“選ぶ勇気と捨てる勇気”を体現 全員がタスクをやり切り、7試合ぶりの歓喜

日々の積み重ねを体現して、確かな成長の証をコートに示した。2026年4月4-5日のSVリーグ第20節、VC長野トライデンツは静岡県沼津市の香陵アリーナで東レアローズ静岡と対戦。GAME1はセットカウント0-3で敗れたが、修正して臨んだGAME2は序盤からブロックを量産し、セットカウント3-1で勝利をつかんだ。試行錯誤を繰り返しながら、7試合ぶりの勝利となったGAME2を振り返る。

文:大枝 史/編集:大枝 令

修正したブロックから得点量産
大胆な“割り切り”が功を奏する

修復された臙脂色の盾は、やすやすとボールを通させやしない。

「昨日の試合ではブロックの位置取りやタイミングが非常に悪かったので、修正するミーティングを長くやった。(GAME2は)第1セットから効果的に決まっていた」

試合後会見で古田博幸監督代行が話したように、GAME2ではスタートから違いを見せるプレーを披露した。

ファーストプレー。アウトサイドヒッター(OH)工藤有史のサーブで崩すと、オポジット(OP)岸川蓮樹とミドルブロッカー(MB)安部翔大の2枚ブロックでシャットアウトする。

この一連のプレーに象徴されるように、GAME2のブロック本数はGAME1の4本(1セット平均1.33本)から12本(同3本)に大幅改善された。さらに、直接ブロックポイントにはならなくても、ワンタッチを取って切り返すシーンも多く見られた。

この試合で3本のブロックポイントを決めた安部。「修正して自分たちがやりたいように型にはめることができたのが今日の勝因の一つ」とうなずいた。

試合後。指揮官が明かした今節のテーマは「チョイス」だった。

「(サイドに)走ってクイックを打たれる場面もあったけれど、ハマっている時はハマっていた」と安部が手応えを口にしたように、選手一人一人が状況を見ながらプレーを選択。OH佐藤隆哉、岸川も3本ずつのブロックポイントを決めて勝利に貢献した。

「ブロックは得意ではなかったけれど、逆に古田さんに求められている大胆なコミットやスイッチはできるようになった」。出場機会を増やしているMB安原は、そう力を込める。

割り切ったブロックが浸透。さらに、アタックやサーブのターゲットエリアや強弱――などの判断について、それぞれが「選んで」「捨てた」結果の勝利でもあった。

勝負強さを示したエース・工藤
打ち切った若き大砲・岸川

勝利を大きく手繰り寄せたのが、プレイヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に輝いた若きエース・工藤だ。象徴的なのは第3セット。24-22と先にセットポイントを握りながらも、連続ブレイクをされて24-25と逆転を許した場面を振り返る。

26-26で迎えた工藤の切れ味鋭いサーブは、チームに漂う不穏な気配を一蹴してみせた。

相手選手の間にノータッチエースを決めて27-26。続くサーブも相手が大きく弾き、直接自陣にボールが返る。リベロ(L)磯脇侑真がセッター(S)中島健斗に丁寧に返球すると、最後は岸川が豪快に相手コートに叩き込んだ。

「自分の立場的にも『いい形で行ったろう』と思った」

POMのインタビューで口にしたように、シーズン序盤からチームを引っ張る意識で戦い続けてきた工藤。「ここ一番」の場面で勝負強さを発揮し、目を見張るようなサーブを放った。

そして第3セットの28点目と、第4セットのマッチポイントから25点目を決め切ったのが若き大砲・岸川だ。MBへの転向から始まった大卒1年目の今シーズンだが、古田監督代行が就任してからはOPとして出場を重ねている。

オープンなトスを打ち切るだけではなく、正確なパスが返った場面ではクイックさながらの速い攻撃を何度も披露して相手を翻弄した。MBでの練習を重ねてきた日々がもたらした特別な武器に加えて、OPとして打ち切る強さを身につけてきた。

直接の失点に繋がったシーンもあったが、指揮官は「若いチームなので、多少のミスは目をつぶる覚悟で出している」「勝つことが選手たちの自信に繋がっていくので、来季に向けて良い形で戦えていると思う」と許容する。

攻めたサーブを打てたこと、ブロックがついても打ち切ったこと、ブロックディフェンスが機能したこと――。そうした一つ一つの成功体験が糧となり、次へと繋がっていく。

丁寧なパスと巧みなトスワーク
サイドアウトを支えた磯脇・中島

接戦を制したVC長野。その根底では、サイドアウト取れていたことも大きかった。GAME2では特別指定選手の磯脇が合流。安定したレセプションに加え、ディグと相手への返球で記録には残らない2得点を挙げた。

「このチームでプレーするのが本当に楽しくて、どうしても勝ちたいと思っていた。帯同している時に1勝できて、それが本当に良い思い出になっていたし、きょう来ると決まった時も絶対に勝ちたいと思っていたので、勝てて本当にうれしい」

磯脇はそう振り返る。そしてパスが安定することで、セッターは中島が強みを最大限に発揮できる。「パスは返っていたので、中島のハンドリングでバリエーションが増えた方が良いと思った。途中から『中島で行こう』と腹をくくった」と指揮官。その起用に応えるように、B、CのクイックやOH藤原奨太の速い攻撃を織り交ぜて相手ブロックに的を絞らせなかった。

位置や打つ場所を工夫しながら得点を重ねた安部も「磯脇選手のリズムのあるパスのおかげで真ん中が通しやすくなった。昨日よりもクイックとパイプの数も増えて相手のブロックもつきづらくなったと思う」とうなずく。実際に工藤のパイプ攻撃は決定率80%。MBも安原が55.6%、安部が60%と、打数がありながら一定以上の数字を残した。

次節はホーム最終戦。エア・ウォーターアリーナ松本に、首位サントリーサンバーズ大阪を迎える。問答無用の格上だが、「まずは自分たちがやろうとすることをできるチームを目指している。やろうとすることがチームの成長に繋がっていく」と指揮官は力を込める。

これまでのテーマを鑑みれば、「大胆に」「勇気」「チョイス」。これらが示すように、古田監督代行が促すのはあくまで挑戦。失敗を恐れずに、ぶつかっていくことで初めて得られる経験がある。

圧倒的な格上を相手に、ホーム最終戦も「挑戦」を貫く。
そもそもそれが、VC長野のDNAでもあるはずだ。


SVリーグ第20節 東レアローズ静岡戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div20-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div20-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

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