「ガロンズ・ピザを召し上がれ」 齊藤優太と焼き上げる“極上の一枚”

笑顔と言葉でチームとファンを明るくする、長野ガロンズのミドルブロッカー(MB)齊藤優太。見せる笑顔はコートの中も外も変わらないが、その芯には「チームと自分を成長させたい」という渇望にあふれていた。数奇な巡り合わせでチームに加入して3シーズン。2月15-16日のホームゲーム・レーヴィス栃木戦を前に、その魅力に迫った。

文:原田 寛子/編集:大枝 令

明るいキャラクターの奥に秘めた
成長を渇望するハングリー精神

「おいしいガロンズピザ、焼きます!」

ミドルブロッカー(MB)齊藤優太は、長野ガロンズを紹介する時いつもピザに例える。ファンやチームメイトの間では“おなじみのメニュー”だ。

「ファンの皆さんがピザの土台、ガロンズの選手はその上のトッピング。その時によってさまざまなピザができ上がる。みんなで大きくおいしいピザを作ろう!という心意気でやっている」

この言葉に、ファンもチームメイトも沸く。そのキャラクターは齊藤の魅力に他ならない。

PROFILE
齊藤 優太(さいとう ゆうた)1998年10月25日生まれ、静岡県出身。小学5年生で初めてバレーボールに触れ、中学生から本格的に始める。浜松商業高から国士舘大に進学。卒業後は9人制の社会人クラブを経て、2022年に長野ガロンズへ加入。高いジャンプ力を生かしたブロックが武器のミドルブロッカー。コートネーム「サリー」は、身長の高さから、「モンスターズインク」のキャラクターが由来。187cm、87kg。最高到達点338cm。

しかしバレーボールの話を振ると、笑顔ながらも眼に力がこもる。

「昨シーズンまでV3で戦っていたガロンズが、無条件でV2で戦っていたチームと試合ができるようになった。勝ち負けはともかく、高いレベルのチームとの試合は成長過程がより早くなる」

「自分自身も学生時代より上達している自信はある。まだまだやれることがある年齢だと思うから、日々成長していきたい」

笑顔をもたらすキャラクターの内側に、強い上昇志向を秘めていた。

そんな齊藤に対し、篠崎寛監督は「ポテンシャルの高い選手。ジャンプ力もあるし、ミドルにとって一番重要なブロック力と攻撃力がある」と評価。16試合を終えた時点で14試合に出場し、その存在感を示している。

もちろん齊藤自身は現状に甘んじてはいない。

「埼玉アザレア戦で感じたのは渡邉龍也選手(MB)との違い。体格はほぼ同じなのに、ブロック決定率が圧倒的に上だった」

「自分との違いを見てブロックに入る足の動かし方や手の出し方を真似したら、対応することができた。良いところは真似して取り入れたい」

試合中に相手を観察し、その特性を吸収しながら対応する。成長への渇望がなせるわざだろう。

そんな齊藤が長野GRに来たのは運命か偶然か。
1本の電話から人生が大きく動いた。

あの日、あの時、あの場所で――
ガロンズ・ストーリーは突然に

静岡県袋井市出身。中学生1年生からバレーボールを始め、推薦で浜松商業高に進学。当時3年生だったセッター(S)酒井啓輔(東レ静岡)からは多くを学んだという。

その後就職も視野に入れた進路を考えていたが、厳しい父親と当時の監督の説得もあり、国士舘大学へ進んだ。

「『国士舘は厳しい』と聞いていたが本当に厳しかった。過ぎてみれば『トライして良かった』とも思うが、もう戻りたいとは思わない」

苦笑交じりに振り返りながら、あるチームメイトの名を挙げる。

「きっと荻野も同じことを言うと思う」

長野GRのアウトサイドヒッター荻野颯大と出会ったのが国士舘大。カギを握る人物だ。

卒業後は地元静岡で就職し、9人制社会人バレーのチームで続けていた齊藤。その中で6人制バレーへの復帰も希望していたという。

そんなある日、運命が転がった。

偶然にも齊藤の地元に大学時代の友人が来て遊んでいた時のこと。友人の電話が鳴る。

共通の友人である、荻野からだった。

「久しぶりの電話で近況報告をしていたら、荻野が長野ガロンズでバレーをやっていた。自分もまた6人制バレーをやりたいと思っていたところだった」

「『今ガロンズにミドル少ないから、トライアウトを受けてみれば?』と言われた。その週の金曜日の仕事を終えて、そのまま長野に行ってトライアウトを受けた」

6人制への復帰を思い描いていた。
あの日偶然、友人が遊びに来ていた。
あの日偶然、荻野がその友人に電話をかけてきた。

いくつもの偶然が重なった日。
すべての歯車が揃って、“長野ガロンズのMB齊藤優太”が誕生した。

「荻野のラッキーコールがなければ今はない」

齊藤は笑いながら振り返る。

ワンタッチブロックを好むMB
チームメイトを引き立たせる

長野GRのMBとして3年目を迎えた齊藤。セット後半で決めるブロックやセンターからのクイックが、チーム勝利の一助となる場面も少なくない。

だが本人は「ポジションの魅力はワンタッチ」だという。

シャットアウトやクイックはその場でポイントが入る。爽快だし、流れも呼び込みやすくなる。

対してワンタッチは、その場で点数に直結はしないが、チームのチャンスボールを作る。ラリーを繋いで次の攻撃を生むのがワンタッチだ。

「繋がった攻撃で点が入れば、『自分が点を取った』くらいに思っている。それほどワンタッチには魅力がある」

得点へと繋げる重要なプレーこそ、齊藤が感じるポジションの魅力だった。

そんな齊藤は次節のホームでも、持ち味を生かしながら白星を狙う。

迎える相手はレーヴィス栃木。昨年まで長野GRのコーチを務めていた河野裕輔監督が率い、東地区4位と波に乗るチームだ。

「河野さんの手腕もあってどんどん強くなっている。対戦してみなければわからない部分はあるが、ガロンズはここからが踏ん張りどころ。どれだけ負けずに勝ち数を取れるかが重要」

今季の“ガロンズピザ”を、前コーチに示す一戦でもある。

チームメイトのプレーを引き立たせることも、時には主役にもなる齊藤。デラックスピザになぞらえるなら、さしずめトマトだろうか。爽やかな酸味がアクセントにもなるように、コートで独自の存在感を示す。


Vリーグ男子東地区 レーヴィス栃木戦(2月15-16日)チケット情報
https://garons.jp/topics/%e3%80%90%e3%83%81%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%80%912%e6%9c%88%e3%83%bb3%e6%9c%88%e9%a0%88%e5%9d%82%e5%a4%a7%e4%bc%9a/
クラブ公式サイト
https://garons.jp/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_men/team/detail/474

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