“常笑”のプレー光る藤澤夢叶 謙虚に努力を続けて伊那谷からWプレミア入り

伊那市出身のシューティングガード(SG)藤澤夢叶(山梨学院大)が、Wリーグの古豪・シャンソン化粧品シャンソンVマジックへのアーリーエントリーを果たした。Wリーグ上位8チームで構成する「Wプレミア」の中では今季唯一の長野県出身者。小学6年生でミニバス全国制覇、岐阜女子高でインターハイ3位、山梨学院大ではユニバーシアード日本代表選出――と、着実にステップアップした22歳。名前の通り“夢を叶えた”道のりと、トップリーグへの決意を聞いた。

 文:芋川 史貴/編集:大枝 令

劣勢でも崩さない前向きな姿勢
「常勝常笑」を体現する存在感

2026年1月6日に行われた皇后杯ファイナルラウンド2回戦。藤澤がキャプテンを務める山梨学院大は、Wリーグプレミアで首位を走るトヨタ自動車アンテロープスと対戦し、44-96で敗れた。

試合後の藤澤はしかし、やり切った表情で口を開いた。

「今日は4年生ラストの試合だったけれど、『死ぬ気でやろう』をチームの合言葉として、とにかく全員で最後まで戦えたと思う」

前日の初戦では都道府県代表の社会人チーム・笠戸ブレイブスター(山口)と対戦して90-71と勝利を収めた。そのうち藤澤は3ポイントシュート4本を含む、両チーム最多の25点をマーク。関東大学女子リーグ得点王の力を発揮し、チームの勝利に大きく貢献した。

PROFILE
藤澤 夢叶(ふじさわ・ゆうか) 2003年5月28日生まれ、長野県伊那市出身。伊那ダイヤモンドツインズ(ミニバス)では長野県勢として初の全国優勝を経験。伊那中卒業後は、小学生時代から目指していた岐阜女子高に進学し、全国トップレベルで腕を磨いた。山梨学院大4年時にはユニバーシアード日本代表として第44回ウィリアム・ジョーンズカップで優勝に貢献。大会ベスト5にも選出された。2025年12月17日、シャンソン化粧品シャンソンVマジックへのアーリーエントリーが発表された。得点力が持ち味のSG。162cm。

しかし、トヨタ自動車との2回戦では8得点。得意とする3ポイントシュートも0/15本と、トップリーグならではのプレッシャーを受けて沈めることができなかった。

「3ポイントが強みだったので、とにかく一本でも多く決めようと意識してやっていた。相手のディフェンスが本当に強かったと思う」

しかし思い通りのプレーができなくても、藤澤は試合中に一度も表情を曇らせずに、大舞台を仲間とともに楽しんでいた。その姿は山梨学院大のスローガン「常勝常笑」を彷彿とさせる。

ターンオーバーが起これば手を叩いて味方を鼓舞。どんな強敵でも勝利を目指して、堅いディフェンスの中をドライブで攻め込む。楽観的な笑顔では決してなく、バスケットボールの真剣勝負を心の底から楽しんでいたかのような表情だった。

林五十美ヘッドコーチ(HC)に藤澤の表情について尋ねると、頷きながらそのことについて触れた。

「彼女は本当に苦しい時にも、苦しい顔は絶対にしない。自分のシュートがどれだけ入らなくても笑顔だし、チームを鼓舞してくれる。メンタル的にも非常に強い選手に育ってくれたと思っている」

藤澤にもそのことを尋ねてみると、「今日は自然に出ていた」と振り返る。大学生活最後のブザーが鳴った後も、藤澤は持ち前の笑顔で選手たちを労った。

KINGDOM パートナー

小学生時代から岐阜女子に憧れ
努力で駆け抜けた学生バスケ

高校は全国屈指の名門・岐阜女子の門を叩いた。いつから長野県を飛び立つ選択をしたのだろうか。

「小6で出たミニバスの全国大会の時に、会場に岐阜女子のユニフォームが飾ってあって、『もうこれを着るんだ』と心に決めた。中学校でも『岐阜女子に行くんだ』ということを心に置いて上を目指して頑張っていた」

そして実際に憧れの岐阜女子に進み、3年生からスタメンに定着。2021年のインターハイではベスト4。ウインターカップでは準々決勝で敗れたものの、どちらの試合も40分間フル出場でチームをけん引した。

その後は関東リーグ1部の山梨学院大に進学。2年時には2部Aへの降格を経験したものの、翌年にはキャプテンに任命され、リーグ全勝で1部に返り咲いた。4年時にはユニバーシアード女子日本代表にも選ばれ、ウィリアム・ジョーンズカップ優勝にも貢献した。

そんな大学4年間を、藤澤は笑顔で振り返る。

「3年生からキャプテンをやらせていただいた。大学で初めて経験したので苦しいことも多くあった。チームをどうやって引っ張ればいいのか自分自身も悩んだけれど、とにかく自分らしくやることを意識した。声かけや姿勢をチームに見せていけたと思う」

林HCも藤澤の成長に目を細める。

「すごく運動能力がある選手ではないが、一言で言えば努力の塊。本当に努力して今のシュート力やディフェンス力など、総合的に努力で力をつけていった」

次の舞台は国内最高峰のWリーグ
「自分らしさ全開で戦いたい」

2025年12月17日、Wリーグの上位リーグ・プレミアに所属するシャンソン化粧品シャンソンVマジックへのアーリーエントリーが発表された。皇后杯でのトヨタ自動車戦は、一足早くトップリーグのレベルを体感する絶好の機会。実際、藤澤にとって特別な財産となった。

「これから自分はWリーグでプレーするので、リーグでも今一番強いトヨタさんとできて、いろんなことを学べた。ディフェンスのプレッシャーや、フィニッシュ力など本当にどれも素晴らしかった」

そう語る藤澤の目には希望が宿っていた。

試合中のキャプテンシーだけでなく、取材にも笑顔でハキハキと対応する藤澤。学生バスケの幕が閉じたすぐ後にも関わらずだ。なぜそのような人間性を持ち合わせているのだろうか。

「名前がどれだけ出ようが謙虚にやることは自分で意識してやっている。周りの方々に支えられてここまで来れた。そこに感謝する気持ちと、うまくいこうが悪くなろうが、謙虚にやることを意識している」

「人として成長することは岐阜女子で学ばせていただいた。そこをしっかり大学でも生かせたと思う」

その姿勢はコート上に限らず、大学生活にも共通している。

昨年3月には山梨学院大のスポーツ賞表彰式で、正課及び課外活動で特にすぐれた実績をあげ、在籍する学校の名声を高めた学生(個人又は団体)を表彰するスチューデンツ オブ ザ イヤー賞も受賞。「学業や人間性においても模範となる学生」と評価されている。

それはまさしくトップリーグの選手として活躍する上で必要な要素だろう。

「ユニバで一緒にやらせていただいた小笠原(真人・シャンソンHC)さんの指導が熱い方だったので、『この人の下でやりたい』と思った。それとシャンソンさんは雰囲気が明るいチームで、自分に合うと思って選んだ」

「夢の舞台についに入れるというところで、とにかく自分らしさを全開にして、新人として、アグレッシブに戦えたらと思う」

長野県出身の選手が大舞台に挑戦する。謙虚に努力を重ね、名前の通り”夢を叶えた”藤澤。溢れる笑顔と人間性は多くのファンに愛されることだろう。



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