サトタクNavigates バスケット・ラビリンス(14) 「熟成進んでオフェンスが多彩に」

バスケットボールは豪快で派手なプレーが目を引く一方、コート上の戦術面に目を向けると非常に繊細で難解でもある。信州ブレイブウォリアーズはどんなバスケットを目指していて、現在地はどこなのか――。2018年から3シーズン、勝久マイケルHCの元でプレーした佐藤託矢がナビゲートする。第14回は、直近のリーグ戦で増えてきた攻撃の選択肢について解説する。
構成:芋川 史貴、大枝 令
KINGDOM パートナー
東地区首位の福島に2連勝
ハイピックからの攻撃が多彩に
2026年最初のゲームから、見応えのある試合展開だった。1月3-4日の両日、信州はアウェイへ乗り込み、東地区首位の福島ファイヤーボンズと対戦した。結果は2連勝。ゲーム差を「1」に縮め、連勝記録も「14」に伸ばした。
土家大輝がロスターを外れていてフルメンバーではなかったにしろ自信になったと思うし、チームビルディングの成果が見られた試合にもなった。

GAME1の前半は非常に良い入りを見せたが、第3クォーター(Q)に失速。守備では福島のケニー・マニゴールトを抑えることができず、攻撃では連係が取れずタフショットが増加。0-10の連続得点を許した試合展開だったが、我慢を続けて勝利をつかんだ。GAME2は修正を見せて、福島を70点台に抑えるディフェンスを披露した。

オフェンスでは高確率な攻撃を展開した。信州が得意とする3ポイントシュートは、GAME1で38.9%(14/36本)。GAME2では、63.6%(7/11本)と、いずれも平均成功率の36.5%を上回り、信州の勝ちパターンが見られた試合となった。

従来は攻撃の選択肢が限定的だったものの、それに対策されても新たな引き出しを備えることができている。僕がとりわけこの試合で注目したのは、ハーフコートを越えたエリアからのハイピックで始まるプレーだ。2つの場面を解説する。
1つ目の場面は福島戦GAME2、第3Q残り4分59秒から始まるプレー。

ボールを運ぶ生原秀将に、マイク・ダウムが3ポイントシュートのラインよりも高い位置でスクリーンをかけてディフェンス置き去りにすると、ヘルプに寄ってきたマニゴールトとの駆け引きが発生。アンジェロ・チョルがディフェンスをクリアアウトして、ドライブのスペースを開けることでレイアップでの得点が生まれた。
2つ目の場面は同じく福島戦GAME2、第4Q残り6分26秒からのプレー。

小栗瑛哉がボールを運ぶと、ウェイン・マーシャルがハイピック。もう一度スクリーンへ行こうとするが、相手のダブルチームへ行こうとする動きを察知し、ペイントエリア方向にスリップ。そこにパスをすることで、4対3のアウトナンバーが完成し、ダウムの3ポイントシュートへと繋げた。
ボールを持たない選手たちも広くスペースを確保。それによってドライブするスペースをクリエイトするとともに、相手のヘルプが戻るのを一歩でも遅らせる形を作っている。

GAME1の第3Qでは、スムーズなアタックができない場面も多かったが、GAME2ではパスとドライブでクレバーに相手を崩すシーンを見ることができた。試合を重ねることによってチームが熟成し、新たな選択肢が生まれている証拠と言えるだろう。
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ブレックスから学ぶ細部の大切さ
後半戦を前に見つかった伸びしろ
リーグ戦で勢いをつけたまま挑んだ天皇杯。初戦の山形クベーラ戦を若手主体で突破し、2回戦は昨季のB1王者である宇都宮ブレックスと対戦した。B1でも上位のチームにどこまで信州のバスケが通用するのか楽しみな試合だった中で、結果で見れば64-82で敗退した。

通用する部分も見られたが、オフェンスの遂行力やディフェンスの強度が宇都宮はとても高く、普段の信州のプレーが出せない時間帯も長かった。レギュレーションの違いにより、普段のリーグ戦とは違う戦い方になったという見方もできるが、ファンダメンタルでも差が見られた。

特に勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)が常々チームに求めるディテールの大切さを、改めて痛感した試合とも言えるだろう。
ピック・アンド・ロールに対する守り方や、クローズアウトへの行き方からでもそれは感じるが、流れが均衡状態にある時に宇都宮はミスが少なく、必要なシュートを淡々と沈めて流れを手放さない。

一方で信州は福島戦で改善されたかに見えたオフェンスの連係が再び影を潜め、タフショットが増加。いつもボールを持つ位置でボールをもらえなかったり、ボールを運べなかったりと王者の圧力を前に40分間チームバスケットを遂行できなかった。
とはいえ後半戦を前にこの試合をできたのは、何物にも代えがたい経験になったはずだ。今季はB2優勝を目指して日々成長を積んでいるが、来季からは信州もBプレミアでトップチームとしのぎを削る。

トップレベルに行けば、一つのミスが命取りになる。B2ではミスをしても、相手のシュートミスにより助かる場面も多いが、それは許されない。だからこそ、一つひとつの細部にこだわってプレーをしなければトップとは戦えない。
その高いレベルに照準を合わせてレベルアップできることは、選手にとってもチームにとっても大きな収穫だろう。

1月24日からシーズンの後半戦がスタート。ディフェンス&3ポイントのスタイルをどこまで強化できるのか。3ポイントシュートが入らない時はどのように打開するのか。そして連勝記録をどこまで伸ばせるのか――にも注目し、後半戦も応援していきたい。

PROFILE
佐藤 託矢(さとう・たくや) 1983年8月25日生まれ、大阪府出身。東住吉工高(現・東住吉総合高)時代はウインターカップ、インターハイともに4強を経験し、青山学院大ではインカレ準優勝。卒業後は当時JBLの三菱電機からスタートし、千葉ジェッツ、京都ハンナリーズなどを経て2018〜21年に信州でプレーした。引退後はクラブの「信州ふるさと大使」となり、今季からはアカデミースーパーバイザーも兼任。「ど素人バスケ」と出張型パーソナルトレーナーを自主事業とするほか、養護学校などでのボランティア活動も実施している。好きなおつまみは梅水晶。
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/
















