眼前の課題にフォーカスして改善 その積み重ねから“雰囲気”を変えていく

SVリーグ男子第7節を終え、VC長野トライデンツは3勝9敗で暫定8位となっている。開幕節こそ連勝と最高のスタートを切ったものの、直近では7連敗と苦戦が続く。連敗が続くとどうしてもチームの雰囲気が暗くなって悪循環に陥るケースも少なくないものだが、現在のチーム状況はどうなっているのか――。明確な狙いを持ったトレーニングを紹介しながら、キャプテン藤原奨太の声に耳を傾ける。

文:大枝 史 /編集:大枝 令

直近の課題にフォーカス
練習から密なコミュニケーション

その練習の前には、綿密な確認があった。

いつもであれば練習の最後は何かしらのテーマを持って6対6のゲームを行うが、この日はアウトサイドヒッター(OH)とリベロ(L)が入ってレセプションからのアタック。

「ヴォレアスさんとの試合では人と人の間やサイドラインのノータッチエースがすごく多かった。コミュニケーションをもう1回確認しようというところでやった」

「コミュニケーションは取れているし、確認するのにすごく良い練習だった」

キャプテンの藤原奨太はそう話す。

確かに練習中でも選手同士でこまめに確認を繰り返し、要求もしていた。

「例えばこっちから打ってくるサーブに対してはどうするとか、そういうチームルールは絶対に守らないといけない」

練習開始前にチームのルールを全員で再認識し、ミスを減らす狙いだ。

直近の課題に対してフォーカスし、取り組んでいるのが見える1日だった。

練習中から声も出ていれば、全員が当事者意識を持って向き合っている印象も受けた。

実際に雰囲気はどうなのか――。そう水を向けた。

「雰囲気は悪くないが、試合になると…。開幕戦は『みんなで力を合わせて勝とう』というのがあってすごく良かった」

悪くはない。でも何かが噛み合わない。

「自分たちでも『何が悪かったんだろう』とはよく話す。疑問でもある」

試合中でもOH工藤有史をはじめ、多くの選手がチームを鼓舞する姿を見せているように、コート内が静まり返っているわけでもない。

良いプレーが継続できればいつだって勝機はあるし、そのためのトレーニングは積み重ねている。

効果的なサーブとレセプション
目の前の課題にこだわって解決へ

前節に巻き戻すと、ヴォレアスのプレーは素晴らしかった。

天皇杯でもVC長野に続いて前年王者のサントリーを破ってベスト4進出を決めたように、強いサーブと高いブロックが機能しているし、サーブレシーブ成功率も高い。

VC長野の選手たちが今シーズン「戦えるようになった」と手応えを感じているのと同時に、他チームも例外なくレベルが上がっている。

特に高くなっている相手のブロックに対しては、サーブレシーブをいかに返せるかがカギとなる。

「いかに枚数を削られないか。Bパス、Cパスになったらクイックを捨ててサイドに2枚ついて、ブロックシャットをやられている試合が増えている」

藤原が話すように、攻撃の選択肢が減ればブロックもつきやすくなる。そうするためにどのチームもサーブを強化しているし、それはVC長野も同様だ。

そこにも1つ、課題が存在している。「いざ試合になると狙うターゲットを意識しすぎてサーブが弱くなっている反省点がある」と藤原。ただ強いサーブを入れようとすれば相手Lに行ってしまうシーンが多くある。

実際に第6節サントリー戦GAME2。GAME1のサーブ効果率3.5%から7.3%と大きく改善したものの、46本中19本がL藤中颯志に取られている。

多少崩せたとしても、攻撃枚数自体が減らせていないのであれば大きな効果とも言いがたい。

これには試合後会見で川村監督も「『リベロを狙うな』と言っても行ってしまう」と苦笑いを浮かべる。

より効果的なサーブを入れること。そしてサーブレシーブをしっかりと返すこと。目に見えない“何か”よりも、目の前に立ち現れているこの課題にフォーカスしてトレーニングに取り組む。

決して“不可”ではない雰囲気
切り替えて毎試合のチャレンジを

昨シーズンはこの時期に雰囲気が悪くなり、選手間ミーティングを行っていたが「いまのところはない」と藤原は話す。

「シーズン前に練習の質が悪くなった時に1回した。それからは良い雰囲気でやれている」といい、まだその時でもないという判断だ。チームとしての課題も明確だし、選手個々がそれぞれの課題も持っている。

フルセットで勝ち切れないことや1点の重みに苦しんでいる現状ではあるが、それを意識しすぎてプレーが硬くなってしまうのも悪影響になりかねない。

「どこかでスイッチを入れ直さないと。もう1回、開幕戦だと思って一人一人が意識してやらないとこのまま負けが続くと思う」

幸いにも天皇杯の中断期間があるので、気持ちをしっかりと切り替えて年末のゲームに備えたい。第8節の相手となる東京GBは第3節のGAME1でフルセットの激闘を繰り広げたが、その時とはチーム状況も変わっていそうだ。

実際に第7節ではOHアレックス・フェレイラがフル出場をして存在感を示していたし、GAME2ではサントリーと首位争いを繰り広げる大阪Bを相手に一時はマッチポイントを握る展開を見せた。

「自分たちは最初追い込んではいるので、すごく警戒はしてくると思う。相手も外国籍選手が(調子が)上がってきているし、『この前は良い試合したから』という気持ちだったらストレート負けすると思う」と藤原も警戒を強める。

「自分たちは毎回チャレンジしていかないといけない」

藤原はそう話す。それは第6節サントリー戦前後で工藤やL古藤宏規が話していた言葉でもある。

勝ち星は拾うものではなく、つかみ取るものでしかない。

空いた期間を有効に活用して、いま一度、挑戦者の姿で年末の松本に現れてみせる。


SVリーグ第8節 東京グレートベアーズ戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div8-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div8-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

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