土足OKとした。下足から体育館シューズなどに履き替えるのは、アリーナスポーツにおいては意外と大きな障壁。観戦者側からすると、荷物を一つ余計に持ち込む必要があるからだ。

土足用のシートを大量に各所から借り、限られたスタッフで敷設。広い面積をカバーする。そして日曜日のGAME2が終われば、また巻き取って撤収。かかる手間は少なくないが、観客の快適性向上に寄与する取り組みだ。

アリーナ内にはこのほか、1階席に「ひな壇シート」を新設。従来はフラットなフロアの上にイスを置くレイアウトとしていたが、段差がつくことによって後列でもコート内の視認性が高まる。収容人数自体は変わらず1,000人。

さらに2025年のホームゲームからは、子ども連れを対象とした「キッズリフレッシュルーム」も新設。観戦の合間などにリラックスして過ごせるスペースを確保した。

アリーナ周辺も改善に着手。まずアクセスは上田電鉄別所線の「大学前駅」からの無料シャトルバスを運行するようにした。ルートインホテルズ本社のリソースを使い、マイクロバスなどを出して駅と会場間をピストン輸送する。

キッチンカーも毎試合ごとに1〜2台が来るよう手配した。アリーナ内では銘菓店「信濃路うさぎや」が出店。会場限定のコラボレーション商品なども開発したい考えで、担当者は「会場ならではの商品を提供していただくと本当に喜んでもらえるので、そういう取り組みはしていきたい」と話す。

地元企業などがスポンサーに参加
選手とのふれあいイベントも多彩

このほか今季からは、地元企業のスポンサードをつけ始めた。従来は「ルートインホテルズの女子バレーボール部」であった位置付けから、より地域に出ていくための取り組みの一つ。デンセン、フジカーランド、小柳産業など地元に縁の強い企業を中心に7つの企業・団体から支援を受けた。

根底にあるのは、「地域に愛されるチームになるため」の変革。クラブだけでなく、選手たちも含めてそうした意識がさらに浸透している。

例えばその一環として、ホームゲーム終了後には毎回アフターイベントを企画。選手とのチェキ撮影や疑似記者会見の体験などのほか、「推しの選手と勝ち抜け!◯×クイズ大会」「選手とジャンケン大会」「選手セレクト福袋プレゼント」など毎回異なるイベントを繰り出している。

もう一人の副キャプテン・アウトサイドヒッター高野夏輝は「ホームゲームの後は毎回アフターイベントを行っているので、ぜひ参加してほしい。私たちも全力で試合に挑むので、会場で生の試合を見に来てもらえれば」と願いを込める。

選手たちも個々にSNSで発信するなど、認知と共感を広げようと取り組んでいる。粘り強く続けることで、じわりとファン層を拡大していきたい考えだ。

3年目のミドルブロッカー山村涼香は話す。

「今シーズンからより地域密着型になった。地域の方に協力してもらい、応援してもらってバレーボールできる環境があるとみんなが自覚している」

「だからそこも忘れずに、自分たちがどれだけバレーボールを楽しめるかを考えながら毎日の練習をしている。私たちも自分たちからたくさん発信していきたい」

2月8-9日は上田でのラストゲーム
難敵破って“初代王者”への弾みを

2025年2月8-9日は、上田で行う今季ラストのホームゲーム。各日に信濃毎日新聞デジタルとフジカーランドの冠ゲームスポンサーがつく。

グルメはダイニングカフェANNIVERSARY、信濃路うさぎやに加え「とろり天使のわらびもち」(8日のみ)と「ことぶき商店」(9日のみ)もブースを出す。アフターイベント第6弾の企画は「選手とジェスチャーゲーム」とした。

そしてチームは前節でアウェイ連勝とし、5連勝で12勝4敗のリーグ3位。2位リガーレ仙台とは勝敗数と勝率でも並んでいる。

次節は11勝5敗で4位のフォレストリーヴス熊本が相手だ。4位以上のプレーオフ出場圏内を盤石としつつ、一つでも上を狙うためにも、難しい試合の中で連勝が求められる。

キャプテンのセッター横田実穂は「全力で戦って勝った時の表情を見て、『また応援したい』と思ってもらいたい。ホームゲームは特に声をかけていただける。だからこそしっかり勝つ姿を見せたい」と必勝を誓う。

地元に愛されるための第一歩として、各種の取り組みを本格化させてきた今季の信州Aries。その集大成となる空間をファンと共有し、勝利を手にしながら熾烈なシーズン終盤戦に向かっていきたい。

そして上田城に千本桜が咲く頃、地元に“サクラサク”報告をしに帰る。


Vリーグ女子 フォレストリーヴス熊本戦(2月8-9日)ホームゲーム情報
https://www.briaristcamp.com/information?no=JuVUcnvVCsFg3ycp3q3p3
チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484


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